財務会計での外部ユーロ初期化
法的基準と会計原則では通常、登録済の購買および販売請求書の請求通貨と請求額を変更することが禁止されています。このため、LN では、外部ユーロ初期化中に財務会計データベース内の未決済請求書の取引額が変更されません。
請求通貨が EMU 通貨の場合、移行後に EMU 通貨が実際に存在しなくなるため、問題が発生します。この結果、支払通知、利息請求書、現預金予測などを請求通貨で生成できなくなります。
外部ユーロ換算で EMU 通貨建ての未決済請求額がユーロに換算された後、支払通知、利息請求書、現預金予測などを生成し、この金額を表示/出力します。外部ユーロ換算では、データベースに保存されているオリジナル金額および通貨が変更されず、EMU 通貨のままになります。
欧州連合圏外の企業は、取引先が EMU 通貨を使用している場合、外部ユーロ換算を使用して、換算後に EMU 通貨建ての未決済請求額を処理することも必要となります。
外部ユーロ換算では、すべてのタイプの複数通貨システム (新規の標準通貨システムを含む) を使用できます。また、ユーロ対応の会社とユーロ非対応の会社のどちらでも外部ユーロ換算を使用することができます。
外部ユーロ換算機能
外部ユーロ換算は、次の取引額に使用できます。
- 売掛金 での未決済品目
- 買掛金 での未決済品目
- 現預金管理 での支払/回収予定
スタンディングオーダは、請求書がリンクされていない支払です。必要に応じて、スタンディングオーダを修正し、ユーロ通貨でスタンディングオーダを作成することができます。このため、外部ユーロ換算はスタンディングオーダ金額に適用されません。
標準通貨システムでは、財務会計 での外部ユーロ換算をまだ使用できません。
前提条件
LN では、次の条件が満たされている場合に、未決済請求額の外部ユーロ換算を実行できます。
- [通貨 (tcmcs0102m000)] セッションで取引通貨 (請求通貨) の [EMU 通貨] チェックボックスがオンになっている
- [通貨 (tcmcs0102m000)] セッションでユーロが定義されている。
- ユーロ通貨が 「移行中通貨」 (LN FP5) または 「ユーロ通貨」 (それ以前のバージョン) として [会社 (tcemm1170m000)] セッションで定義されている。
- ユーロ通貨と会社の自国通貨との間の為替レートが [為替レート (tcmcs0108m000)] セッションで定義されている。
- 請求額に適用されているレート換算基準が 「固定」 タイプでない
請求額に適用されているレート換算基準が 「固定」 タイプの場合は、固定レートが EMU 通貨とユーロとの間の固定レートから取得されたレートと異なる可能性があるため、請求額が換算されません。
データベースへの金額の登録とレートの登録
外部換算処理に関して、次の点を十分に認識しておく必要があります。
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LN への金額の登録
取引額は、次の通貨で計算されてデータベースに保存されます。
- 取引通貨
- それぞれの自国通貨 (標準通貨システムの場合は、レポート自国通貨建ての金額だけが総勘定元帳と補助元帳に保存される)
- 通常、取引額から自国通貨額への変換に使用された為替レートおよびレート係数とそのレートの発効日は、同じテーブルに金額とともに保存されます。
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LN への為替レート/レート係数の登録
通貨システムに応じて、次の為替レートとそれに対応するレート係数が [為替レート (tcmcs0108m000)] セッションで定義されます。自国通貨以外の各通貨間の為替レートは使用できません。
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標準複数通貨システム
取引通貨とそれぞれの自国通貨 (参照通貨を含む) との間の為替レート、現地自国通貨とレポート自国通貨との間の為替レート -
単一通貨システム
取引通貨と参照通貨との間の為替レート -
依存複数通貨システム
取引通貨と参照通貨との間の為替レート参照通貨と他の自国通貨との間の為替レート -
独立複数通貨システム
取引通貨とそれぞれの自国通貨 (参照通貨を含む) との間の為替レート
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外部ユーロ換算の入力
EMU 通貨建ての取引額をユーロに換算する場合は、外部ユーロ換算で次の入力データが使用されます。
- EMU 取引通貨
- 参照通貨建てで表された取引額
- レート日
- レート換算基準
- 為替レートタイプ
換算処理
外部換算処理中に、LN で次の処理が実行されます。
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為替換算
該当するセッションまたは伝票で EMU 通貨のコードおよび記述をユーロのコードおよび記述に変更する -
金額換算
請求額をユーロで再計算する。計算方法は会社の通貨システムによって異なります。「金額換算」 を参照してください。 -
レートおよびレート係数の設定
ユーロ建ての新規の請求額を自国通貨に変換する場合に使用する為替レートおよびレート係数を設定する。為替レートおよびレート係数を設定する方法は会社の通貨システムによって異なります。
金額換算
外部ユーロ換算では、データベースに保存されている未決済請求書のオリジナルデータが変更されません。
金額の換算方法は次のとおりです。
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ユーロ対応の単一通貨システムおよび依存複数通貨システム
参照通貨はユーロです。換算額は参照通貨建ての取引額になります。 -
自国通貨のいずれかがユーロの場合
換算額は自国通貨 (ユーロ) 建ての取引額になります。 -
ユーロ非対応システム
ユーロが自国通貨の 1 つでないため、EMU 通貨とユーロとの間の為替レートは使用できません。次の理由から、参照通貨建ての請求額はユーロに換算されます。
- 単一通貨システムおよび依存複数通貨システムでは、参照通貨を使用する必要があります。
- 独立複数通貨システムでは、参照通貨が最も安定性の高い通貨になる可能性があります。
レート/レート係数の設定
請求額をユーロに換算すると、ユーロと自国通貨との間のレートおよびレート係数が設定されます。
参照通貨がユーロ以外の場合は、金額の換算後、為替レート (tcmcs008) テーブルからレートが取得される代わりに、ユーロ建ての取引額と参照通貨建ての取引額との間のレートが LN で算出されます。これは、取引額の再評価を回避するために行われます。
[通貨 (tcmcs0102m000)] セッション内のユーロ通貨に関する [基準通貨 で表示] チェックボックスのオン/オフに応じて、LN でユーロ建ての金額が参照通貨建ての金額で除算されるか、この逆の除算が行われます。
レートおよびレート係数の設定方法は次のとおりです。
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単一通貨システムまたは依存複数通貨システム
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参照通貨がユーロの場合
LN で為替レートが 1.0 に設定され、レート係数が 1 に設定されます。参照通貨と他の自国通貨との間のレートには影響がありません。
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参照通貨がユーロ以外の場合
ユーロと参照通貨との間のレートが算出されます。
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独立複数通貨システム
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自国通貨のいずれかがユーロの場合
LN で為替レートが 1.0 に設定され、レート係数が 1 に設定されます。ユーロと他の自国通貨との間のレートが為替レート (tcmcs008) テーブルから取得されます。
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自国通貨がいずれもユーロでない場合
ユーロと参照通貨との間のレートが算出されます。ユーロと他の自国通貨との間のレートが為替レート (tcmcs008) テーブルから取得されます。
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