仮請求書

仮請求書は販売者が購入者に送付する簡約版または見積版の請求書です。仮請求書は商品を出荷または納入する前に出力することができます。仮請求書は通常の (標準) 請求書とは異なり、支払の請求や要請ではありません。仮請求書については以下の処理が可能です。

  • 一意の番号付き/なしで仮請求書を出力する
  • 出荷の確認前に販売オーダの仮請求書を出力する
  • 出荷中に関税請求書を出力する
  • 関税値に基づいて関税請求書を出力する
  • 異なる部署の関税請求書を準備し承認する
  • 仮請求書または関税請求書の再作成を管理する

仮請求書は、基礎となる販売取引が承認された時点から、オーダが 「請求」 に転送されるまでの間に作成できます。請求書を一意の番号付きで出力すると、この番号を使用して 「請求」 で参照することができます。仮請求書は 「財務会計」 に転記されません。そのため仮請求書の最終状況は常に 「出力済」 です。仮請求書を一意の番号付きで出力するには、特定の取引タイプとシリーズを指定します。

仮請求書は確定した請求可能ラインを作成する前に複数回出力することができます。

仮請求書タイプ

同じオーダまたは出荷データについて、仮請求書、関税請求書、または委託請求書など、さまざまなタイプの仮請求書を作成できます。関税請求書は、税関が (多くの場合、特定の書式で) 要求する商用請求書の拡張形式です。数量、販売価格、梱包費用、納入および支払条件などの情報を含み、この情報に基づいて仕向港で輸入関税値が決定されます。関税請求書レイアウトは国ごとに異なります。別々の請求書番号シリーズを請求書タイプごとに定義できます。

委託請求書は、発注先が委託基準に従って顧客に商品を送付するときに倉庫管理から生成されます。商品は、発注先に所有されたままですが、顧客の倉庫にあります。ポルトガルの場合、発注先は委託販売の商品を送付後 5 日以内に委託請求書を発行します。これらは SAF-T-PT ファイルでも報告します。委託請求書では、ポルトガル税務当局が発行するデジタル署名 (SAF-T-PT) が使用されます。

仮請求書と関税請求書の違い

  • 出力時、関税請求書と比べると、仮請求書では以下が考慮されます。
    • 分割払清算
    • 資材価格付加費用
    • 資金配分
  • 仮請求書では標準レイアウトと同じレイアウトが使用されますが、関税請求書にはカスタムレイアウトをリンクできます。

マスタデータの設定

仮請求機能を使用する前に、以下のマスタデータを設定する必要があります。

請求パラメータ

[請求パラメータ (cisli0100m000)] セッションで請求バッチテンプレートと請求オプションを指定できます。

  • [仮自動処理]: 請求書の直接処理時に請求バッチ作成のデフォルトテンプレートとして使用される仮請求バッチテンプレートを選択します。
  • [請求オプション]: 請求書の直接処理時に仮請求バッチの作成に使用される仮請求書を選択します。
  • [仮マニュアル処理]: [請求バッチ (cisli2100m000)] セッションで請求バッチを作成または自動生成する場合にデフォルトで使用される請求バッチテンプレートです。
  • [仮マニュアル処理]: [請求バッチ (cisli2100m000)] セッションで請求バッチを作成または自動生成する場合にデフォルトで使用される請求オプションです。
  • [仮請求バッチ]: 仮請求書の番号の生成に使用される番号グループを選択します。
  • [仮請求バッチ番号シリーズ]: 仮請求書の番号の生成に使用される番号シリーズを選択します。

取引タイプ

[請求取引タイプ (cisli0101m000)] セッションで、仮請求書と関税請求書の伝票番号の生成に使用されるデフォルトの [取引タイプ] を指定できます。

請求ユーザプロファイル

[請求ユーザプロファイル (cisli0110m000)] セッションで [関税請求書] を指定できます。これは、特定の国専用の請求レイアウトが必要なときに使用できるカスタム請求書レイアウトです。

倉庫オーダタイプ

[倉庫オーダタイプ (whinh0610m000)] セッションで仮請求書または関税請求書を出荷活動として追加できます。[手順別活動 (whinh0106m000)] セッションの [適用可能] チェックボックスをオンにすると、仮請求書を有効にすることができます。

仮請求タイプ

以下のデータを定義できます。

  • [仮請求タイプ (tcmcs0167m000)] セッションでデフォルトの [請求書タイプ] を仮請求書または関税請求書として設定できます。
  • [仮請求書番号の生成] チェックボックスをオンにすると、仮請求書に一意の番号とシリーズを生成できます。番号シリーズと番号グループは、[請求取引タイプ (cisli0101m000)] セッションで定義します。一意の番号が付いた請求書は、将来参照できるよう 「請求」 に保管されます。このチェックボックスがオフの場合、一時的な番号の付いたドラフト請求書が生成されます。この請求書は保管されません。
  • [仮請求書の即時出力] チェックボックスをオンにすると、仮請求書の作成直後に仮請求書を出力できます。
  • [仮請求の基準] オプションを選択して、仮請求書の基準をオーダにするか納入にするかを決定できます。「オーダ」 に設定すると、オーダ数量に基づいて請求書が作成され、「納入」 に設定すると、納入数量に基づいて請求書が作成されます。このオプションは、仮請求書の発生元が 「オーダ管理」 である場合にのみ使用されます。
  • [仮請求済の場合のアクション] は、請求可能ラインに関して仮請求書がすでに出力済である場合のアクションを決定します。可能なオプションは以下のとおりです。
    • 仮請求のブロック: 請求可能ラインについて仮請求書が出力済であると仮請求書は生成できません。
    • 仮請求の許可: 請求可能ラインについて仮請求書が出力済であっても仮請求書を生成できます。同じ請求可能ラインについて複数バージョンの仮請求書を作成できます。
    • 以前の請求書の許可と取消: 仮請求書を生成済である同じ請求可能ラインについて仮請求書を生成できます。ただし、以前に生成した仮請求書は取り消されます。
  • [仮請求額発生元] オプションを選択して、仮請求書の請求額を算出できます。可能なオプションは以下のとおりです。
    • 取引値: 取引価格が請求額として使用されます。
    • 関税値: オーダラインまたは出荷ラインに指定された関税値が請求額として使用されます。

仮請求処理

仮請求書は以下の発生元からトリガできます。

販売オーダと販売スケジュール

販売オーダ管理では、基礎となる販売取引が承認された時点から、オーダが 「請求」 に転送されるまでの間に仮請求書を作成できます。オーダ管理では以下のシナリオが可能です。

  • オーダデータに基づいて仮請求書または関税請求書を作成します。
  • 出荷状況に基づいて仮請求書または関税請求書を作成します。実際の値が利用できない場合、見積値が使用されます。
  • 出荷状況 (確認済) に基づいて確定請求書を作成します。

販売オーダ出荷ラインの仮請求書または関税請求書は 「出荷」 からトリガできます。これは出荷状況が凍結または確認済である場合に可能です。出荷状況が凍結であると、見積値が使用されます。出荷が確認済であると、実際の数量と価格が使用されます。

サービス

サービスでは、コールまたはオーダ入力から、請求書ラインが 「請求」 にリリースされるまでの間に仮請求書を生成できます。

  • サービスオーダ: サービスオーダ状況が 「フリー」 であると、仮請求書を生成できます。オーダ (活動) が原価計算済になると、その後は仮請求書を生成できません。また、見積データが利用できない場合も、仮請求書を生成できません。
  • メンテナンス販売オーダ (部品メンテナンス、部品納入、または部品貸付): オーダ状況が 「フリー」 であると、仮請求書を生成できます。メンテナンス販売オーダ (ライン) が原価計算済になると、その後は仮請求書を生成できません。また、見積データが利用できない場合も、仮請求書を生成できません。
  • 顧客クレーム: 仮請求書は、貸方票が発行されるとき、および新しい資材を送付して顧客が払戻を受けるときに必要です。貸方票が発行されるとき、仮請求書は承認済クレームデータに基づく必要があります。新しい資材が払戻を受けるとき、仮請求書は関係する品目の関税値に基づく必要があります。
  • サービス契約: 仮請求書は分割払データに基づきます。分割払が中央請求に転送されると、その後は仮請求書を生成できません。

プロジェクト

プロジェクトでは、すべての既存のプロジェクト請求発生元について仮請求書を生成できます。関税値はプロジェクト成果物で定義できます。関税値は倉庫管理に渡され、プロジェクト成果物関連の関税請求書で使用されます。

倉庫管理

倉庫出荷では仮請求書、関税請求書、または実際請求書を作成できます。仮請求書は出荷のオーダ発生元とは無関係にトリガできます。オーダ発生元に応じて、適切な仮請求可能ラインが作成されます。この仮請求可能ラインは即時請求することも、後で請求することもできます。仮請求書または関税請求書は、請求をトリガしない出荷用に生成することもできます。たとえば、外注活動で外注先に品目を転送する場合です。

仮請求書は、[手順別活動 (whinh0106m000)] セッションを使用してトリガできます。仮請求書または関税請求書は、出荷が 「凍結」 になった後、生成することができます。

関税請求書の処理後、その出荷は凍結のままか、確認済になる必要があります。出荷の凍結が解除されるのは、関税請求書が取り消された場合のみです。また、仮請求書または関税請求書の作成後は、オリジナル請求書をユーザが取り消すまで、別の仮請求書または関税請求書を作成することはできません。

仮請求ワークベンチ

仮請求ワークベンチを使用して仮請求書と仮請求可能ラインを表示できます。指定した値と請求書タイプに基づいてラインをフィルタリングできます。フィルタ設定を適用するには、[フィルタ適用] をクリックします。このワークペンチでは 1 度に 1 タイプの仮請求書のみを処理できます。

注: 
  • 仮請求書と仮請求可能ラインは通常の請求セッションでは利用できず、仮請求ワークベンチを介してのみアクセスできます。
  • 出荷、プロジェクト、販売オーダ、サービスオーダなど、すべてのソース文書タイプにリンクされた仮請求書ラインを表示できます。
  • 関連メニューの [ラインの確認]、[処理]、[提出]、[アーカイブ] などのオプションを使用して、請求書ラインに関連する処理を実行できます。