取引金額と使用可能予算金額の照合方法

注: 予算照合と元帳転記は、関連した機能ではありません。これらは別々に設定され、互いに独立して機能します。このトピックでは予算照合機能について説明し、元帳転記機能については説明しません。確定経費と実際経費の予算照合金額は、確定元帳と実績元帳への元帳転記とは関係がありません。ただし、予算照合と元帳転記を同時に同じ値で実行するように設定することはできます。この場合も、2 つの機能の違いについてよく理解しておく必要があります。

予算照合の実行

予算照合は、予算照合設定 (BCS) で勘定科目と分析の組み合わせに対して予算照合を定義する場合に、元帳取引に対して実行されます。同じ勘定科目と分析の組み合わせに対して、 [仕入業務設定 (PBS)] で [超過経費チェック] オプションが選択されている場合は発注請求書に対して予算照合が行われ、 [仕入業務設定 (PBS)] で [確定超過チェック] オプションが選択されている場合は発注オーダーに対して予算照合が行われます。実績元帳取引が入力されると、予算照合処理によって各取引の妥当性が検査され、設定されている予算制御設定を満たしているかどうかが確認されます。

予算照合は、取引で参照されている勘定科目の予算照合定義を検索することから始まります。これは、元帳、発注オーダー、発注請求書行の勘定科目コードです。システムはこの勘定科目コードを使用して、予算照合設定の勘定科目コード範囲を満たしているかどうかを確認します。

予算照合が勘定科目に適用されない場合は、予算照合なしで取引が承認されます。

予算照合が勘定科目に適用される場合は、勘定科目の予算を含む、予算勘定科目とオプションの分析コードが予算照合定義によって識別されます。

使用可能予算

予算金額は次のように一意の組み合わせで保持されます。

  • 勘定科目コード
  • 会計期
  • 分析コード 1 (オプション - 予算照合設定によって異なります)
  • 分析コード 2 (オプション - 予算照合設定によって異なります)
  • 分析コード 3 (オプション - 予算照合設定によって異なります)
  • 分析コード 4 (オプション - 予算照合設定によって異なります)
  • 分析コード 5 (オプション - 予算照合設定によって異なります)

予算照合によって、勘定科目、分析コード、会計期の組み合わせで使用できる残高予算を計算し、取引金額を満たすための十分な金額があるかどうかが確認されます。それぞれの組み合わせに対して使用可能予算が次のように計算されます。

使用可能予算金額 = 予算 - 確定経費 - 実際経費

すべての予算金額は基本通貨で保持する必要があります。

取引

予算処理では、入力時に各取引がチェックされ、勘定科目と分析コードの組み合わせで使用できる予算金額を超過しないことが確認されます。チェックされる取引は、発注オーダー、発注請求書、または元帳入力や元帳インポートなどの特定の元帳取引です。

発注オーダーまたは請求書では、仕入タイプ (PTS) または仕入業務設定 (PBS) の設定に応じて、行ごとまたは書類全体で予算照合を実行できます。

ナビゲーション方法

取引が入力されると、それによって現在の会計期の予算が消費されます。つまり、発注オーダーや請求書では現在の仕入会計期、元帳では現在の財務会計期です。

使用可能な予算が確認され、まずこの会計期の予算が消費されます。この会計期に十分な使用可能予算がない場合は、定義されているナビゲーション方法に応じて別の会計期の予算が消費されます。これは、分析コードまたは予算照合設定 (BCS) を使用して定義します。

異なるナビゲーション方法によって予算が消費される例と予算が消費される順序を次の表に示します。

現在の会計期が 03/2012 で 100 USD の取引が入力される場合を想定します。

            消費済予算
勘定科目 会計期 予算 確定経費 経費 使用可能予算 現在の会計期
A 01/2012 100 USD 20 USD 30 USD 50 USD  
A 02/2012 100 USD 30 USD 40 USD 30 USD  
A 03/2012 (現在の会計期) 100 USD 20 USD 30 USD 50 USD 50 USD (エラー)
A 04/2012 100 USD 10 USD 30 USD 60 USD  
A 05/2012 100 USD 40 USD 30 USD 30 USD  

現在の会計期が 03/2012 で 150 USD の取引が入力される場合を想定します。

            消費済予算
勘定科目 会計期 予算 確定経費 経費 使用可能予算 以前と今後 - 以前優先
A 01/2012 100 USD 20 USD 30 USD 50 USD 50 USD (3 番目)
A 02/2012 100 USD 30 USD 40 USD 30 USD 30 USD (2 番目)
A 03/2012 (現在の会計期) 100 USD 20 USD 30 USD 50 USD 50 USD (1 番目)
A 04/2012 100 USD 10 USD 30 USD 60 USD 20 USD (4 番目)
A 05/2012 100 USD 40 USD 30 USD 30 USD  

予算照合設定 (BCS) で 1 つの年度を使用するのか複数年を使用するのかを定義できます。1 つの年度に設定すると予算照合で現在の年度の会計期のみが使用されるのに対して、複数年に設定すると予算照合ですべての年度の会計期が使用されます。

許容差

取引金額が使用できる予算を超過する場合、元帳設定 (LES) または仕入業務設定 (PBS) で定義されている予算許容差パーセンテージまたは金額が考慮されます。予算の不足額が許容範囲内である場合は、取引が許可され、ユーザーに警告メッセージが表示されます。

セキュリティコンソールまたはユーザーマネージャで各種権限を設定することにより、予算に十分な使用可能金額がない場合でも、ユーザーが警告メッセージを無視して転記するのを許可することができます。

予算照合に合格しない場合

取引が予算照合に合格しないと、取引は保留され、メッセージが表示されます。次の方法のいずれかで取引の予算照合を合格にできます。

  • 取引金額を減らして使用可能予算より少ない金額にする
  • 取引を処理できるように、ユーザーの上書き許容差を上げる
  • 勘定科目/分析/会計期の組み合わせに対する予算金額を増やす。これは予算を再割り当てすることによって可能です。
  • ナビゲーション方法に応じて異なる勘定科目/分析/会計期の組み合わせを使用する

上記の方法のどれを使用しても取引をリリースできない場合は、処理できないため、キャンセルする必要があります。

発注オーダーと発注請求書

発注オーダーによって確定経費金額が更新されます。請求書が発注オーダーに照合されて予算照合ステージに合格すると、次のように金額が変更されます。

  • 予算が消費される会計期の確定経費金額が減少します
  • 予算が消費される会計期の実際経費金額が増加します

発注オーダーによって特定の 1 つまたは複数の会計期の予算が予約されます。該当する請求書が処理されると、この金額は、予約されている予算金額から会計期の経費金額へと変化します。これは請求書が処理される会計期に関係なく行われます。

たとえば 03/2006 から 04/2006 の間の発注オーダーに関する予算を確保するとします。確保する予算金額が 03/2006 と 04/2006 の会計期で記録されます。06/2006 の会計期に受領した請求書が、発注オーダーに照合されます。03/2006 と 04/2006 の確保されていた予算金額が減少し、これらの会計期で経費が増加しますが、06/2006 では増加しません。

勘定科目の予算照合を検索する

予算照合定義では、取引で参照する勘定科目に関して確認する必要がある予算勘定科目を指定します。予算照合処理によって、勘定科目に最も適した予算照合定義が検索されます。

最初に、取引で参照される勘定科目のみに関連する予算照合が検索されます。該当するものが見つからない場合は、取引の勘定科目を含む勘定科目範囲に対して定義されている予算照合が検索されます。

このため、勘定科目範囲に対して定義されている予算の合計から、一部の勘定科目を除外することができます。たとえば、広告費に割り当てられている合計予算の中に、多額のテレビ広告費が含まれている場合があります。この場合、テレビ広告費用の勘定科目に関する特定の予算照合を設定し、この勘定科目のみに割り当てられる予算を入力できます。その後、残りの広告費の勘定科目に関して別の予算照合を設定できます。この予算照合に割り当てられる勘定科目範囲がテレビ広告費の勘定科目を参照する場合もありますが、これはあまり問題になりません。テレビ広告勘定科目に関する取引を入力すると、照合処理ではテレビ広告勘定科目用の予算照合が使用されます。その他の広告費用勘定科目に関する取引を入力すると、照合処理でその勘定科目に固有の予算照合が見つからないため、広告費勘定科目の範囲を参照する予算照合が使用されます。

予算が設定されていない勘定科目コードと分析コードの組み合わせに対する予算照合を作成すると、金額ゼロの予算が作成されます。これはつまり、その勘定科目コードと分析コードの組み合わせに対して転記される取引はすべて超過予算として扱われるということです。

[分析コード (ANC)] で [複合予算照合] オプションを設定している場合、取引は、最も条件に合致する使用可能な予算に対して転記されます。この予算金額を超える場合は、合致度の低い予算があれば、それを使用します。

注: 取引が別の取引によって逆仕訳される場合、この逆仕訳は、使用可能な最も限定の度合いの低い予算に対して行われます。つまり、取引を逆仕訳する場合、使用可能な予算額に関して、逆仕訳取引が元の取引の逆の効果を持たない場合があるということです。ただし、仕入モジュールのオーダーまたは財務モジュールの仮取引を修正すると、前に影響を受けた予算を確実に調整できます。