純需要の計算、需要の優先順位指定、および数量の割当
次の例では、以下について説明しています。
- 基本的な純需要の計算の論理および直接資材供給配分 (whinh6130m000)セッションの結果
- 「優先順位規則」に従った、入庫数量または手持在庫の需要への割当
例 1: 純需要の計算と DMS セッションの結果
[倉庫別品目データ (whwmd2510m000)] セッションで、次の設定を品目 X と倉庫 WH1、WH2、および WH3 に適用します。
パラメータ | WH1 | WH2 | WH3 |
---|---|---|---|
供給済 DMS | [Yes] | [Yes] | [No] |
入庫の DMS | [対話式]/[マニュアル] | 考慮しない | [なし] |
在庫の DMS | [入庫および出庫] | 考慮しない | [No] |
前提事項
- 「DMS 需要タイプ」、「DMS 計画範囲」、および倉庫供給構造は考慮されません。
- 処理中のクロスドックオーダまたは出庫勧告がありません。
- [在庫の DMS] が入庫数量よりも優先されます (強制クロスドッキング範囲は設定されていません)。
- 最小発注量は 10 個です。
- 最大限でも 1 日あたり 1 つの計画済オーダが作成されます (オーダ間隔は 1 日)。
これまでの図は、クラスタ内の 3 つの倉庫および品目 X の処理を示しています。倉庫 WH1 および WH2 は 供給済 DMS ですが、倉庫 WH3 はそうではありません。
企業計画では、3 つの倉庫の全処理を合計し、たとえば 3 個の在庫 (倉庫合計) があることをチェックします。全処理は日付でソートされ、計画在庫が計算されます。次の図を参照してください。転送 T1 および T2 はクラスタ内で商品を移動するので、両方ともスキップされて純需要の計算の結果は 0 になります。[オーダ計画の生成 (cprrp1210m000)] セッションでは、計画在庫がゼロ未満または在庫バッファ未満になったときには必ず、計画供給オーダを作成する必要があります。
企業計画では、5 つの計画購買オーダを作成します。2005 年 10 月 4 日付けの最初の計画オーダは、販売オーダ S1 の所要日の 1 日前に計画されています。2 番目の 10 個分の計画オーダは、販売オーダ S2 および S3 などを供給するには十分です。すべての計画オーダは、計画品目のデフォルト倉庫用に作成されます。この場合は倉庫 WH1 です。
最初の計画購買オーダが購買管理に発行され、購買オーダ P1 として倉庫管理で受領されると、DMS がトリガされます。
品目 | X |
倉庫 | WH1 |
棚卸単位の 入庫数量 | 10 個 |
手持在庫 | 2 個 |
商品の入庫後、DMS セッションでの配分は次のようになります。
優先順位 | 日付 | 需要 | 倉庫 | 不足 | 割当済入庫数量 | 割当済の在庫 | クロスドックオーダ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
104 | 12-4-2005 | [販売] S2 | 1 | 5 | 3 | 2 | |
106 | 14-4-2005 | [販売] S4 | 2 | 9 | 7 | ||
203 | 10-4-2005 | [販売] S1 | 1 | 10 | |||
205 | 13-4-2005 | [販売] S3 | 2 | 5 | |||
212 | 15-4-2005 | [転送] T2 | 1 | 5 | |||
500 | 20-4-2005 | [予測] F1 | 2 | 20 |
倉庫 WH3 の [供給済 DMS] チェックボックスがオフになっているので、そのオーダ (販売 S5 および JSC M1) は無視されます。ただし、WH3 の TPOP では WH1 から WH3 への倉庫転送を計画し、この転送 T2 が WH1 への需要として考慮されます。倉庫 WH3 が別のクラスタの一部であったとしても、このケースが当てはまります。
DMS では倉庫のクラスタ外の需要にも対処できます。
転送 T1 は DMS 供給倉庫 (同じクラスタ内) に対するものであり、無視されます。WH1 から WH2 への転送は、倉庫 WH1 を発送する需要オーダになりますが、事実上は WH2 から WH1 への需要の移動/シフトであり、たとえば、WH2 の販売オーダがこれにあたります。DMS では、WH1 からのオリジナルの需要 (販売オーダ) を考慮するので、WH2 への倉庫転送需要は無視されることが必要です。無視されない場合は、DMS で同じ販売オーダを 2 回供給します。
DMS では、同じクラスタ内にある 2 つの DMS 供給倉庫間での倉庫転送を無視します。
需要オーダは優先順位に従ってソートされており、一番小さい値は最高の優先順位を示します。
需要オーダでは、在庫に対する純需要が計算されます。
DMS では、純需要が計算されるときに計画入庫を無視します。
純需要が計算された数量が、不足として示されています。販売オーダ S2 には 5 個必要です。2 個だけが 倉庫 WH1 の手持在庫であり、3 個が不足していることを意味します。
同様に、販売オーダ S4 では倉庫 WH2 の在庫を消費し、9 個の不足があります。販売オーダ S1 の需要日付は S2 の需要日付より前ですが、S1 は優先順位が低いため在庫を消費しません。
10 個の入庫は、最初に 3 個分の販売オーダ S2 に引き当てられ、残りの 7 個は販売オーダ S4 に引き当てられます。
- 供給倉庫内の手持在庫が考慮されるのは、[品目 - 倉庫管理 (whwmd4600m000)] セッションで [在庫の DMS] が選択されている場合だけです。
- 移動先倉庫内の手持在庫は、[在庫の DMS] の設定に関係なく常に考慮されます。
DMS 提案が受け入れられると、3 個と 7 個を適切な保管場所に出荷する必要があります。
DMS の実行を承認して処理する場合、次の処理ステップが実行されます。
販売オーダ S2 の場合:
- クロスドックオーダ CD2 を WH1 に作成して、3 個を WH1 の発送確定保管場所に移動します。このクロスドックオーダは、販売オーダ S2 に関連付けられます。
- クロスドックオーダの 3 個分のクロスドックオーダラインを作成します。このクロスドックオーダラインは、入庫購買オーダ (ライン) P1 に関連付けられます。
- 販売オーダ S2 の 2 個分の出庫勧告 OA1 を作成し、発行します。
販売オーダ S4 の場合:
- WH1 から WH2 への 7 個分の転送オーダ T3 を作成します。
- クロスドックオーダ CD3 を WH1 に作成して、7 個を WH1 の発送確定保管場所に移動します。このクロスドックオーダは、転送オーダ T3 の出庫オーダラインに関連付けられます。
- クロスドックオーダ CD3 の 7 個分のクロスドックオーダラインを作成します。このクロスドックオーダラインは、入庫購買オーダ (ライン) P1 に関連付けられます。
- 2 番目のクロスドックオーダ CD4 を作成して、WH2 の 7 個を入庫場所から発送確定保管場所に移動します。クロスドックオーダ CD4 は販売オーダ S4 に関連付けられます。
- クロスドックオーダ CD4 のクロスドックオーダラインを作成します。このクロスドックオーダラインは、転送オーダ T3 の入庫オーダラインに関連付けられます。
2 番目のクロスドックオーダが作成されるのは、オーダが [倉庫別品目データ (whwmd2510m000)] セッションで定義されているタイムフェンス内にある場合です。タイムフェンス外の場合は、商品が入庫します (IA3)。
すべての手順活動を [自動] に設定すると、クロスドックオーダ、出庫勧告、および転送オーダが処理されます。最終的に 5 個 (3 + 2) は WH1 発送確定保管場所に配置され、7 個はクロスドッキングされて転送され、再度クロスドッキングされて、最終的に WH2 の発送確定保管場所に配置されます。