組立オーダの原価計算
原価計算は、組立管理モジュールのきわめて重要な一面です。原価計算の実行方法は、原価構成要素の定義方法に部分的に依存します。ここでは、それ以外の原価計算の様相について次の内容を取り上げます。
- 取引処理方法
- 仕掛品振替
- 最終結果の計算
- 組立管理モジュールの原価計算とジョブショップ管理 (JSC) モジュールの原価計算の違い
- 組立管理モジュールでの財務データの表示先
注:
ここで説明する財務原価計算の様相は、ライン順序に関連付けられた論理的算術的な原価とは関連性を持ちません。
原価構成要素
原価構成要素には、次の 4 種類があります。
- 資材
- 作業
- 付加費用
- 一般費用
原価構成要素は、原価体系の総計レベルおよび収集レベルで転記する必要があります。詳細レベルは任意です。
取引処理方法
組立管理モジュールは、フロー組立ラインで複合製品の多様なバリアントを生成する会社での使用を意図したモジュールです。[オーダ基準] 取引処理を選択した場合は、少量組立にも組立管理を使用できます。[組立管理パラメータ (tiasc0100m000)] セッションの取引処理フィールドで、取引処理方法を選択します。
- 元の組立オーダにさかのぼって追跡する必要がない場合は、[ラインステーション基準] 取引処理を使用します。原価が組立ライン別に転記されます。結果は期間別組立ライン別に計算されます。
- 個々の組立オーダに基づいて原価計算を実行する場合は、[オーダ基準] 取引処理を使用します。原価はオーダ別および組立ライン別に転記されます。結果はオーダ別および組立ライン別に計算されます。
仕掛品振替
仕掛品振替は以下の手順から成ります。
転送オーダの生成
仕掛品振替では、転送オーダが生成されます。ただし、別個のロジスティック会社のラインステーション間で転送が発生した場合は、販売オーダおよび購買オーダが生成されます。資材出庫の実行
仕掛品出庫は、パラメータ設定に応じて、転送倉庫オーダをブロック解除することも、また即時処理することもできます。複数会社の場合、通常の販売手順に従って商品を出荷する必要があります。入庫の実行
供給組立ラインから仕掛品を受け取ったメイン組立ラインでは、仕掛品振替オーダの受領が、仕掛品入庫によって認知されます。倉庫管理によって自動的に入庫ラインが処理されます。組立ラインが 2 つの別個のロジスティック会社からのものである場合、販売オーダおよび購買オーダを (仕掛品振替オーダの代わりに) 使用する必要があります。複数会社の場合、通常の入庫手順に従って商品を入庫する必要があります。
これらの処理は自動的、半自動的、またはマニュアルで実行されます。
財務結果の計算
組立ラインのクローズ (tiasc7220m000) セッションで組立ラインをクローズすると、ラインの製造結果が計算されます。ラインステーションオーダはすべて、状況が [クローズ] である必要があります。財務結果は、仕掛品取引 (見積原価) から実際原価を差し引いた値です。
工程管理と組立管理の原価計算の違い
- 組立管理では、完了数量は常に 1 です。
- 組立管理には、仕損および産出率が存在しません。
- 仕掛品振替は別個の組立ライン間でのみ作成されるものであり、(同一ラインの) ラインステーション間では作成されない。
- 組立管理には、設定時間が存在しません。
- 組立オーダに関しては、完成品単位原価 (オーダの見積材料費および時間原価) が計算されない。この計算は不要です。なぜなら、各完成品には同じ組立ラインが使用されるので、品目ごとに別個に付加費用を作成しても意味がないためです。
- [ラインステーション基準] 取引処理の場合、組立オーダに関しては差異が計算されますが、一般品目に関しては差異が計算されません。
- 組立管理では、製造結果は価格差異および能率差異に分割されません。
- 組立管理での財務結果は、組立ラインの原価構成要素に転記されます。
組立管理における財務データの表示先
- 会計取引 (tiasc7510m000)
- 会計取引の出力 (tiasc7410m000)
- 組立ライン別会計取引の出力 (tiasc7414m000)
- 組立オーダまたは組立ライン別原価計算の出力 (tiasc7411m000)