共用ワークセンタ

共用ワークセンタは同一または別個のロジスティック会社に属するワークセンタと関係を持つワークセンタです。この関係は、1 つ (または複数) のロジスティック会社において、別の会社で実際に実行される作業を計画する際に使用できます。この関係が定義済であれば、別個の会社に属するワークセンタ間で作業を外注する際に、販売オーダおよび購買オーダを使用する必要はありません。物理的なリソースのない仮想のワークセンタは、能力計画に使用されるもので、これは 1 次ワークセンタです。作業が実行される運営ワークセンタは、2 次ワークセンタです。

例: 

ここでは、医療機器を製造し、また大型高圧釜設備を装備していることを想定します。この高圧釜設備は、別個の会社に属するいくつかの別々の工場からの機器を殺菌する目的に用います。共用ワークセンタを使用しない場合は、一部の製品を殺菌するたびに、購買オーダを使用して作業を外注する必要があります。このため、余計な管理が数多く生じるだけでなく、高圧釜に対する能力計画が困難にもなります。代わりに、高圧釜を 1 次ワークセンタとして定義し、その高圧釜を使用する必要のある他の各会社に高圧釜の能力の割合を割り当て、他の各会社に属する 2 次ワークセンタを作成します。

ステップ 1. データを共有するには

共用ワークセンタで使用されるデータは、関係するすべての会社で使用可能になる必要があります。テーブルを共有することも、データをコピーすることもできます。テーブルを共有可能にするには、論理テーブル (ttaad4120m000) セッションを使用します。

共有の場合は、関与する会社間で次のデータを共有する必要があります。

  • 従業員 - 一般 (tccom0101m000) セッションの従業員
  • 作業費レートコード (ticpr0150m000) セッションの作業費レートコード
  • 倉庫 (tcemm1112m000) セッションの倉庫
  • 部署 (tcemm1124m000) セッションの部署
  • 利用性タイプ (tcccp0101m000) セッションおよびカレンダー利用性タイプ (tcccp0150m000) セッションの利用性タイプ
  • 作業時間タイプ (tcccp0103m000) セッションの作業時間タイプ
  • 期間 (tcccp0170m000) セッションの期間テーブル
  • 機械 (機械タイプ) (tirou0102m000) セッションの機械
  • タスク (参照作業) (tirou0103m000) セッションおよびタスク関係 (tirou0104m000) セッションのタスク
  • カレンダーコード (tcccp0110m000) セッションのカレンダーデータ。2 次ワークセンタの会社カレンダーが 1 次ワークセンタのものとは異なる場合 (たとえば、他国間で祝祭日が異なる場合)、2 次ワークセンタの会社においてワークセンタ固有のカレンダーを作成する必要があります。

次のパラメータは、関与する会社間で同じ値にする必要があります。

  • 製造オーダパラメータ (tisfc0500m000) セッションの工程倉庫を使用
  • 製造オーダパラメータ (tisfc0500m000) セッションの週利用率の更新方法
  • 製造オーダパラメータ (tisfc0500m000) セッションの日利用率の更新方法
  • 標準原価計算パラメータ (ticpr0100m000) セッションの作業費レートタイプ
ステップ 2. ワークセンタを定義するには

ワークセンタ (tirou0101m000) セッションで 1 次ワークセンタ2 次ワークセンタを定義します。これから作業場所として用いる会社が 1 次ワークセンタとして使用する会社であることを確認します。ツールメニューブラウザのメニューから会社を変更することができます。

1 次ワークセンタでは、共用タイプ/1次会社フィールドで 1 次を選択します。2 次ワークセンタでは、共用タイプ/1次会社フィールドで 2 次を選択します。

ステップ 3. 共用ワークセンタの関係を定義するには

ワークセンタ (tirou0101m000) セッションで 1 次ワークセンタを選択し、適切なメニューから共用ワークセンタ関係 (tirou3100m000) セッションを開始します。

共用ワークセンタ関係 (tirou3100m000) セッションで、1 次ワークセンタの能力の一部を使用する会社ごとに 2 次ワークセンタを挿入します。2 次ワークセンタ能力の合計が 100% を超える可能性もありますが、これは特殊な状況 (たとえば超過時間) を考慮する場合にしか許容すべきではありません。

共用ワークセンタを使用する前に、適切なレート、価格、契約などを交渉しておく必要があることに注意してください。

注意: 1 次ワークセンタは仮想のワークセンタであるため、工順作業では使用できません。工順でワークセンタをモデル化するには、そのための共用 2 次ワークセンタを 1 次会社内に定義し、これを 1 次ワークセンタにリンクします。

共用ワークセンタの使用

共用ワークセンタの設定後は、2 次ワークセンタについて (通常のワークセンタと同様に) 計画できます。ただし、1 次センタの会社において作業していない場合は、共用ワークセンタ用に予定している能力を参照できません (なぜなら、その 1 次センタの会社が、情報の保管および処理場所となるためです)。ある特定の 2 次ワークセンタに関する利用率データは、その 2 次ワークセンタの会社において作業しながら参照できます。

共用ワークセンタの能力利用率は、共有ワークセンタ利用率 (tisfc1510m000) セッションで参照できます。このセッションからは、計画能力利用所要量を詳細表示/出力するための他のセッションを開始できます。

共用ワークセンタは、資源所要量計画向けの企業計画パッケージで使用できます。