マルチサイトの例 - 航空機メーカーの LN 企業モデル
航空機メーカーは、LN で利用可能なさまざまな企業モデル管理の構成要素を使用してモデル化されます。
次の図は、航空機メーカーのロジスティック、製造、および財務フローに関係する、企業単位、サイト、部署、および倉庫を示します。
会社
航空機メーカーは、ロジスティック会社および対応する財務会社としてモデル化されます。
航空機メーカーは、ロジスティック会社としてモデル化されます。その理由は、LN では、全社的な処理データとロジスティックおよび商業的なマスタデータのメンテナンスにロジスティック会社が使用されるためです。
財務レポートが一元的に実行され、組織のすべての部分が法人に属するため、1 つの財務会社がこの航空機メーカーにも定義されます。
企業単位
航空機メーカーの財務フローを反映するには、各製造単位を企業単位としてモデル化します。製造単位 A は企業単位 EUA として、製造単位 B は企業単位 EUB として、製造単位 C は企業単位 EUC としてモデル化されます。
販売単位 S は、企業単位 EUS としてモデル化されます。
企業単位 EUA には、倉庫やワークセンタなどの、酸素マスクおよび Eagle Long Range の製造に関係するすべての施設が含まれます。完成した航空機を顧客に出荷する最終商品倉庫はこれに含まれません。
企業単位 EUB には次のエンティティが属します。
- 倉庫および Eagle Midrange の製造に関係する製造ホール。完成した航空機を顧客に出荷する最終商品倉庫を除く
- 購買した酸素マスクの入庫および製造への出庫に関係する倉庫
- 製造単位 B での酸素マスクの現地購買を担当する購買オフィス
企業単位 EUC には次のエンティティが属します。
- 倉庫および Buzzard Pro の製造に関係する製造ホール。完成した航空機を顧客に出荷する最終商品倉庫を除く
- 購買した酸素マスクの入庫および製造への出庫に関係する倉庫
- 製造単位 C での酸素マスクの現地購買を担当する購買オフィス
企業単位 EUS には次のエンティティが属します。
- 各製造単位で製造された航空機の販売を扱う販売オフィス
-
製造単位 A、B、C で製造された航空機を顧客に出荷する最終商品倉庫
次の表に、最終商品倉庫が位置するサイトを航空機タイプごとに示します。
航空機タイプ サイト Eagle Long Range SA Eagle Midrange SB Buzzard Pro SC
LN では、企業単位は、自身の財務管理の責任を負う組織の部分を表します。企業単位は、このようにして、ビジネス単位の財務フローを反映します。標準原価も企業単位別に定義します。
各製造単位、および販売単位は、独立した企業単位として定義する必要があります。その理由は、航空機メーカーは、単位レベルで管理会計を行っており、各製造単位および販売単位で標準原価が異なるためです。
サイト
航空機メーカーの製造フローおよびロジスティックフローを反映するには、次のサイトを定義する必要があります。
-
SA
サイト SA には、組織の次の部分が存在します。
- 倉庫やワークセンタなどの、酸素マスクおよび Eagle Long Range の製造に関係するすべての施設。これらの施設は企業単位 EUA に属します。
- 完成した Eagle Long Range の航空機を顧客に出荷する最終商品倉庫。これらの倉庫は企業単位 EUS の一部です。
- 販売単位 S の販売オフィス。企業単位 EUS に属します。
-
SB
サイト SB には、組織の次の部分が存在します。
エンティティ 使用 属する企業単位 倉庫 Eagle Midrange の製造に関係 EUB ワークセンタ Eagle Midrange の製造 EUB 倉庫 購買した酸素マスクの入庫および製造への出庫 EUB 購買オフィス 製造単位 B の酸素マスクの現地購買 EUB 最終商品倉庫 完成した Eagle Midrange の入庫および顧客への出荷 EUS -
SC
サイト SC には、組織の以下の部分が存在します。
エンティティ 使用 属する企業単位 倉庫 Buzzard Pro の製造に関係 EUC ワークセンタ Buzzard Pro の製造 EUC 倉庫 購買した酸素マスクの入庫および製造への出庫 EUC 購買オフィス 製造単位 C の酸素マスクの現地購買 EUC 最終商品倉庫 完成した Buzzard Pro の入庫および顧客への出荷 EUS
サイトは、次のデータを定義するようにモデル化されています。
- 各製造単位固有のロジスティックおよび製造データ
- 各サイトに位置する倉庫および部署
サイトのサブエンティティの設定
サイトには、次のサブエンティティの設定が必要です。
-
製造
サイト SA では、ワークセンタを設定し、製造データを定義するために、製造サブエンティティを設定する必要があります。製造データには、製造オーダシリーズ、作業手順設定、酸素マスクおよび完成した航空機の両方の資材の取り扱いが含まれます。サイトSB および SC では、製造設定は、完成した航空機に対してのみ必要です。 -
倉庫管理
すべてのサイトで、倉庫を設定し、サイトごとの入庫および出庫フローを管理する設定を定義するために、倉庫サブエンティティを設定する必要があります。『倉庫管理 - マルチサイトユーザガイド』を参照してください。 -
販売
すべてのサイトで、完成した航空機を販売オーダに基づいて出荷するために、販売サブエンティティを設定する必要があります。 -
調達
サイト SB および SC では、調達サブエンティティも設定する必要があります。購買オーダに基づく購買した酸素マスクの入庫のために、これらの設定が必要です。
倉庫
各製造単位の工程倉庫、通常倉庫、検査倉庫、および最終商品倉庫は、LN で倉庫として定義し、その倉庫が位置するサイトにリンクします。
最終商品倉庫を除いて、各サイトの倉庫は、製造単位に定義されている企業単位にもリンクします。
各サイトの最終商品倉庫を企業単位 EUS にリンクする理由は以下のとおりです。
- 在庫は販売単位が所有する
- EUS の標準原価は、製造単位と販売単位の間の内部振替に基づく
したがって、最終商品倉庫は、最終商品倉庫が属する製造単位の 「サイト」 と、販売単位の 「企業単位」 にリンクします。このように、リードタイムや運送業者などのサイトのロジスティックデータ、および企業単位の標準原価が、最終商品倉庫に適用されます。
オフィス
オフィスの所在地 | モデル名 | 定義 | タイプ | リンクされるサイト | リンクされる企業単位 |
---|---|---|---|---|---|
販売単位 S | SO | 部署 | 販売オフィス | SA | EUS |
製造単位 B | PB | 部署 | 購買オフィス | SB | EUB |
製造単位 C | PC | 部署 | 購買オフィス | SC | EUC |
販売単位 S の販売オフィスは、販売オフィス SO として定義されます。その理由は、販売価格や販売オーダデータなどの商業データは、LN で販売オフィスに定義されるためです。販売オフィス SO は企業単位 EUS にリンクされます。その理由は、管理会計が単位レベルで行われ、販売オフィス SO が販売単位 S に属するためです。この販売オフィスはサイト SA にリンクされ、この販売オフィスがサイト SA に位置することを示します。
購買オフィス PB はサイト SB にリンクされます。その理由は、この購買オフィスがサイト SB に位置し、酸素マスクの購買価格が LN のサイトレベルで定義されるためです。
購買オフィス PB は企業単位 EUB にリンクされます。その理由は、この航空機メーカーでは単位レベルで管理会計が行われるためです。また、製造単位 B での酸素マスクの購買に関係する会計取引は財務会社に記帳される必要があるため、この財務会社は企業単位 EUB にリンクされます。同様に、購買オフィス PC は、サイト SC および企業単位 EUC にリンクされます。
ワークセンタ
各製造単位のワークセンタおよび製造ホールは、LN でワークセンタタイプの部署として定義され、製造単位に定義されているサイトにリンクされます。
計画クラスタ
各サイトで独自の製造計画を実行するため、独立した計画クラスタがサイトごとに定義されます。サイト SA には、計画クラスタ PLA が定義されます。サイト SB および SC には、それぞれ計画クラスタ PLB および PLC が定義されます。
関係会社間取引関係
各製造単位と販売単位 S の間の関係会社間取引価格を定義するには、次の関係会社間取引関係を設定する必要があります。
振替元 | 振替先 |
---|---|
EUA | EUS |
EUB | EUS |
EUC | EUS |