販売原価構造の適用
大企業では、外部顧客のオーダまたはプロジェクトを履行するために、さまざまな組織のエンティティが関係することがあります。たとえば、所在地 A が部分組立品を所在地 B に納入し、所在地 B でその部分組立品を使用して完成品を製造して、外部顧客に販売します。内部的には、所在地 A は販売エンティティで、所在地 B は購買エンティティです。
品目の原価を詳しく調べるために、購買エンティティは販売エンティティの品目またはプロジェクトの原価構成要素構造を採用できます。前述の例では、所在地 B は所在地 A から購入する部分組立品の原価構造を採用できます。また、特定の原価構成要素を定義し、それに対して、販売エンティティの関係会社間取引利益のマージンを記帳できます。
販売原価構造を採用すると、購買エンティティは原価の詳細像が得られるだけでなく、上位の管理もこの情報を各種の分析に使用できます。たとえば、特定の顧客または地域への販売に関係したビジネス単位のグループについて、原価率と利益率を分析できます。
サポートするシナリオおよび発生元ビジネスオブジェクト
販売原価構造の採用とマージン原価構成要素の指定は、関係会社間取引シナリオおよび発生元ビジネスオブジェクトのほとんどの組合せについてサポートされています。
処理
販売原価構造の採用とマージン原価構成要素の指定は、該当する関係会社間取引オーダについて実行されます。
関係会社間取引オーダの作成時に、該当する関係会社間取引合意の値は、デフォルトで関係会社間取引オーダの販売原価構造の適用チェックボックスおよびマージン原価構成要素フィールドの値に設定されます。オーダ状況が [オープン] または [処理準備完了] の場合、これらのデフォルト設定を修正できます。
販売原価構造の適用チェックボックスおよびマージン原価構成要素フィールドは以下のセッションで使用できます。
- 関係会社間取引オーダ (tcitr3100m000)
- 関係会社間取引オーダ - 購買 (tcitr3100m300)
- 関係会社間取引オーダ (tcitr3100s000)
- 関係会社間取引オーダ - 購買 (tcitr3100s300)
- 関係会社間取引オーダ (tcitr3600m000)
- 関係会社間取引オーダ - 購買 (tcitr3600m300)
取引ラインの作成時に、購買エンティティにより販売エンティティの原価構成要素構造が採用されます。採用された原価構造は、以下のようなさまざまなセッションに表示されます。
- 販売オーダ実際納入ライン売上原価 (tdsls4109m000)
- 在庫入庫処理 - 原価詳細 (whina1513m000)
- 統合取引 (tfgld4582m000)
設定
- この機能を使用するには、関係会社間取引パラメータ (tcitr0100m000) セッションの [販売原価構造の適用] チェックボックスをオンまたはオフにします。この設定はデフォルトで関係会社間取引合意 (tcitr1100m000) セッションの 販売原価構造の適用 チェックボックスの値に設定されます。
該当する関係会社間取引合意について、関係会社間取引合意 (tcitr1100m000) セッションで次の操作を行います。
- 販売原価構造の適用 チェックボックスをオンにします。
- マージン原価構成要素 フィールドに利益のマージン原価構成要素を指定することもできます。
販売原価構造を採用するための要件は、エンティティまたは地域の特定のグループで異なる場合があります。これらの要件を満たすために、異なる関係会社間取引関係が必要になることがあります。
たとえば、エンティティ A とエンティティ B の関係会社間取引合意 X には販売原価構造を採用する必要があるが、エンティティ A と地域 C のエンティティとの間には不要である場合、異なる関係を定義し、それぞれの関係について原価構造を採用するために必要な設定を指定する必要があります。