顧客クレーム処理

顧客から受け取ったクレームを登録、調査、および処理できます。クレームは、請求書、サービスオーダメンテナンス販売オーダ販売オーダなどの伝票を基準にすることができます。クレームはマニュアルで登録することも、オリジナル伝票またはコールからコピーすることもできます。クレームの登録および提出後は、そのクレームの (部分的な) 承認、拒否、または取消が可能になります。

顧客クレームの登録

「クレームヘッダ」 には、クレームの清算が貸方票 (顧客に送付される) によるものか、請求書 (顧客から受領される) によるものかを指定できます。これを行うには、[顧客クレーム (tscmm1600m000)] セッションの [クレーム請求手順] フィールドで必要なオプションをオンにします。

クレームラインの弁償をキャッシュ (クレームラインでの承認済金額に基づく) で行うか、材料 (クレームラインに指定された品目および数量に基づく) で行うかを指定することができます。これを行うには、[顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションの 「クレームライン」 の [クレーム対応方法] フィールドで [材料の弁済] または [費用の弁済] オプションをオンにします。

顧客クレームは次の方法で作成できます。

  • マニュアル: クレームヘッダおよびクレームラインの値をマニュアルで指定できます。
  • オリジナル伝票から: 請求書、サービスオーダ、メンテナンス販売オーダ、販売オーダ、販売スケジュールなどの伝票に基づき、クレームを登録できます。オリジナル伝票情報は、[顧客クレーム (tscmm1100m000)] セッションでクレームヘッダに指定されます。このデータは、[アクション] メニューの [すべてのラインのコピー] オプションを使用して、オリジナル伝票からコピーできます。オリジナルの品目、数量、および販売額がクレームにコピーされます。
  • コールから: 顧客のコールからクレームを登録できます。コールからの取引テキストがクレーム内部テキストにコピーされ、コールが顧客クレームに転送されます。
注: 

クレームヘッダはコールによって生成されるか、マニュアルで作成されます。いずれの方法でも、オリジナル伝票に基づいてクレームラインを生成できます。

顧客クレームの提出

登録後にクレームを提出する必要があります。クレームが提出されると、クレームのヘッダ状況が [承認保留] に設定されます。次に、クレームラインが [承認済]、[拒否]、[修正済]、または [取消] のいずれかになります。

注: 

場合によっては、先に [ライン状況] が [承認見積保留]、[材料返品保留]、[発注先見積保留] になってから、ラインが [承認保留] になることがあります。

見積の承認

クレームが提出され、[顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションで [見積の使用] フィールドがオンになっている場合は、クレームの [ライン状況] が [承認見積保留] に更新されます。クレームを承認する前に見積を承認する必要があります。見積が承認されていないと、[顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションで [承認済数量] および [承認済金額] を修正できません。

注: 

このフィールドがオフの場合、クレームの [ライン状況] は [材料返品保留] ([顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションで [材料の返品必須] チェックボックスがオンの場合) または [承認保留] に更新されます。

顧客からの欠陥部品の入庫および返品

クレームの承認前に顧客が材料を返品する必要がある場合は、[顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションで [材料の返品必須] チェックボックスをオンにする必要があり、[ライン番号] が [顧客クレーム入庫 (tscmm1113m000)] セッションで作成されます。クレームが提出されると、倉庫オーダが作成され、クレーム状況が [材料返品保留] に設定されます。作成される倉庫オーダは、顧客所有の在庫で品目を受け取るために使用されます。

品目が入庫されると、サービス部署に欠陥部品を納入するための倉庫オーダが作成されます。部品は、クレームが [承認済] または [拒否] のいずれかになる前にサービス部署に納入する必要があります。

サービス部署では欠陥部品に対して検査が実施されます。サービス部署への納入時に計測タイプが指定されている場合、検査は自動的に作成されます。検査はマニュアルで追加することができます。「クレーム」 の承認前にすべての検査を完了するか、拒否する必要があります。

品目に対するアクション - [顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションの承認アクションフィールドおよび拒否アクションフィールドを使用して、顧客から入庫された品目の状況を指定できます。

  • 会社所有にする: 品目が会社所有として倉庫に返送されます。
  • 顧客に返品: 品目が顧客所有として倉庫に返送されます。品目が倉庫に返送されると、倉庫オーダが新規に作成され、品目は顧客に返送されます。
  • 廃棄: 品目は倉庫に返送されず、廃棄可能になります。

顧客に返品

品目が顧客に返品される場合は、クレーム納入ラインが [顧客クレーム納入 (tscmm1112m000)] セッションで作成されます。納入ラインが顧客へのクレーム品目の返品に使用されることを示すために、[材料タイプ] フィールドが [材料の返品] に設定されます。

欠陥部品の入庫の終了

クレームの状況が [材料返品保留] で、欠陥部品が (完全には) 入庫されていない場合は、クレームに関する返品を終了できます。オープン入庫倉庫オーダラインは削除されます。

クレームの承認

クレームヘッダまたは個々のクレームラインを承認できます。クレームラインの承認後は、クレームライン状況が [承認済] に設定されます。すべてのライン (承認済または拒否) が処理されると、ヘッダの状況が [承認済] に設定されます。1 つ以上のラインが拒否された場合は、[顧客クレーム (tscmm1100m000)] セッションでヘッダに関する [部分承認] フィールドがオンになります。

[顧客クレーム入庫 (tscmm1113m000)] セッションで [必要な RMA の出力] フィールドが [出力予定] に設定されている場合は、RMA (材料返品権限) 文書が出力されます。

サービスタイプに関して [必要な RMA の出力] チェックボックスがオンの場合、RMA は承認ステップの一部として出力されます。

[顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションで [顧客クレーム検査必須] チェックボックスがオンの場合、クレームが [承認済] または [拒否] のいずれかになる前にサービス検査が作成および処理されます。

[顧客クレーム納入 (tscmm1112m000)] セッションで [材料タイプ] フィールドが [材料の弁済] に設定されている場合は、新材料を顧客に送付するための納入ライン (およびその納入ラインにリンクされている倉庫オーダ) が作成されます。

[顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションの [関連付先] フィールドで選択されたオプションに基づき、顧客クレームヘッダ上の設置の状況が 「有効」 であるシリアル番号付品目保証に関して、承認済クレーム金額がクレーム原価として登録されます。[関連付先] フィールドが契約に設定されると、[契約原価適用範囲 - 概要 (tsctm4580m000)] セッションで追加のレコードが作成されます。

請求書の受取

クレームが承認済となり、[顧客クレーム (tscmm1100m000)] セッションで [クレーム請求手順] フィールドが [請求書基準] に設定されている場合は、顧客から請求書を受け取る必要があります。ユーザは、[特定] メニューの [請求リンクに承認] オプションをオンにする必要があります。クレームライン状況が [請求リンクに承認] に変更されます。これで、買掛金で受け取った請求書をクレームラインにリンクできるようになります。

貸方票

クレームが承認済となり、[顧客クレーム (tscmm1100m000)] セッションで [クレーム請求手順] フィールドが [貸方票基準] に設定されている場合は、貸方票販売請求書が 「請求」 で作成されます。

材料の弁償

クレームが承認済となり、[顧客クレーム承認 (tscmm1110m100)] セッションで [クレーム対応方法] フィールドが [材料の弁済] に設定されている場合は、[顧客クレーム納入 (tscmm1112m000)] セッションで [ライン] が作成されます。顧客に対する弁償のため、新材料が出庫されます。この納入ラインの倉庫オーダは、クレームが承認済のときに作成されます。[クレーム管理パラメータ (tscmm0100m000)] セッションで [必要な在庫約定] チェックボックスがオンの場合、倉庫オーダの作成時に在庫約定が更新されます。

清算済のクレームライン

クレームの承認後は、次の場合のみ、クレームライン状況が 「清算済」 に更新されます。

[顧客クレーム承認 (tscmm1110m100)] セッションで [クレーム対応方法] が [費用の弁済] に設定されている場合: 

  • [クレーム請求手順] フィールドが [請求書基準] に設定され、ラインの [クレーム対応方法] が [費用の弁済] である場合は、顧客クレームの統合が設定された元帳勘定を使用して、購買請求書ラインをクレームラインにリンクできます。[顧客クレーム請求書ライン (tscmm1115m000)] セッションで [最終請求書] チェックボックスがオンになっているリンク済の請求書ラインが 1 つ存在する場合は、クレームラインの状況をマニュアルで [清算済] に設定できます。さらに、関連原価購買請求書が総勘定元帳で確定される必要があり、オーダに関連する関連購買請求書が買掛金で承認される必要があります。
  • [顧客クレーム請求書ライン (tscmm1115m000)] セッションで [クレーム請求手順] フィールドが [貸方票基準] に設定され、SLI で販売貸方票が作成されている場合は、請求書が SLI で作成されます。[顧客クレーム請求書ライン (tscmm1115m000)] セッションにおいて、SLI により、顧客クレーム請求書ラインの作成がトリガされ、状況が自動的に [清算済] に設定されます。

[顧客クレーム承認 (tscmm1110m100)] セッションで [クレーム対応方法] が [材料の弁済] に設定されている場合: 

  • 倉庫の関連材料ラインの状況が 「出荷確認」 に設定されます。
  • 関連材料ラインは終了されます。

顧客クレームの拒否

ユーザは、[顧客クレーム (tscmm1100m000)] セッションでクレームラインまたはクレームヘッダに関する 「顧客クレームの拒否」 オプションを使用して、クレームを拒否できます。ユーザはクレームの拒否理由を指定する必要があり、オプションで拒否テキストを入力することもできます。[顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションで [材料の返品必須] チェックボックスがオン場合、入庫済品目を顧客に返送するための倉庫納入が作成されます。

顧客クレームの取消

クレームは、次の場合のみ取り消すことができます。

クレームヘッダ状況が [修正済] または [承認保留] に設定されている場合で、かつ次の場合:

  • [顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションで [クレーム対応方法] フィールドが [費用の弁済] に設定されている場合
    • [顧客クレーム (tscmm1100m000)] セッションで [クレーム請求手順] が [貸方票基準] に設定され、関連請求書ラインが財務会計で確定されています。または
    • [顧客クレーム (tscmm1100m000)] セッションで [クレーム請求手順] が [請求書基準] に設定され、関連ラインを財務会計で削除できます。
  • [顧客クレームライン (tscmm1110m000)] セッションで [クレーム対応方法] フィールドが [材料の弁済] に設定されている場合
    • 関連する倉庫オーダラインおよび計画在庫処理を引き続き 「倉庫」 で修正できます。

顧客クレームのクローズおよび削除

顧客クレームは、次の場合にクローズされます。

  • 顧客クレームのヘッダ状況が [承認済]、[拒否]、または [取消] のいずれかである場合
  • すべての顧客クレームラインのライン状況が [清算済]、[拒否]、または [取消] のいずれかである場合
  • 顧客クレームのすべての納品ラインおよび入庫ラインが最終的なものである (顧客クレームに関するオープンオーダが存在しない) 場合

顧客クレームがクローズされた場合、顧客クレームのヘッダ状況は 「クローズ」 に設定されます。顧客クレームがクローズされた場合、顧客クレームラインのライン状況は変更されません。

顧客クレームのクローズ後は、そのクレームを履歴に転記するためのオプションが利用可能になりますが、これは、[クレーム管理パラメータ (tscmm0100m000)] セッションで [クレーム履歴の使用] パラメータがオンになっている場合に限られます。

最後に、クローズ済の顧客クレームを削除するためのオプションが利用可能になります。顧客クレームが削除されるときは、その顧客クレームのヘッダとすべてのラインが削除されます。[クレーム管理パラメータ (tscmm0100m000)] セッションで [クレーム履歴の使用] パラメータがオンになっている場合は、クレームが履歴に転記された後でのみ、削除が可能になります。