プロジェクト別実際原価計算

シミュレーション標準原価は、すべてのプロジェクトタイプで計算できます。シミュレーション中は、標準原価計算モジュールでカスタマイズ品目の標準原価が計算され更新されます。プロジェクト管理モジュールでは、在庫が再評価されず、プロジェクト価格およびカスタマイズ品目価格も更新されません。

以下を実行できます。

  • シミュレーション標準原価計算
  • 見積標準原価計算
  • 実際標準原価計算

[注意]: 予算に関しては標準原価が計算されません。標準原価の計算の際には、次の手順が実行されます。

  1. カスタマイズ品目の実際原価を計算する

    取引発生元および会計取引別 PCS 会計取引 (tipcs3500m000) セッションで会計取引を実行すると、カスタマイズ品目ごとに実際原価が算出されます。品目のすべての実際原価が取得され、その品目の総数量で除算されます。カスタマイズ品目別標準原価 (tipcs3550m000) セッションで、原価構成要素ごとに実際品目の標準原価が更新されます。実際品目の標準原価合計は品目 - 原価計算 (ticpr0107m000) セッションで更新されます。

    [注意]: このステップは、メインプロジェクトに対しては実行されません。

  2. 実際プロジェクト関連原価を決定する

    [取引発生元および会計取引別 PCS 会計取引 (tipcs3500m000)] セッションで、現在のプロジェクトの会計取引が決定されます。あらゆる実際品目原価および一般費用によって、基本の実際プロジェクト原価が形成されます。

  3. 実際プロジェクト付加費用をプロジェクト原価合計に加算する

    サブプロジェクトの実際付加費用が何も定義されていない場合、メインプロジェクトに割り当てられた付加費用が適用されます。特定プロジェクトに対する実際プロジェクト費用が見つからない場合、プロジェクトの実際一般付加費用が算出されます。[プロジェクト (tipcs2101m000)] セッションの [承認済設計] チェックボックスがオフの場合、プロジェクト付加費用は考慮されません。

  4. 原価構成要素ごとの差異を決定する

    前の計算の付加費用が記帳されると、原価構成要素ごとの差異が次式で算出されます。

    
    				新規の実際付加費用 - 以前の (= すでに記帳された) 実際付加費用。
    				
    				その後、取引発生元 PCS と会計取引付加費用の差異に対して会計取引が行われます。 
  5. 請求額割合を算出する

    商品販売原価を算出するために、請求額割合が計算されます。請求額割合を計算するには、[プロジェクト詳細 (tipcs2130m000)] セッションで [予定収益] チェックボックスをオンにする必要があります。[予定収益] チェックボックスがオフの場合、次のことが適用されます。

    • 現在のプロジェクトに倉庫オーダまたは販売オーダが存在しない場合、請求額割合は 100 です。
    • 販売オーダまたは倉庫オーダが存在する場合、請求額がゼロを超えると、請求額割合は 100 になります。
    • 販売オーダまたは倉庫オーダが存在する場合、請求額がゼロのときは、納入が存在するかどうかがチェックされます。納入が存在する場合は割合が 100 になり、納入が存在しない場合は割合がゼロになります。

    [注意]: [予定収益] チェックボックスがオフの場合、請求額割合は 100 またはゼロのどちらかになります。

  6. 実際プロジェクト原価を更新する

    プロジェクト別標準原価 (tipcs3560m000) セッションで、実際プロジェクト原価が更新されます。

  7. 請求金額を更新する

    [プロジェクト詳細 (tipcs2130m000)] セッションで、請求金額が更新されます。

  8. [プロジェクト詳細 (tipcs2130m000)] セッションの [投資プロジェクト] チェックボックスがオフの場合、売上原価が計算されて記帳されます。

    売上原価の値は次のように計算されます。

    • プロジェクトをクローズする必要のある場合、売上原価はプロジェクト原価と等しくなります。
    • プロジェクトをクローズする必要のない場合、売上原価はプロジェクト原価を請求額割合で乗じた値と等しくなります。売上商品のプロジェクト原価は、[プロジェクト管理パラメータ (tipcs0100m000)] セッションの [プロジェクト関連売上原価の転記対象] フィールドの値に応じて、[実際原価] または [見積原価] のどちらかになります。

    チェックされる内容は次の 2 点です。

    1. [プロジェクト関連売上原価の転記対象] フィールドが [見積原価] に設定されている場合、[仕掛品値で限定された売上原価見積] パラメータが考慮されます。[仕掛品値で限定された売上原価見積] チェックボックスがオンの場合、売上原価は実際プロジェクト原価を超えません。売上原価は実際プロジェクト原価によって限定されます。
    2. [プロジェクト関連売上原価の転記対象] フィールドが [実際原価] の場合、売上原価が実際プロジェクト原価に等しくなるのは、次の条件が当てはまるときです。
    請求額割合 x 見積プロジェクト原価 > 実際プロジェクト原価
     

    売上原価が計算されると、LN に保管されます。以前の計算で商品原価がすでに記帳されている場合、その差異のみが転記されます。

  9. 一般結果を計算する (プロジェクトがクローズされている場合)

    [プロジェクトのクローズ (tipcs2250m000)] セッションでプロジェクトがクローズされている場合、一般結果が計算されます。[プロジェクト関連売上原価の転記対象] フィールドが [実際原価] の場合、プロジェクトレベルでは結果を計算できません。そのため、すでに記帳された結果をマイナスの金額で記帳することにより取り消します。古い結果が存在するのは、以前の原価計算から現在の原価計算までの間に [プロジェクト関連売上原価の転記対象] パラメータが変更された場合のみです。

    [プロジェクト関連売上原価の転記対象] パラメータが [見積原価] であると仮定しましょう。プロジェクト結果は次式で計算されます。

    結果 =
    				 売上原価 - 実際プロジェクト原価 - すでに記帳された結果

標準受注生産品目

  • 標準受注生産品目

    オーダ方針が標準受注生産 (STO) 品目である標準品目プロジェクトにリンクされている場合、原価計算プログラムによって完全標準受注生産構造が分析されます。

    この完全標準受注生産構造に対する分析方法は、カスタマイズ品目の製品構造と同様です。この製品構造は、自動的に一般品目レベルに展開されます。つまり、受注生産標準品目を製品構造に組み込まなくても、材料費および作業費を正確に計算できるということです。

    結果としてバッチ生産によって生じる利益は、段取原価に関連するものとなるため、見積プロジェクト計算の際は表示されません。これは、プロジェクト構造へ同じ受注生産標準品目をリンクする回数が数回にわたる場合に適用されます。

  • 標準ファントム品目

    受注生産標準品目についてのコメントは、プロジェクトにリンクされた標準ファントム品目にも適用されます。標準ファントム構造は、原価計算プログラムによって自動的に分析されます。この処理中は、材料費および作業費がファントムプロジェクトの原価計算に組み込まれます。バッチ生産および段取原価低減に関するコメントは、ファントムには適用されません。

注: 

実際プロジェクト原価は、プロジェクトの実際品目原価に限定されています。品目レベルの結果は、ここで記帳してはいけません。製造オーダのクローズ時などに記帳する必要があります。結果は取引発生元 PCS および会計取引の一般結果とともに記帳されます。