複数会社環境

LN は、所在地が少ない単一会社の中小企業から、複数の会社やいくつもの所在地を抱える大規模なグローバル企業まで、さまざまな企業を広範にサポートします。

複数会社環境の要件を満たすために、LN には次の機能があります。

  • 複数会社の構成要素

    複数会社環境のモデル化には、次の構成要素を使用できます。

    • 財務会社

      1 組以上の財務テーブルを持つ会社。財務会社の主な機能は、財務会社にリンクされている企業単位内で実行された活動によって発生した会計取引を、すべて登録することです。これらの活動には、ロジスティック商品フロー、製造、サービス、倉庫管理、サポート活動によって発生する運営取引とロジスティック取引が含まれます。
    • ロジスティック会社

      商品の製造、購買、販売、倉庫管理、輸送といった、ロジスティック処理に使用される会社。取引に関連する全ロジスティックデータは会社のデータベースに保管されます。
    • 企業単位

      論理的にグループ化され、同じ財務会社、同じロジスティック会社にリンクされた一連の法人。企業単位は、ロジスティックの文脈内では独立した財務単位と考えられます。
    • サイト

      マルチサイトコンセプトが [コンセプトの有効化 (tcemm4600m000)] ワークベンチセッションで有効化されている場合、サイトを使用できます。サイトは、1 つのロジスティック会社にリンクされます。サイトは商品の製造、購買、販売、倉庫管理、輸送といった、ロジスティック処理に使用されます。サイトでは、特定の場所に適用されるローカルデータと設定を定義できます。これは、ロジスティック会社で定義されている会社データとは異なります。
    • 部署および倉庫

      部署および倉庫は、商品の保管、製造、商品やサービスの販売または購買に関連する活動など、特定のタスクが実行される組織単位です。企業構造の部署および倉庫は、ロジスティックフローをサポートするためにサイトにリンクされ、財務フローをサポートするために企業単位にリンクされます。『企業構造ユーザガイド』を参照してください。
    • 計画クラスタ

      企業計画を導入している場合、ロジスティックと製造計画が、計画クラスタに基づいて作成されます。サイトは、会社内で計画クラスタ別にグループ化されます。1 つの計画クラスタには複数のサイトを含めることができ、サイトは 1 つの計画クラスタにリンクできます。

    LN の複数会社環境は、組織の構造および LN データベースが存在するサーバの数に応じて、複数のロジスティックおよび財務会社で構成できます。

  • 企業構造モデル

    LN エンタープライズモデラツールを使用して、企業の構造をモデル化できます。これにより、LN データベースに依存せずに企業をモデル化できます。

    また、企業モデル管理モジュールで、企業構造を直接設定することもできます。

  • 複数通貨システム

    さまざまな会社またはビジネス単位の所在地が異なる国々に分かれている場合、複数会社構造の会社で使用する複数通貨システムを設定する必要があります。

    ロジスティック会社は複数の国で運営できます。LN の複数通貨システムを使用して、複数の通貨による会計を会社に導入できます。最大 3 種類の通貨で金額を計算および登録できます。

  • ロジスティック会社間取引

    販売オフィス、購買オフィス、ワークセンタ、サービスセンタ、倉庫は、ロジスティック会社のエンティティです。これらのエンティティは、企業単位にグループ化されます。

    1 つのロジスティック会社内の企業単位を互いに顧客および発注先として定義し、企業単位間の商品フローのほか、請求や価格設定契約などの対応する財務関係をモデル化することができます。これを実際に行うには、内部取引先を定義して企業単位にリンクする必要があります。内部取引先と企業単位の間に 1 対 1 の関係がある必要があります。

  • データ共有

    複数会社構造の会社では整合性があるデータを使用する必要があります。たとえば、さまざまな会社で同じカレンダー、品目コード、取引先、価格設定情報を使用できます。

    データによって、共有する必要がある場合、必要に応じて共有できる場合、共有してはならない場合があります。複数のデータ共有技術およびデータ複製技術を使用して、各会社で同じデータを使用できるようにすることができます。

  • 複数会社処理

    複数会社構造を使用すると、企業全体での製造計画管理および経営管理を行うことができます。

以降のセクションでは、さまざまな LN パッケージがサポートする複数会社機能について概要を示します。

複数会社財務会計

1 つのロジスティック会社内で、異なる財務会社にリンクされている企業単位の部署、ワークセンタ、倉庫間のロジスティック取引を処理できます。ロジスティック取引の借方側と貸方側が異なる財務会社へ転記される場合、LN で自動的に会社間取引が作成されます。

企業会計用に、財務会社のグループのデータを財務グループ会社に集計することができます。

複数会社税務

税金レポートは財務会計の一部であり、1 つの国に制限されます。このため、複数会社構造での LN の税金処理は、単一会社環境での税金処理と似ています。

LN の税金処理には、次の機能があります。

  • 税金登録

    税金登録のため、各国のさまざまな税金詳細を税務モジュールで定義します。財務会計総勘定元帳モジュールで、財務会社ごとに別々に税額の元帳勘定を指定します。税金コードごとに計算された税額を、単一ロジスティック、複数財務会社構造などの個別の財務会社の異なる元帳勘定に転記できます。

  • EU 地域内取引の付加価値税処理

    欧州連合 (EU) 国間の商品転送では付加価値税 (VAT) の処理が必要です。商品の出荷国、納入国、請求国に応じて、さまざまなタイプの付加価値税が取引に適用されます。
  • 外国での税金登録

    場合によっては、外国で税金申告を行う必要がある取引もあります。一般的に、これが発生する可能性があるのは、サービス品目を発注先からサービス活動を実行する顧客に直接納入する場合と、使用しなかった予備部品をサービス提供地から発注先へ直接返品する場合です。

複数会社請求

LN の請求処理には、次の機能があります。

  • 販売請求

    構成基準の条件が満たされている場合、1 取引先ごとに、販売プロジェクトサービスなどのさまざまなロジスティックパッケージから出された販売請求書ラインを、1 つの請求書伝票にまとめることができます。請求では、マニュアル販売請求書データなどの財務データを、他のロジスティックデータとともに 1 つの請求書にまとめることができます。

    請求書伝票は財務会社ごとに生成されます。

  • 関係会社間取引

    内部取引では、さまざまなエンティティが商品および商品の請求書を送付または受領すると、内部会計決済が生成されます。エンティティは、部署、倉庫、内部取引先、外部取引先などです。LN は、関連する財務会社内のエンティティ間の内部請求書または決済取引を自動的に生成します。

    請求は、同じロジスティック会社および異なる財務会社の企業単位間で発生する可能性があります。LN は自己請求機能を使用して、内部請求および内部支払を生成します。

複数会社企業計画

中央複数会社計画を使用して、製造会社のローカル計画を調整およびトリガする中央計画を定義できます。計画をさまざまなレベルに集計および分散することもできます。

複数会社製造

製品定義、設計データ管理、生産日程計画、実行は、各ロジスティック会社で管理されます。企業単位は、財務に影響しない活動には影響しません。

ロジスティック会社で、異なる国にあり異なる企業単位に属するワークセンタを、工順に含めることができます。仕掛品 (WIP) の移動は企業単位の財務会社に転記されます。

[コンセプトの有効化 (tcemm4600m000)] ワークベンチセッションでマルチサイトコンセプトを有効化した場合、個別のサイトに応じてジョブショップ部品表工順を定義し、それぞれ異なる場所にあるさまざまな機械、工順、または資材を使用して品目を製造する方法をモデル化できます。

複数会社販売および調達

販売オーダの入力中、自社および他のロジスティック会社の倉庫にある利用可能な在庫を確認するには、企業構成を使用するか、企業計画とオーダ確約を使用できます。販売オフィスおよび倉庫が別の財務会社にリンクされている場合、財務会社間の関係会社間精算を生成できます。

LN は、販売オフィスごとおよび購買オフィスごとに、一部の販売取引先データを別々に登録します。さまざまな企業単位が同じ顧客および発注先と取引できます。

複数会社構造では、購買オーダの全部または一部を集中的に管理できます。たとえば、組織のすべての会社に適用される価格と値引についての合意を含む、発注先との中央購買契約を作成できます。

複数会社プロジェクト

プロジェクトは企業単位にリンクする必要があり、また、財務会社にもリンクする必要があります。複数の財務会社を利用する場合、1 つのロジスティック会社のプロジェクトに関する個別の財務会計を実行できます。

複数のサブプロジェクトのデータを 1 つのメインプロジェクトに集計し、プロジェクトを統合的にモニタリングできます。

プロジェクトごとまたはサブプロジェクトごとに、プロジェクト通貨を指定できます。これにより、作業が実施されている国の現地通貨など任意の通貨を使用して、プロジェクトを管理できます。

複数会社サービス

サービスやメンテナンスに使用される予備部品、構成要素を保管するサービス部署および倉庫は、企業単位に属します。サービス部署とその倉庫で個別に財務会計を実行するため、異なる財務会社にリンクされた企業単位に、サービス部署と倉庫を割り当てることができます。

材料費、労務費、その他の費用が、サービス部署と倉庫の間、またはサービス部署間 (デポ修理の内部外注の場合) で転送されると、これらの部署と倉庫の間の請求処理を実行できます。関係会社間取引モジュールで、さまざまなエンティティ間の請求との関係会社間取引関係を定義できます。

また、複数のロジスティック会社環境でのサービス業務を記録し、処理することができます。

複数会社倉庫管理

企業単位間または同じロジスティック会社の個別の倉庫間で、材料費、労務費、その他の費用を転送する際の関係会社間取引関係を定義し、販売オーダや購買オーダによらずにこれらの請求書を生成することができます。たとえば、異なる国にある倉庫間で商品を転送する際にこの方法を利用できます。

倉庫からの出庫時または商品の受領時に商品の実際原価に付加される、倉庫付加費用を定義できます。

複数会社輸送

複数の所在地の輸送オーダ、輸送オーダクラスタ、出荷、積荷を集中的に管理および処理できます。この処理を使用することにより、輸送関連の要件、輸送オーダ処理の最適化、積荷と出荷の統合および計画、コストの削減、運送業者への輸送の外注に関して、明確な洞察が得られます。