DALデータアクセス階層 (DAL) を使用すると、開発者はデータについてルールを記述できます。DAL はセッションではなくテーブルに関連付けられます。したがって、テーブルにアクセスすると、DAL が使用されます。この方法により、さまざまなセッションが同じルールを使用することでテーブルを更新できます。また、統合機能でも DAL を使用して、更新が同じルールで処理されるようにします。 データアクセス階層 (DAL) スクリプトはアプリケーションのビジネスルールを実装して、データベースの論理的な整合性を維持しています。DAL スクリプトは、ソフトウェア構成要素であり、特定のテーブルと連携したライブラリです。これらのスクリプトはオブジェクトにコンパイルされます。セッションがテーブルに処理を実行すると、そのテーブルの DAL が読み込まれます。 LN には、DAL 1、DAL 2 という 2 種類のデータアクセス階層スクリプトがあります。 ビジネスルール ビジネスルールは、ビジネスの側面や運営を定義または制約するステートメントです。ビジネスの運営方法を管理したり、それに影響を与えたりするために作成されます。ビジネスルールは論理的な整合性ルールであり、データベースでの参照の整合性ルールとは異なります。 ビジネスルール - 例 以下は、購買システムのビジネスルールの例です。
参照の整合性ルール - 例 一方、購買システムの整合性ルールは以下のようになります。
ビジネスルールはフックとして実装されます。「フック」とはデータアクセス階層スクリプトで作成する事前定義の関数名です。4GL エンジンは、ユーザインタフェースを実行するときと、DAL が適用されるテーブルにデータベース関連の処理を実行するときに、この関数を呼び出します。 ビジネスルールは、DAL でのビジネスルールの実装方法によって分類されます。 DAL スクリプトの種類によって、以下のように分類されます。
DAL 1 DAL 1 スクリプトは Infor Baan 5.0.0 で導入されました。DAL 1 スクリプトはデータベースロジック (例: 論理的な整合性ルール) を含みますが、通常、属するテーブルのすべてのビジネスロジックを含むわけではありません。多くの場合、ビジネスロジックは DAL 1 スクリプトと UI スクリプトにまたがっています。 多くの UI スクリプトにもビジネスロジックが含まれます。たとえば以下のようなロジックが含まれます。
このため、DAL 1 スクリプトを使用し、Infor LN Business Adapter を介して統合を行うことは非常に困難です。別のアプリケーションが LN テーブルに接続すると、UI スクリプトのビジネスロジックはスキップされます。したがって、接続を提供するビジネスオブジェクトインタフェースで、このロジックを再構築する必要があります。UI スクリプトでビジネスロジックを変更する場合は、該当するビジネスオブジェクトインタフェースも適応させなくてはなりません。 DAL 1 スクリプトには、以下のタイプのフックが含まれます。
DAL 1 スクリプトの詳細については、Infor ES Programmer's Guide の 「Data Access Layer」 を参照してください。 DAL 1 スクリプトを作成するには DAL 1 スクリプトの作成と編集には、プログラムスクリプト/ライブラリ (ttadv2530m000) セッションを使用します。DAL 1 スクリプトの場合、スクリプトタイプは 「DAL」 です。 DAL 2 LN には DAL 2 スクリプトが導入されています。DAL 2 スクリプトは、特定のテーブルに関連するすべてのビジネスロジック (データベースロジック + その他のロジック) を含みます。テーブルで動作するセッションの UI スクリプトは、UI ロジックのみを含みます。 したがって、DAL 2 スクリプトは Infor LN Business Adapter を介した統合に最適です。ビジネスオブジェクトを使用して、他のアプリケーションが LN テーブルに接続できます。テーブル内の DAL 2 スクリプトのビジネスロジックは、自動的に実行されます。したがって、統合を構築するために、インタフェースを提供するビジネスオブジェクトインタフェースでこのビジネスロジックを再構築する必要がありません。 LN には、統合の目的で使用できるさまざまな事前定義のビジネスオブジェクトが付属しています。DAL 2 スクリプトは、これらのビジネスオブジェクトで使用されるテーブルについてのみ使用可能です。それ以外のテーブルについては、DAL 1 スクリプトを使用できます。ビジネスオブジェクトおよび統合技術についての詳細は、Infor LN Business Adapter のマニュアルを参照してください。 DAL 2 では、さまざまな新規フックが導入されています。DAL 2 スクリプトには以下を含むことができます。
DAL 2 スクリプトの詳細については、Infor ES Programmer's Guide の 「DAL 2 Overview」 を参照してください。 DAL 2 スクリプトを作成するには DAL 2 スクリプトの作成と編集には、プログラムスクリプト/ライブラリ (ttadv2530m000) セッションを使用します。DAL 2 スクリプトの場合、スクリプトタイプは 「DAL (バージョン 2)」 です。 フィールド依存情報 DAL 2 スクリプトでは、デフォルト値の決定に使用されるフィールド依存情報を定義できます。これらのフィールド依存情報をいったん定義すると、依存しているフィールドが更新されたときに、そのフィールドが自動的に更新されます。フィールドの更新は DAL でフィールドフックとして定義します。 依存情報はユーザインタフェースの更新にも使用されます。4GL エンジンはこれらのフィールド依存情報を使用して、フィールドを有効または無効にし、列挙値を決定します。 フィールド依存情報の例:
ビジネスメソッド ビジネスメソッドはテーブル内の行または行セットに対する処理です。ビジネスメソッドは、データベースの 1 つまたは複数のテーブルを操作またはチェックするタスクを実行する関数です。 別のテーブルの DAL のセッション、オブジェクトフック、またはプロパティフックがビジネスメソッドを呼び出すことができます。詳細は、Infor ES Programmer's Guide を参照してください。 ビジネスメソッドの例:
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