複数言語アプリケーションデータ
LN システムで Unicode キャラクタセットが使用される場合、1 つの LN 環境で、中国語、英語、およびフランス語など、LN ソフトウェアの複数の言語を実行できます。また、LN が共有アプリケーションデータを複数の言語で保存できるようにすることもできます。これは、世界中のユーザが同じ環境を使用している場合に有用です。ユーザのソフトウェア言語によっては、アプリケーションデータを同じ言語で表示することもできます。取引先のレポートを出力する場合、レポートのレイアウトおよびデータは取引先の言語で表示されます。
共有アプリケーションデータを複数の言語で保存するには、複数言語フィールドサポートを構成する必要があります。詳細は、次のセクションを参照してください。
注意
複数言語フィールドサポートを設定できるのは、マルチバイト文字列データタイプのフィールドに対してのみです。
LN で使用可能な全言語を 1 つの環境でサポートするには、LN を Unicode モードでインストールする必要があります。Unicode は、複数言語サポートの標準であり、言語に関係なく、各文字に一意のコードを提供します。
言語タイプ
次の言語タイプが存在します。
ソフトウェア言語 | フォームやレポートなどのソフトウェア構成要素が表示される言語。各ユーザについて、デフォルトのソフトウェア言語を LN ユーザデータに定義します。 |
データ言語 | アプリケーションデータが表示される言語。データ言語は、ユーザおよびソフトウェア言語にリンクされます。 |
基本言語 | アプリケーションデータの表示に使用されるフォールバック言語。
LN では、次のフォールバックメカニズムを使用します。 - ユーザデータに指定されたデータ言語でアプリケーションデータが表示されます。
- ユーザデータにデータ言語が指定されていない場合、ソフトウェア言語にリンクされたデータ言語でアプリケーションデータが表示されます。
- ソフトウェア言語にリンクされたデータ言語がない場合、基本言語でアプリケーションデータが表示されます。
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ISO 標準
8.4.1 より前の Infor Enterprise Server バージョンでは、データ言語のコーディングは ISO 639-2 標準に基づいています。ただし、この標準は、簡体字中国語、繁体字中国語、ポルトガル語、およびブラジルポルトガル語などの言語のコーディングには十分ではありません。
これらの言語をサポートするために、Infor Enterprise Server 8.4.1 以降での言語コーディングは、Java プログラムに使用される ISO 標準に従って行われます。データ言語コードは、次のもので構成されています。
- ISO 639-1 標準に基づく言語コード
- オプション: ISO 3166-1 標準に基づく国コード
言語コードと国コードは、アンダースコア (_) で区切られています。
例:
データ言語 | 説明 |
de | ドイツ語 |
en_GB | イギリス英語 |
en_US | アメリカ英語 |
he | Hebrew |
it | Italian |
ja | Japanese |
NL | Dutch; Flemish |
pt_BR | Portuguese_BRAZIL |
pt_PT | Portuguese_PORTUGAL |
zh_CN | Chinese_CHINA (簡体字) |
zh_TW | Chinese_TAIWAN (繁体字) |
重要
新しい Enterprise Server 8.4.1 コーディング標準を使用するためには、以前の Enterprise Server バージョンで作成されたデータ言語の場合は移行が必要になることがあります。詳細については、『特定インストールガイド - 更新用』 (U9497 JA) の 「データ言語の移行」 の章を参照してください。
構成
複数言語フィールドをサポートするためには、LN を Unicode モードでインストールする必要があります。LN Installation Wizard で 「Unicode キャラクタセット」 を選択できます。
Unicode インストールの前提条件について詳しくは、「Technical Notes」 を参照してください。
重要
複数言語フィールドサポートの設定を開始するには、アプリケーションデータのバックアップを作成しておく必要があります。たとえば、テーブルの順編成ダンプの作成 (ttaad4226m000) セッションを介してアプリケーションデータを抽出するか、あるいは RDBMS でバックアップツールを使用してバックアップを作成することができます。
複数言語フィールドサポートを設定するには
ステップ 1. 複数言語フィールドのサポートを有効化する複数言語フィールドのサポートを有効化するには、次の手順を実行します。
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複数言語サポートのパラメータ (ttadv4106m000) セッションを開始します。
- マルチバイトおよび Unicode を設定して、この設定に必要な手順を実行します。セッションのウィンドウに表示される指示を参照します。
-
複数言語フィールドサポートチェックボックスをオンにします。
- 変更を保存してセッションを閉じます。
ステップ 2. データ言語を定義する
データ言語を定義するには、次の手順を実行します。
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データ言語 (ttaad1111m000) セッションを開始します。
- 希望するデータ言語を定義します。データ言語は、ISO 639-1 言語コードと、オプションの ISO 3166-1 国コードから構成されます。ISO 639 言語コード (ttaad1512m000) セッションおよび ISO 3166-1 国コード (ttaad1513m000) セッションにズームできます。
- 基本言語を定義します。データ言語を選択し、適切なメニューで基本言語に設定するをクリックします。
注意: 基本言語はフォールバック言語として使用されます。次のシナリオが両方とも発生した場合、アプリケーションデータは、基本言語で表示されます。
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LN ユーザのユーザデータにデータ言語が定義されていない
- ユーザのソフトウェア言語にデータ言語がリンクされていない
- データ言語をランタイムデータディクショナリに変換します。適切なメニューのデータ言語のランタイムへの変換をクリックします。変換プロセスにより、$BSE/lib/data_langs ファイルが生成されます。
重要:
- このステップは、基本言語をそれ以上変更したくない場合にのみ実行します。データ言語 (ttaad1111m000) セッションのオンラインヘルプに記載されている制約を参照してください。
- ランタイムへの変換中は、すべてのユーザがログオフしている必要があります。
- ランタイムへの変換が終了したら、LN 環境を再開する必要があります。
- セッションを終了します。
データ言語の状況は、ライフサイクルの制御に使用されます。詳細については、データ言語 (ttaad1111m000) セッションのオンラインヘルプの 「データ言語のライフサイクル」 を参照してください。
ステップ 3. データ言語をソフトウェア言語にリンクするデータ言語を対応するソフトウェア言語にリンクする必要があります。
データ言語をソフトウェア言語にリンクするには、次の手順を実行します。
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ソフトウェア言語 (ttaad1510m000) セッションを開始します。
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ソフトウェア言語 (ttaad1110s000) セッションを開始するために、ソフトウェア言語をダブルクリックします。データ言語フィールドで、希望するデータ言語を入力します。
注意:
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データ言語 (ttaad1111m000) セッションにズームできます。
- 選択できるのは、状況 「基本言語」 および 「有効」 をもつデータ言語のみです。
-
データ言語フィールドを空白のままにすると、アプリケーションデータは、LN ユーザのユーザデータに定義されたデータ言語か、または基本言語で表示されます。
- 変更を保存してセッションを閉じます。
アプリケーションソフトウェアとアプリケーションデータが同じ言語で表示されるようにするには、データ言語をソフトウェア言語にリンクします。
ステップ 4. 複数言語テーブルおよびテーブルフィールドを登録する複数言語対応でなければならないテーブルおよびテーブルフィールドを登録します。
複数言語対応にしたいすべてのパッケージコンビネーションについて、次の手順を実行します。
-
複数言語フィールド登録済テーブル (ttadv4137m000) セッションを開始します。
- パッケージコンビネーションを選択します。
- 複数言語対応にしたいテーブルを追加します。
- テーブルをダブルクリックします。登録済の複数言語フィールド (ttadv4138m000) セッションが開始されます。
- 複数言語対応にしたい各フィールドについて、有効チェックボックスをオンにします。
- 変更を保存してセッションを閉じます。
ステップ 5. ランタイムに変換すること複数言語設定をランタイムデータディクショナリに変換するには、次の手順を実行します。
-
ランタイムデータディクショナリへの変換 (ttadv5215m000) セッションを開始します。
-
テーブルチェックボックスおよびテーブルの再構成チェックボックスをオンにします。
- パッケージコンビネーション、パッケージ、およびテーブルについて、該当する選択範囲を入力します。
-
ランタイムへ変換をクリックします。
注意
オプションで、ユーザデータ (ttaad2500m000) セッションを開始し、ユーザごとにデータ言語を定義します。ユーザデータに指定されたデータ言語が、ソフトウェア言語にリンクされているデータ言語より優先されます。詳細については、このセクションより前にある 「言語タイプ」 を参照してください。
データ翻訳
ユーザが新規レコードを挿入すると、複数言語フィールド記述は、ユーザのデータ言語で保存されます。新規フィールド記述は他のデータ言語に自動的にコピーされます。別のデータ言語コードを実行するすべてのユーザが独自の言語で新規フィールドを読み取れるように、これらの記述を翻訳する必要があります。
データ翻訳を実行する専用のユーザを割り当てることをお勧めします。これらのユーザは、異なるデータ言語間での切替を許可されている必要があります。
ユーザが別のデータ言語に切り替えられるようにするには、ユーザのユーザデータテンプレートプロパティでデータ言語の変更を許可チェックボックスをオンにする (ユーザデータテンプレート (ttams1110m000) セッション) 必要があります。
LN UI ユーザおよび WorkTop ユーザは、別のデータ言語に切り替えることができます。
LN UI ユーザ |
オプションメニューで、Infor LN オプションをクリックします。次に、データ言語の変更をクリックします。 |
WorkTop ユーザ |
ツールメニューで、データ言語の変更をクリックします。 |
挿入および翻訳プロセス
複数言語フィールド記述を翻訳するために必要なステップは、新規レコードに使用されるデータ言語により異なります。次のサンプルシナリオを参照してください。
シナリオ 1: ユーザは、基本言語で作業して、レコードを挿入する
- ユーザがレコードを挿入すると、複数言語対応テーブルフィールドの記述は基本言語コードに挿入され、他のリンクされているすべてのデータ言語に自動的にコピーされます。
- 該当する各テーブルについて、複数言語アプリケーションデータの出力 (ttadv4438m000) セッションを実行する必要があります。セッションにより、他の言語への翻訳が必要なレコードを示すレポートが出力されます。
- 他のデータ言語に切り替え、これらのレコードの記述を翻訳します。
シナリオ 2: ユーザは、別の言語で作業して、レコードを挿入する
- ユーザがレコードを挿入すると、複数言語対応テーブルフィールドの記述はその言語コードに挿入され、他の使用可能なすべてのデータ言語および基本言語に自動的にコピーされます。
- 該当する各テーブルについて、複数言語アプリケーションデータの出力 (ttadv4438m000) セッションを実行する必要があります。セッションにより、翻訳が必要なレコードを示すレポートが出力されます。
- 基本言語に切り替え、これらのレコードの記述を基本言語に翻訳します。翻訳された記述は、レコードが最初に作成された言語コードを除き、基本言語コードから他の使用可能なすべてのデータ言語コードに自動的にコピーされます。
- 該当する各テーブルについて、複数言語アプリケーションデータの出力 (ttadv4438m000) セッションを実行します。セッションにより、基本言語から他の言語への翻訳が必要なレコードを示すレポートが出力されます。
他のデータ言語に切り替え、これらのレコードの記述を翻訳します。
元の言語コード、つまりレコードが作成されたときの言語コードで保存されている記述が現在も正しいかどうかをチェックする必要があります。
チェックレポート内の対応するレコードを削除するには、次の記述のダミー変更を保存します。