原価ペグ供給関係の使用

複数の事業部門からなる大企業の場合、1 つの事業部門で製造される部分組立品を別のロジスティック会社の別の事業部門に納入しなくてはならないことがよくあります。プロジェクト原価ペギングが必要な場合には、特定のプロジェクトに関するすべての原価を両方の事業部門で追跡する必要があります。両社でプロジェクトをセットアップし、原価ペグ供給関係を定義して両プロジェクト間のリンクを確立する必要があります。原価ペグ供給関係により、需要会社の需要原価ペグと供給会社の供給原価ペグがリンクされます。

マスタデータ

原価ペグ供給関係を使用するには、以下の条件が満たされている必要があります。

  • 両社で、[導入済ソフトウェア構成要素 (tccom0100s000)] セッションのプロジェクトペギングチェックボックスがオンになっている。
  • [品目 (tcibd0501m000)] セッションで、当該構成要素に対しプロジェクトペグの継承または必須プロジェクトペグチェックボックスがオンになっている。
  • 受取会社の 供給関係 (cprpd7130m000) セッションで、当該構成要素の供給関係が有効になっている。
  • 両方の事業部門で、当該構成要素に同一品目コードが割り当てられている。
注: 

[プロジェクトペギングパラメータ (tcpeg0100m000)] セッションで、複数会社の倉庫移動に同一原価ペグを使用チェックボックスがオンになっている場合は、ユーザが原価ペグ供給関係を作成する必要はありません。受取側の原価ペグに供給側の原価ペグと同じコードが使用されます (その逆も同様です)。ただし、自動原価ペグ生成機能を使用するには、受取会社と供給会社で同一のプロジェクトコード、活動コード、要素コードが使用されている必要があります。

[プロジェクトペギングパラメータ (tcpeg0100m000)] セッションの [複数会社の倉庫移動に同一原価ペグを使用] チェックボックスがオフになっている場合に、別の事業部門から部分組立品を納入する必要があるときは、受取会社側の原価ペグ供給関係 (tppss3130m000) セッションでマニュアルで原価供給関係を指定できます。これにより、供給会社側の [原価ペグ供給関係 (tppss3130m000)] セッションに、追加する必要のある供給原価ペグデータが表示されます。また、供給原価ペグをこの原価ペグ供給関係に追加する必要があることを、供給側の事業部門に SocialSpace 経由で通知することができます。

供給側の事業部門が供給原価ペグを追加した後、原価ペグ供給関係の状況を[完了]に設定できます。[完了] 状況の原価ペグ供給関係は、計画物流オーダまたは (マニュアル) 倉庫移動に使用できます。

計画物流オーダと倉庫移動

需要オーダに対して他のロジスティック会社の事業部門からの供給が必要となった場合は、オーダ計画の生成 (cprrp1210m000) セッションを使用して、そのプロジェクトペグ付需要に対して複数会社計画物流オーダが生成されます。

1 つの計画物流オーダにつき、複数のプロジェクトペグを持つ複数の需要オーダと、1 つのペグ区分を割り当てることができます。企業計画はこれらのペグのそれぞれに適用可能な原価ペグ供給関係を使用して、供給会社の計画在庫移動に渡すプロジェクトペグを取得します。

受取会社の [オーダの転送計画 (cppat1210m000)] セッションでは、複数会社の原価ペグ付計画物流オーダを倉庫移動のみに転送できます。購買オーダには転送できません。倉庫移動には、計画物流オーダの受取/供給原価ペグが使用されます。

注: 

供給会社側で当該品目に原価ペグが付けられていない (プロジェクトペグの継承および必須プロジェクトペグチェックボックスがオフになっている) 場合は、供給原価ペグを空白のままにしておくことができます。

計画物流オーダの場合、受取会社側の需要が倉庫移動を介して供給をトリガします。以下の表は、このシナリオでサポートされる様々なペギングオプションを示しています。

計画物流オーダ 供給会社
必須プロジェクトペグがオンの状態 プロジェクトペグの継承がオンの状態 原価ペグなし
受取会社 原価ペグ付 受入/供給原価ペグ 受入/供給原価ペグ 受取原価ペグのみ
原価ペグなし サポートされていません 両事業部門で原価ペグなし 両事業部門で原価ペグなし

倉庫移動をマニュアルで作成することもできます。その場合は、受取原価ペグを取得する際に参照される供給原価ペグをマニュアルで選択する必要があります。1 つの供給原価ペグに複数の受取原価ペグがリンクされている場合、リンクされているすべての受取原価ペグが表示されます。この中から使用する受取原価ペグを選択できます。または、既存の原価ペグ供給関係を選択することもできます。

転送対象の供給に対応する原価ペグ供給関係が検出されない場合は、エラーメッセージが表示されます。

マニュアル倉庫移動の場合は、受取側がトリガされる前に供給会社側で倉庫移動が作成されます。以下の表は、このシナリオでサポートされる様々なペギングオプションを示しています。

マニュアル倉庫移動 供給会社
原価ペグ付 原価ペグなし
受取会社 必須プロジェクトペグがオンの状態 受入/供給原価ペグ サポートされていません
プロジェクトペグの継承がオンの状態 受入/供給原価ペグ 両事業部門で原価ペグなし
原価ペグなし 供給事業部門のみで原価ペグ 両事業部門で原価ペグなし

原価ペグ供給関係の更新

計画物流オーダ

  • 受取事業部門が需要オーダの原価ペグを変更する場合、既存の原価ペグ供給関係をマニュアルで更新する必要があります。更新を実行するには、原価ペグ供給関係の状況が[ドラフト]である必要があります。原価ペグ供給関係が変更され、状況が [提出済] に設定されると、供給事業部門側で供給原価ペグを更新できるようになります。
  • 供給事業部門は、原価ペグ供給関係の状況が [ドラフト] または [提出済] の場合に供給原価ペグを変更できます。
  • 倉庫移動の作成後に原価ペグ供給関係が変更される場合は、その倉庫移動をマニュアルで削除するか、倉庫移動の原価ペグを変更する必要があります。

マニュアル倉庫移動

  • 供給事業部門が倉庫移動の供給原価ペグを変更しても、既存の原価ペグ供給関係は変更されません。必要に応じ、受取事業部門が倉庫移動の受取原価ペグをマニュアルで変更する必要があります。
  • 供給事業部門は、原価ペグ供給関係の状況が [ドラフト] の場合に供給原価ペグを変更できます。
  • 受取事業部門は、原価ペグ供給関係の状況が [ドラフト] の場合に、出荷元または出荷先の会社を変更できます。原価ペグ供給関係が変更され、状況が [提出済] に設定されると、供給事業部門側で供給原価ペグを更新できるようになります。
  • 受取事業部門は、原価ペグ供給関係の状況が [ドラフト] または [提出済] の場合に受取原価ペグを変更できます。
注: 

[ドラフト] または [クローズ] 状況の原価ペグ供給関係は削除できます。