補充マトリックスを使用するには
補充マトリックスを使用して、ピッキング保管場所での品目の数量を自動的に管理します。補充マトリックスにもとづいて、ピッキング保管場所に補充するための倉庫オーダの自動生成および直接処理を行うことができます。補充マトリックスは、ピッキング保管場所をバルク保管場所にリンクすることによって定義されます。
前提条件
補充マトリックスを設定できるようにするには、次のことを行う必要があります。
- 保管場所が管理されている倉庫を作成します。詳細については、倉庫の使用を参照してください。倉庫 (whwmd2500m000) セッションによって、倉庫で保管場所を管理するかどうかを指定できます。
- オプションで、ゾーンを作成します。詳細については、ゾーンの使用を参照してください。
- 保管場所を作成します。詳細については、保管場所の使用を参照してください。
- 保管場所が管理されている品目を作成します。詳細については、品目データの設定を参照してください。品目 - 倉庫管理 (whwmd4500m000) セッションで、品目の保管場所を管理するかどうかを指定できます。
-
倉庫別品目データ (whwmd2510m000) セッションで、倉庫関連の品目データを指定および有効化します。
- 固定ピッキング保管場所にのみ補充が可能なので、固定保管場所 (whwmd3502m000) セッションで該当の品目の固定ピッキング保管場所を指定します。固定ピッキング保管場所に補充できるようにするには、固定保管場所 (whwmd3502m000) セッションで最小在庫数および最小補充数量も指定する必要があります。
設定
補充保管場所マトリックス (whwmd3504m000) セッションを使用して、補充マトリックスを定義します。次のような補充関係タイプを指定できます。
- 移送先保管場所に補充するための補充保管場所
- 移送先ゾーンに補充するための補充保管場所
- 移送先保管場所に補充するための補充ゾーン
- 移送先ゾーンに補充するための補充ゾーン
補充マトリックスの定義に使用できるゾーンおよび保管場所には、次の制限が適用されます。
- 補充保管場所のタイプはバルクである必要があります
- 補充ゾーンには、タイプがバルクの保管場所が少なくとも 1 つ含まれている必要があります
- 移送先保管場所のタイプはピッキングである必要があります
- 移送先ゾーンには、タイプがピッキングの保管場所が少なくとも 1 つ含まれている必要があります
特定および一般の補充関係を指定できます。補充関係は、次のように指定します。
- 品目が指定されている場合は、特定
- 品目が指定されていない場合は、一般
1 つの特定の移送先保管場所または移送先ゾーンに対して、複数の補充関係を指定できます。この結果、移送先保管場所または移送先ゾーンに、複数の補充保管場所または補充ゾーンから補充できます。この場合、LN では、補充保管場所マトリックス (whwmd3504m000) セッションで各補充関係に対して指定された優先順位にもとづいて、各保管場所から補充するときの順序を決定します。
補充
補充リスト出力 (whwmd3405m000) セッションを使用して、ピッキング保管場所の補充を開始します。このセッションで、次の処理を実行できます。
-
倉庫オーダ直接作成チェックボックスがオフの場合、補充リストのみを出力します。この補充リスト上で、補充の必要がある保管場所、補充元となる保管場所、補充される品目、および補充数量が示された補充勧告を表示できます。
- 補充リストを出力し、実際の補充を可能にする、発生元が転送 (マニュアル) の倉庫オーダも直接生成します。そのためには、倉庫オーダ直接作成チェックボックスをオンにして、倉庫オーダタイプおよび倉庫オーダシリーズを指定します。
- 補充リストを出力し、倉庫オーダを直接作成し、さらに、実際の補充を直接開始するために作成された倉庫オーダを直接処理します。そのためには、作成オーダを直接処理チェックボックスをオンにします。
補充リスト出力 (whwmd3405m000) セッションの選択範囲で、ユーザの指定に応じて次のようになります。
- 補充される移送先ゾーンを指定した場合、LN では、特定の品目に対して固定されている、ゾーンのすべてのピッキング保管場所について、これらの保管場所に補充する必要があるかどうかをチェックします
- 補充される移送先保管場所を指定し、その保管場所が特定の品目に対して固定されているピッキング保管場所である場合、LN では、この保管場所に補充する必要があるかどうかをチェックします
- 補充される品目を指定した場合、LN では、この品目に対して固定されているすべてのピッキング保管場所について、これらの保管場所に補充する必要があるかどうかをチェックします
該当の品目が不足している場合、固定ピッキング保管場所に補充する必要があります。該当の保管場所で該当品目の合計手持在庫が最小在庫数より少ない場合、該当の品目が不足していることになります。これらの情報は、次の場所に表示されます。
- 品目の合計手持在庫はストックポイント在庫 (whinr1540m000) セッションの一番下に表示されます
-
最小在庫数は固定保管場所 (whwmd3502m000) セッションに表示されます
LN では、固定ピッキング保管場所での品目の不足を次の公式によって計算します。
不足 = 最小在庫 - 手持在庫 (棚卸単位)
注意
補充リスト出力 (whwmd3405m000) セッションの補充勧告用経済在庫の使用チェックボックスがオンの場合、LN では補充する数量を決定するために、手持在庫ではなく経済在庫を使用します。
LN では、計算された不足の値にもとづいて補充する数量を決定するときに、次の情報を考慮に入れます。
-
固定保管場所 (whwmd3502m000) セッションで指定された最小補充数量。LN では、最小補充数量より少ない数量の補充はできません。
-
倉庫 - 保管場所 - 能力 (whwmd3101s000) セッションで指定された、該当の保管場所の保管能力。LN では、その保管場所の保管能力を超える数量の補充はできません。
ピッキング保管場所に補充する数量が決定されると、LN では、補充元となるバルク保管場所の検索を開始します。ピッキング保管場所への補充元となるバルク保管場所を決定する手順は次のとおりです。
-
LN では、まず最初に、該当のピッキング保管場所と品目の特定補充関係を検索します。このような補充関係が存在し、この補充関係に対して指定されているバルク保管場所で該当品目の在庫が利用可能である場合、LN では、このバルク保管場所から補充するための補充勧告を作成します。
- 該当のピッキング保管場所と品目に特定補充関係が存在するが、該当のバルク保管場所で利用可能な在庫では不十分な場合、または該当のピッキング保管場所と品目に特定補充関係が存在しない場合、LN では、該当のピッキング保管場所の一般補充関係を検索します。このような補充関係が存在し、この補充関係に対して指定されているバルク保管場所で該当品目の在庫が利用可能である場合、LN では、このバルク保管場所から補充するための補充勧告を作成します。
- 補充関係が存在するが補充に利用できる十分な在庫がない場合、または補充関係が存在しない場合に、補充リスト出力 (whwmd3405m000) セッションの未定義補充保管場所のオーダも作成チェックボックスがオンであれば、LN では、残存数量または補充数量のそれぞれについて、補充元の保管場所が指定されていない補充勧告を作成します。
重要
複数の特定補充関係が存在する場合、または複数の一般補充関係が存在する場合、LN では、これらの補充関係の優先順位を考慮に入れて、各バルク保管場所の補充の順序を決定します。同じ優先順位の補充関係が 2 つ存在する場合、LN では、品目 - 倉庫管理 (whwmd4100s000) セッションに指定された該当品目の出庫方法にもとづいて、各バルク保管場所の補充の順序を決定します。
例
倉庫 WH1 の保管場所の中で、次のものを例にします。
- 1 つのピッキング保管場所: Pick1
- 4 つのバルク保管場所: Bulk1、Bulk2、Bulk3、Bulk4
品目 ABC は保管場所が管理されていて、この品目の出庫方法は FIFO です。
保管場所 Pick1 は品目 ABC の固定ピッキング保管場所であり、次の設定が適用されます。
倉庫 WH1 と保管場所 Pick1 には次のような有効な補充関係が存在します。
優先順位
| 補充保管場所 |
品目
|
---|
3 | Bulk1 | ABC |
1 | Bulk2 | ABC |
3 | Bulk3 | ABC |
2 | Bulk4 | |
次のストックポイント在庫が品目 ABC に利用できます。
出荷元保管場所
|
在庫日
|
手持在庫
|
---|
Pick1 | 01-08-2002 | 30 |
Bulk1 | 01-15-2002 | 7 |
Bulk2 | 01-18-2002 | 10 |
Bulk3 | 01-25-2002 | 5 |
Bulk4 | 01-22-2002 | 5 |
補充リスト出力 (whwmd3405m000) セッションで次のようなに設定すると、補充リストが出力されます。
- 倉庫: WH1
- 移送先保管場所: Pick1
-
補充関係タイプ: 両方
-
補充勧告用経済在庫の使用チェックボックス: オフ
LN では、保管場所 Pick1 での品目 ABC の不足数量を次の公式によって計算します。
不足 = 最小在庫 - 手持在庫 (棚卸単位) = 50 - 30 = 20
不足 (20) は最小補充数量 (25) より小さいので、補充される数量は 25 になります。
この結果、出力される補充リストには次の補充勧告が列挙されます (順序に注意)。
勧告数量 | 補充保管場所 |
---|
10 | Bulk2 |
7 | Bulk1 |
5 | Bulk3 |
3 | Bulk4 |
Bulk2 は優先順位が最も高い (1) ので、LN ではまず Bulk2 から 10 個の ABC を勧告します。LN ではまず最初に特定補充関係を検索するので、LN では次に Bulk1 から 7 個の ABC を勧告します。この結果、LN ではまず Bulk1 および Bulk3 から ABC を勧告し、これらより優先順位が高い Bulk4 からは勧告しません。ただし、Bulk1 と Bulk3 の優先順位が同じ場合、Bulk1 のストックポイント在庫日付が Bulk3 のストックポイント日付より前なので、LN ではまず Bulk3 より先に Bulk1 から ABC を勧告します。