ビジネスオブジェクトをモデル化するにはこの文書では、ビジネスオブジェクトのコンセプトおよびビジネスオブジェクトをモデル化するプロセスについて説明します。 ビジネスオブジェクトリポジトリ (BOR) は、ビジネスオブジェクトを保存する仮想空間です。ビジネスオブジェクトはビジネス指向のユーザインターフェイスを持つオブジェクトで、全ビジネス関連データの保存とそのデータ操作のための単一エントリポイントとして機能します。 統合 LN とその他のアプリケーションとの間の統合は、主にビジネスオブジェクトによって実現されます。ビジネスオブジェクトは、LN アプリケーションと統合パーティとの間の階層です。その結果、統合パーティは、LN 機能の内部に直接アドレス指定せず、ビジネスオブジェクトというエントリポイントを通じてアドレス指定します。 この構造には次のような利点があります。
構造 この文書の残りの部分で、ビジネスオブジェクトの構造、およびビジネスオブジェクトの作成とモデル化に必要な手順を説明します。 ビジネスオブジェクトには次の要素があります。
「公開」 と 「保護」: 公開ビジネスオブジェクトおよび保護ビジネスオブジェクトと、ビジネスオブジェクト内の公開階層および保護階層との間には、重要な違いがあります。ビジネスオブジェクトは常に保護か公開のどちらかです。保護の場合は、保護階層のみを持ちます。公開の場合は、保護階層と公開階層の両方を持ちます。保護階層は保護属性と保護メソッドで構成され、公開階層は公開属性と公開メソッドで構成されます。保護階層を使用できるのは LN 自身のみです。公開階層は外部アプリケーションが使用できます。したがって、外部アプリケーションは公開メソッドを呼び出せますが、保護メソッドは呼び出せません。保護階層には、テーブルやその他のビジネスオブジェクトへのリンクを含むこともできます。 ヘッダ ビジネスオブジェクトのヘッダは、ID データ、ビジネスオブジェクトが保存されている VRC、ビジネスオブジェクトが失効済かどうか、記述、およびビジネスオブジェクトタイプを指定します。 ID データは次の要素で構成されます。
ビジネスオブジェクトタイプは、保護、公開、プロキシのいずれかです。 構成要素 ビジネスオブジェクトに繰り返し要素がある場合、構成要素を持ちます。たとえば、ビジネスオブジェクト PurchaseOrder には 1 つのオーダヘッダと複数のオーダラインがあります。この構造を定義するには、オーダラインの構成要素に対して 1 対多の関係を持つオーダヘッダの構成要素を使用します。 構成要素はグループボックスのようなものなので、もっとも重要な機能は名前と、互いに持つ関係です。構成要素はその他の重要なビジネスオブジェクト情報を自身では保存しませんが、その他の情報の保存要素を個別に定義するフレームワーク、ビジネスオブジェクトにリンクされるテーブル、保護属性、および保護メソッドを提供します。 構成要素はビジネスオブジェクトの保護階層にのみ存在できるので、構成要素において定義できるのは保護属性およびメソッドのみです。公開属性および公開メソッドは、常にビジネスオブジェクト自体において定義されます。構成要素間の関係の詳細は、属性レベルで指定されます。 テーブル ビジネスオブジェクトデータの多くはテーブルに保存され、ビジネスオブジェクト属性を通じてアクセスされます。属性をテーブルフィールドにリンクする前に、当該テーブルをビジネスオブジェクトにリンクする必要があります。 ビジネスオブジェクトに構成要素がある場合、テーブルは構成要素ごとに定義する必要があります。これは、ビジネスオブジェクトに構成要素がある場合、テーブルにリンクできるのは保護属性のみであり、保護属性は構成要素ごとに定義されるためです。 1 つのルートテーブルを定義する必要があります。ルートテーブルは、ビジネスオブジェクトまたは構成要素の主キーを含むテーブルです。さらに、重要な情報を保存するその他のテーブルも指定できます。ただし、必要なフィールドを持つ各テーブルを指定せずに、ビジネスオブジェクトに実際に属するテーブルのみ指定します。 別の、指定されないテーブルに存在するフィールドの値を取得 (または変更) するには、そのテーブルが指定されている別のビジネスオブジェクトへのリンク、および当該フィールドへのアクセスを提供するビジネスオブジェクトの属性へのリンクを使用します。 ビジネスオブジェクトが公開の場合は、参照テーブルを持つことができます。参照テーブルは、外部ソースから現行ビジネスオブジェクトへの参照を保存します。参照が存在する限り、すなわち、外部ソースから現行ビジネスオブジェクトの属性への参照を参照テーブルが保存する限り、その属性を削除することは許可されません。 参照テーブルを使用する場合、ビジネスオブジェクトに複数の特定属性およびメソッドが必要です。これらはすべて自動的に生成されます。 属性 属性は情報を保存するためのエントリポイントです。 属性はビジネスオブジェクトまたは構成要素について定義されます。また、属性は公開または保護のいずれかです。ビジネスオブジェクトに構成要素がある場合、保護属性は構成要素ごとに定義する必要があります。 属性の値は、テーブルフィールドから、1 つまたは複数のテーブルフィールドに基づく計算から、またはテーブルフィールド以外の関連ソースから得られます。属性が値を得るソースは、マップ演算子フィールドで指定されます。属性が計算に基づく場合、この計算はマニュアルでプログラムする必要があります。 属性はドメインおよびデータタイプを持つことができます。ドメインは値のフォーマットを指定します。属性がテーブルフィールドにリンクされる場合、そのテーブルフィールドのドメインがドメインとなることがよくあります。データタイプは実際にはドメインの仕様の一部です。 属性は次のプロパティを持つこともできます。
メソッド メソッドはビジネスオブジェクトの属性に影響します。 メソッドはビジネスオブジェクトごとまたは構成要素ごとに定義されます。また、メソッドは公開または保護のいずれかです。ビジネスオブジェクトに構成要素がある場合、保護メソッドは構成要素ごとに定義する必要があります。 動作のタイプによって、標準メソッドと特定メソッドがあります。
標準メソッドは、使用可能な属性に基づいて LN そのものによって生成できます。特定メソッドはマニュアルでプログラムする必要があります。詳細は、標準/特定メソッドを参照してください。 関係 ビジネスオブジェクトを適切にモデル化するには、各種ビジネスオブジェクト関連エンティティ間の関係が非常に重要です。 次の関係タイプが存在します。
参照 ビジネスオブジェクトは他のアプリケーションとの統合に使用されるので、どのビジネスオブジェクト情報でも自由に削除できるわけではありません。外部アプリケーションが必要とする情報を削除すると、そのアプリケーションに問題が発生する場合があります。そのような問題を防ぐため、ビジネスオブジェクトについて参照テーブルを定義できます。参照テーブルは、外部アプリケーションからビジネスオブジェクトへの参照を保存します。参照テーブルに参照が存在しない情報のみ削除できます。外部アプリケーションは、標準メソッドのセットを呼び出すことによって参照テーブルにアクセスできます。その標準メソッドのセットは、参照テーブルにリンクされた属性のセットに対して効果があります。詳細は、テーブル (ttadv7111m000) セッションのヘルプを参照してください。 モデル化プロセス 1 つまたは複数のビジネスオブジェクトをモデル化するには、次の手順を行います。手順はフローダイアグラムで表示されています。これらの手順を行う上で必要なセッションは、後述します。詳細を読むには、オンラインヘルプのリンクをクリックしてください。 これらのセッションはすべて、フローにおいてその前に出てくるセッションから利用できます。前のセッションでレコードをダブルクリックするか、タブの 1 つをクリックするか、適切なメニューを使用します。 最初のフローは、全体図です。このフローはいくつかの処理とサブフローで構成されています。それらについては、次のセクションで概要を示します。
ステップ 1. ビジネスオブジェクトの作成 次のセッションを使用してビジネスオブジェクトを作成します。ビジネスオブジェクト (ttadv7500m000) セッションを開始し、ビジネスオブジェクトを作成したいパッケージおよびモジュールを選択して [新規作成] を押します。ビジネスオブジェクト (ttadv7100s000) セッションが開始し、ビジネスオブジェクトの基本データを定義できます。 ステップ 2. 保護階層の作成 次の図に手順の概要を示します。
次のセッションを使用します。セッションは、フローに出てくる順にリストされています。ただし、フローで指定する条件によって、繰返し使用するセッションもまったく使用しないセッションもあります。
ステップ 3. ビジネスオブジェクト関係の作成 前のセクションで説明した手順で、ビジネスオブジェクトとテーブルとの関係、およびビジネスオブジェクトの構成要素間の関係についてすでに述べました。関係の 3 番目のタイプは、ビジネスオブジェクト間の関係です。この関係は、別のビジネスオブジェクトのテーブルからテーブルフィールド値を取得するときに必要です。 次のセッションを使用して、ビジネスオブジェクト間の関係を定義します。
ステップ 4. 公開階層の作成 次の図にこの手順を示します。この手順は、公開ビジネスオブジェクトを作成する場合のみ必要です。
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