Pay As Paid 原則の導入

ブローカー元帳の Pay As Paid 原則に従うためには、別の当事者から該当する資金を受領した後にのみ、資金を引受会社 (キャリア) またはクライアントにリリースする必要があります。組織が 2 つの当事者間の仲介役を果たしているため、この原則が必要になります。組織は、一方の当事者から資金を受け取り、別の当事者にこの資金を送金します。たとえば手数料を無視した単純なケースでは、クライアントから保険料を受け取り、受け取った後にのみ、この保険料をいくつかの保険引受会社に支払います。

これを実行するには、関連する「借方要素」が受領されるまで、業務取引の「貸方要素」の支払を保留する必要があります。借方要素を受領した時点で、貸方要素を支払にリリースする必要があります。

各取引の状況は、各取引に保存された消込みマーカーと消込みコードの組み合わせによって、各処理ステージを介して識別され制御されます。これらのコードは、元帳インポート (LIM) や個別消込み(ACA) など、さまざまなシステム機能によって自動的に設定されます。消込みコードは (ユーザーが定義している場合)、消込みマーカーを補足して Pay As Paid 取引の特殊なステージを示します。

注: 消込みコードは、消込みアクションに関連したコードに設定されます。消込みアクションは、特定の機能によってトリガされます。インポート消込みコードは、元帳インポート (LIM) や元帳入力 (LEN) によってトリガされます。

典型的な Pay As Paid 処理ステージ

以下に示す処理ステージでは、例として保険料を使用しています。同じ処理ステージが請求では反対に適用されます。

ステージ 1: 保険料の転記

新規保険料を記録する必要がある取引を、元帳インポート (LIM) を使用して財務モジュールに転記します。

特定の Pay As Paid 処理: [保留] の消込みマーカーが、すべての貸方取引で自動的に設定されます。[インポート] の消込みコードが、すべての取引に設定されます。次に、[回収可能項目リリース] の消込みコードが、借方取引に設定されます。

取引参照 勘定科目 金額 取引間参照 (リンク参照 2) 消込みマーカー 消込みアクション
ABC クライアント 100 DR 1 消込みなし 回収可能項目リリース
ABC 引受会社  90 CR 1 保留 インポート
ABC 手数料  10 CR 1 保留 インポート

[元帳インポート] では、取引のエージェンシー/ブローカー勘定科目タイプを使用して、貸方取引を保留すべきかどうかが判断されます。リンク先の借方取引で参照される勘定科目の [エージェンシー/ブローカー勘定科目タイプ] が [名目] に設定されている場合は、貸方取引の消込みマーカーが [保留] に設定されません。

ステージ 2: 支払の受領

クライアントが支払った保険料が元帳入力で現金受領として入力され、クライアントの勘定科目に転記されます。

取引参照 勘定科目 金額 取引間参照 (リンク参照 2) 消込みマーカー  消込みアクション
CSH1 銀行 100 DR   消込みなし  
CSH1 クライアント 100 CR   消込みなし  

ステージ 3: 保険料取引に対する現金受領の照合

A) [個別消込み] を使用して、通常の方法で、クライアント勘定科目の未払い保険料に対して現金受領の照合を行います。

特定の Pay As Paid 処理: 消込みアクションの消込みコードが設定されます。

取引参照 勘定科目 金額 取引間参照 (リンク参照 2) 消込みマーカー 消込みアクション
ABC クライアント 100 DR 1 照合 消込み
CSH1 クライアント 100 CR   照合 消込み

B) 対応する貸方取引が支払にリリースされます。リンクされている取引は、取引参照と取引間リンク参照の一意の組み合わせによって識別されます。

注: どのリンク取引をリリースするのかを判断するには、ルールが使用されます。このルールは、勘定科目に設定されている [エージェンシー/ブローカー勘定科目タイプ] のフラグによって決まります。

特定の Pay As Paid 処理: リンクされた貸方取引から保留消込みマーカーを削除して、取引を支払にリリースします。支払可能項目リリースの消込みアクションの消込みコードが設定されます。

取引参照 勘定科目 金額 取引間参照 (リンク参照 2) 消込みマーカー 消込みアクション
ABC 引受会社 90 CR 1 消込みなし 支払可能項目リリース
注: 保険料の一部のみが支払われると、元の保険料が分割され、照合処理の一環として現金が分割取引に割り当てられます。対応する貸方 (引受会社) 取引が同じ割合で分割され、関連する分割取引だけがリリースされます。

ステージ 4: 支払の生成

保険料の引受会社取引が支払用に選択され、支払実行 (PYR) に渡されます。支払取引が生成され、支払われる保険料取引に対して自動的に照合されます。

特定の Pay As Paid 処理: 支払の消込みアクション用消込みコードが設定されます。

注: 支払に選択された取引を支払実行 (PYR) に渡す前に、その取引に決済スタンプを割り当てることができます。その場合、生成される支払取引に同じ決済スタンプが保存され、支払が行われる取引とその支払がリンクされます。
取引参照 勘定科目 金額 取引間参照 (リンク参照 2) 消込みマーカー 消込みアクション
PAY1 引受会社 90 DR 1 支払済 決済
PAY1 銀行 90 CR   支払済 決済