標準原価および評価額

標準原価は、品目と企業単位の組合せについて、標準原価計算コードを使用して、品目にリンクされた原価体系に基づいて計算されます。

原価計算の目的は次のとおりです。

  • シミュレーション
  • 見積
  • 分析

マルチサイト環境では、標準原価計算のトリガとなるシナリオがいくつかあります。

  • 1 つの企業単位のみの場合

    1 つの品目原価計算データレコードと企業単位が選択されます。

    選択した原価計算方法に応じて、トップダウン、ボトムアップ、またはシングルレベルで計算が実行されます。

    [注意]: 原価計算ソースが [関係会社間転送] または [関係会社間購買] である資材の場合、標準原価は会社間取引機能を使用して計算されます。供給側の企業単位で有効な資材の標準原価が使用されてソース側の金額が設定されます。

  • 会社にリンクされたすべての企業単位の場合

    原価計算ソースが [割当予定]、[ジョブショップ]、または [購買] であるすべてのレコードがまず選択されます。選択した企業単位に資材のレコードがない場合、エラーメッセージが表示されます。供給ソースが [関係会社間転送] または [関係会社間購買] である資材の場合、供給側の企業単位の標準原価も再計算されます。

    [注意]: 品目と企業単位の組合せについて計算が完了すると、その組合せが別の場所で会社間供給として使用されているか確認し、相手先の企業単位の標準原価を再計算する必要があります。

    他の原価計算ソースの計算がすべて完了したら、実行中にこの品目と企業単位の組合せの標準原価がまだ計算されていない場合、原価計算ソースが [関係会社間転送] および [関係会社間購買] のレコードをすべて選択します。

  • 会社にリンクされた一定範囲の企業単位の場合

    標準原価計算は、選択した範囲のすべての企業単位について反復実行されます。個々の企業単位については、最初のシナリオが実行されます。

    唯一の例外が生じるのは、原価ソースが [関係会社間転送] および [関係会社間購買] の資材が存在し、供給側の企業単位が範囲で選択されている場合です。その場合、品目と供給側の企業単位の組合せについて、ただちに標準原価が再計算されます。

注: 

[導入済ソフトウェア構成要素 (tccom0100s000)] セッションの企業単位別標準原価チェックボックスがオンであるものの、選択した品目について [品目 (tcibd0501m000)] セッションの [標準原価のレベル] チェックボックスが [会社] に設定されている場合、その品目は企業単位別の原価計算から除外されます。このような状況は、すでに存在する品目がマルチサイト環境に変換されたときに発生することがあります。

実際原価

実際原価計算には、いずれかの評価方法 (標準原価後入れ先出し (LIFO)先入れ先出し (FIFO)移動平均単位原価 (MAUC)、またはロット原価計算) が使用されます。この計算は経済価値に基づきます。評価額計算は状況や取引に左右されます。評価額計算は以下に基づいて実行されます。

  • 棚卸資産評価額
  • 出庫
  • 入庫
  • 転送

実際原価計算は、会計取引および財務会計の簡便化を目的としています。

実際原価内で発生する原価には、2 種類あります。どちらの原価が発生するかは、LN において付加費用が記帳される時点 (品目の入庫時または出庫時のどちらか) によって異なります。このいわゆる入庫実際原価計算と出庫評価額計算には、計算上差異があります。計算は次のように表されます。

LN では、倉庫 001 内の品目 A の入庫評価額計算の際に、次の値が算出されます。

  • 独立付加費用
  • 倉庫固有の付加費用
  • 品目および品目グループ固有の付加費用

出庫実際原価は、入庫評価額に以下を加算した額に等しくなります。

  • 出庫品目付加費用
  • 出庫品目/倉庫付加費用
  • 出庫倉庫付加費用