組立オーダの原価計算

原価計算は、組立管理モジュールに備わるきわめて重要な様相です。原価計算の実行方法は、原価構成要素の定義方法に部分的に依存します。ここでは、それ以外の原価計算の様相について次の内容を取り上げます。

  • 取引処理方法
  • 仕掛品振替
  • 最終結果の計算
  • 組立管理モジュールでの原価計算とジョブショップ管理 (JSC) モジュールでの原価計算の差異
  • 組立管理モジュールでの財務データの表示先
注意

ここで説明する財務原価計算の様相は、ライン順序に関連付けられた論理的算術的な原価とは関連性を持ちません。

原価構成要素

原価構成要素には、次の 3 種類があります。

  • 資材
  • 作業
  • 付加費用

原価構成要素は、総計レベル、詳細レベル、または総計レベルおよび詳細レベルを組み合わせて転記できます。原価が総計レベルで転記されると、原価構成要素の原価がすべて 1 つの合計に集計されます。たとえば、個々の材料費がすべて 1 つの合計に加算されます。原価構成要素を詳細レベルで転記するには、原価構成要素チャートを定義する必要があります。詳細原価構成要素は究極的に、すべての原価が細かく分類された価格構造を成します。

取引処理方法

組立管理モジュールは、フロー組立ラインで複合製品の多様なバリアントを生成する会社での使用を意図したモジュールです。オーダ基準取引処理を選択すれば、組立管理を少量組立にも使用できます。組立管理パラメータ (tiasc0100m000) セッションの取引処理フィールドで、取引処理方法を選択します。

  • 元の組立オーダにさかのぼって追跡する必要がない場合は、ラインステーション基準取引処理を使用します。原価が組立ライン別に転記されます。結果は期間別組立ライン別に計算されます。
  • 個々の組立オーダに基づいて原価計算を実行したい場合、オーダ基準取引処理を使用します。オーダ別組立ライン別に原価が転記され、結果が計算されます。
仕掛品振替

仕掛品振替は以下の手順から成ります。

  • 転送オーダの生成
    仕掛品振替では、転送オーダが生成されます。ただし、別個のロジスティック会社のラインステーション間で転送が発生した場合は、販売オーダおよび購買オーダが生成されます。
  • 資材出庫の実行
    仕掛品出庫は、パラメータ設定に応じて、転送倉庫オーダをブロック解除することも、また即時処理することもできます。マルチサイトの場合、通常の販売手順に従って商品を出荷する必要があります。
  • 入庫の実行
    供給組立ラインから仕掛品を受け取ったメイン組立ラインでは、仕掛品振替オーダの受領が、仕掛品入庫によって認知されます。倉庫管理によって自動的に入庫ラインが処理されます。組立ラインが 2 つの別個のロジスティック会社からのものである場合、販売オーダおよび購買オーダを (仕掛品振替オーダの代わりに) 使用する必要があります。マルチサイトの場合、通常の入庫手順に従って商品を入庫する必要があります。

これらの処理は自動的、半自動的、またはマニュアルで実行されます。

財務結果の計算

組立ラインのクローズ (tiasc7220m000) セッションで組立ラインをクローズすると、ラインの製造結果が計算されます。ラインステーションオーダはすべて、状況がクローズになる必要があります。財務結果は、仕掛品取引 (見積原価) から実際原価を差し引いた値です。

ジョブショップ管理と組立管理の原価計算の差異
  • 組立管理では、完了数量は常に 1 になる。
  • 組立管理では仕損および産出率が存在しない。
  • 仕掛品振替は別個の組立ライン間でのみ作成されるものであり、(同一ラインの) ラインステーション間では作成されない。
  • 組立管理では、段取時間が存在しない。
  • 組立オーダに関しては、完成品単位原価 (オーダの見積材料費および時間原価) が計算されない。この計算は不要です。なぜなら、各完成品には同じ組立ラインが使用されるので、品目ごとに別個に付加費用を作成しても意味がないためです。
  • ラインステーション基準取引処理の場合、組立オーダに関しては差異が計算されるが、一般品目に関しては差異が計算されない。
  • 組立管理において、製造結果は価格差異および能率差異に分割されない。
  • 組立管理での財務結果は、組立ラインの原価構成要素に転記される。