マルチサイトの例 - 航空機メーカーの会社構造

ある旅客機メーカーに、製造単位が 3 つ、販売単位が 1 つあるとします。この旅客機メーカーのすべてのビジネス単位および部署は、アメリカ合衆国に位置し、登記されています。

製造単位 A、B、C ではそれぞれ、異なるタイプの航空機を製造しています。次の表に、各製造単位で製造される航空機のタイプを示します。

製造単位 所在 航空機タイプ
A ピッツバーグ Eagle Long Range
B ニューヨーク Eagle Midrange
C フィラデルフィア Buzzard Pro

販売単位 S では、製造単位 A、B、C で製造される航空機の販売を扱います。

各製造単位には、同じタイプの酸素マスクが装備された航空機があります。

製造単位 A では、酸素マスクを自ら製造しています。単位 B および C は、それぞれ地域の別の発注先から酸素マスクを購入しています。

各単位が、自身の管理会計の責任を負います。

財務会計

財務レポートは、組織全体に対して一元的に実行されますが、製造単位および販売単位では、独自の管理会計を行います。

原価計算

製造単位および販売単位では独自の管理会計を行うため、完成した航空機および酸素マスクの標準原価は、各ビジネス単位に登録します。

製造単位 A、B、C での、完成した航空機の標準原価は、現地での製造が基準になります。製造原価は製造単位ごとに異なります。

販売単位 S では、各航空機タイプの標準原価は、製造単位からの内部振替が基準になります。

製造単位 A では、酸素マスクの標準原価は、現地での製造が基準になります。

単位 B および C では、酸素マスクの標準原価は、現地での調達が基準になります。製造単位 B および C では、同じタイプの酸素マスクでも、標準原価は異なります。

製造

製造単位 A では、酸素マスクは、専用のワークセンタで製造されます。この例では、簡略化して、酸素マスクを航空機の構成要素とします。航空機は、製造ホールで製造されます。この製造ホールで、酸素マスクが航空機のキャビンに装備されます。

製造単位 B および C でも、航空機は製造ホールで製造されます。これらの製造ホールで、酸素マスクが航空機のキャビンに装備されます。

計画

製造単位 A、B、C は、自身の製造計画の責任を負います。

ロジスティック

各製造単位で、完成した航空機は、検査倉庫から最終商品倉庫に転送されます。最終商品倉庫に保存されている在庫は、販売単位 S が所有します。最終商品倉庫から、航空機は顧客に出荷されます。顧客への航空機の輸送は、製造単位ごとに別の運送業者に依頼しています。

単位 A では、完成した酸素マスクは、酸素マスクワークセンタから工程倉庫に転送されます。酸素マスクは工程倉庫からワークセンタに出庫され、ここで航空機のキャビンに装備されます。

単位 B および単位 C で、購買したマスクは通常倉庫に入庫され、ここからワークセンタに出庫されます。

購買

製造単位 B では、購買オフィス B が、製造単位 B の現地発注先からの酸素マスクの購買を扱います。同様に、製造単位 C では、購買オフィス C が、製造単位 C の現地発注先からの酸素マスクの現地購買を扱います。

販売

各製造単位から完成した航空機の販売は、販売単位 S で扱われます。販売単位 S の販売オフィスは、製造単位 A の構内にあります。販売単位 S が、製品単位 A、B、C の最終商品倉庫の在庫を所有します。

関係会社間取引

各製造単位は、完成した航空機を検査倉庫から最終商品倉庫に転送するたびに、販売単位 S に請求します。