仕訳配賦

仕訳配賦は、既存の元帳取引から新しい取引を生成することができる強力な機能です。仕訳配賦では、定義済みの配賦基準を使用して、費用やその他の取引を分割または再割り当てできます。複数の会計期、勘定科目、分析コード、ビジネスユニットに対して金額を配賦できます。また、費用を分割、増額、減額できます。

仕訳配賦によって元帳取引が生成され、転記されます。元帳入力 (LEN) で仕訳を手動入力することによっても同じ結果を得ることができます。ただし、仕訳配賦を使用することにより、配賦処理を自動化し、各会計期で必要な回数だけ処理を繰り返すことができます。

仕訳配賦は次の目的で使用できます。

  • 活動ベースの原価計算 (ABC) などでの原価の配分
  • 会社間取引など、複数のビジネスユニットへの金額の転記
  • 実際の数値に基づいた予算の引き上げ
  • 勘定残高の利息計算

配賦処理のコンポーネント

仕訳配賦では、配賦設定を使用して一連の仕訳取引を生成します。

配賦設定には次のコンポーネントを含めることができます。

  • 配賦元 - 配分する原価または費用を識別します。
  • 配賦先 - 原価または費用の配分先となる対象勘定科目を識別します。
  • 配賦率 - 必要に応じて、配賦元のどれだけの割合を配賦先に配分するのかを指定します。

配賦により、元帳の貸借金額を一致させるための仕訳調整取引が生成されます。この残高調整取引は、実行している配賦の種類に応じて、配賦元または配賦先に指定されている相殺勘定科目に転記されます。

これら 3 つの配賦コンポーネントが各配賦要件に対して指定されます。次に例を示します。

要件 配賦元 配賦先 配賦率
5000 イギリスポンドのマーケティング費用を海外営業部門に配賦する マーケティング費用

対象: 海外マーケティング費用

相殺: 回収するマーケティング費用

5000 イギリスポンドの固定金額
マーケティング費用の 30% を営業に配賦する マーケティング費用

対象: 営業のマーケティング費用

相殺: 回収するマーケティング費用

30% の固定パーセンテージ
オフィス全体の床面積に対する営業部門の床面積の比率に従って、オフィス原価の一定の割合を営業に配賦する 本社の合計費用

対象: 営業本部の間接費

相殺: 回収する本社の費用

総床面積における営業の床面積のパーセンテージに基づいた相対パーセンテージ

配賦比率として使用されるのは、定義済みのパーセンテージだけではないことに注意してください。固定金額や、元帳に保存されているその他の統計値または財務値によって決まる相対的なパーセンテージを使用することもできます。

配賦コンポーネントを定義する

3 つの配賦コンポーネントは、次のフォームを使用して個別に定義します。

  • [仕訳配賦元 (CAS)]
  • [仕訳配賦先 (CAT)]
  • [仕訳配賦率 (CAR)]

配賦設定 (CAD) を使用して、配賦設定の順序でコンポーネントをまとめます。

コンポーネントを別々に定義するのは、配賦処理ごとに詳細を毎回入力する手間を省き、異なる配賦処理で再利用できるようにするためです。たとえば、同じ配賦元金額を別の場所に配賦したり、同じ配賦先勘定科目を更新したり、同じ割合を使って複数の異なるタイプの費用を配賦したりする場合があります。

配賦設定を作成する

配賦設定は、1 つまたは複数の配賦順序で構成されます。配賦は配賦元、配賦先、オプションの配賦率を識別し、これらすべての要素によって特定の配賦処理が決まります。

配賦設定は仕訳配賦設定 (CAD) を使用して定義します。

配賦の実行

配賦は仕訳配賦実行 (CAL) を使用して実行します。これにより、それぞれの配賦が実行されます。配賦元から適切な取引を選択し、配賦金額を計算して、配賦先勘定科目と相殺勘定科目の更新に必要な取引を生成します。

段階別 (順序別) の配賦

仕訳配賦では、順序を決めて配賦を実行することができ、複数の段階で計算を実行できます。たとえば、マーケティングのキャンペーン費用を、収益率に基づいてグループ内の複数の会社に配賦するとします。さらに、それぞれの社内で、販売単位に基づいて原価を営業部門ごとに配賦します。キャンペーン費用の配分処理は 2 段階で行われることになります。まず、費用を複数のグループ会社に配賦し、次に販売単位ごとの費用を営業部門に配賦します。これは、どの時点で配賦を転記するのかを定義することによって制御されます。