製造における入庫転記の実際原価計算

製造において実際原価計算が発生するのは、倉庫 - 品目 (whwmd2510m000) 詳細セッションで定義された品目の在庫評価方法が後入れ先出し先入れ先出し移動平均単位原価、またはロット管理である場合です。この条件に加えて、工程管理パラメータ (tisfc0500m000) セッションの入庫転記の実際評価を使用チェックボックスがオンであることも必要です。

注意

入庫転記の実際評価を使用チェックボックスがオフの場合の原価計算の実行方法については、製造における入庫転記の固定振替価格を参照してください。

実際原価計算を使用するうえでの大前提は、原価を正確かつ適時に記帳することです。したがって、一定の品目数量が倉庫に入庫されたら、製造原価をすべて記帳する必要があります。ただし、実際には実際原価計算の方がやや複雑です。考慮すべき要素は、次のとおりです。

  • 製造オーダ、または製造オーダの特定数量を完了としてレポートした場合、すべての原価がすでに記帳されているかどうかを LN で確認できなくなります。このため、実際原価計算を確度の高い方法で使用するためには、LN のユーザとして、適時に原価を記帳できるよう調整する手順を定義しておく必要があります。
  • 実際原価計算を使用した場合、部分納品の完了は複雑になります。次のような問題が生じます。① どの納入に対してどの原価を記帳したらよいか。② 入庫済数量の原価と未入庫数量の原価をどう区別したらよいか。③ 段取原価を初回の納入原価に含めるべきか、それとも以降の納入原価に含めるべきか。④ 最初に完了した納入にかかった段取原価をすべて記帳した場合、この納入は以降の納入に比べて費用がかかる。⑤ 材料費を初回の納入原価に含めるべきか、それとも以降の納入原価に含めるべきか。初回の作業では製造オーダ資材をすべて出庫するのが一般的な方法です。⑥ 最初に完了した納入にかかった材料費をすべて計上した場合、この納入は以降の納入に比べてはるかに費用がかかる。

    実際原価計算の場合、部分納品を処理するために、修正要素を使用して部分納品の原価が分配されます。

  • 実際原価計算を使用した場合、バックフラッシュは複雑化の要因になる可能性があります。バックフラッシュは常に、完成品が完成品倉庫に入庫される前に実行する必要があります。完成品が倉庫に入庫される前にバックフラッシュが実行されない場合、バックフラッシュ時間または資材の費用は、完成品原価に含まれません。

バックフラッシュ処理は、オーダの完了レポート (tisfc0520m000) 詳細セッションでトリガすることができます。ただし、その場合は製造オーダ完了がレポートされた後で、バックフラッシュが実行されます。ここで、次の質問に Yes と答えたと仮定しましょう。

倉庫オーダ入庫ラインを有効化するときに入庫手順を自動処理しますか ?

バックフラッシュが実行されるのは、品目が完成して倉庫に入庫された後であるため、原価記帳が大幅に遅延します。

実際原価計算およびバックフラッシュの使用によって何らかのビルトインチェックが実行されるため、原価記帳の大幅な遅延というリスクが最小限に抑えられます。詳細については、実際原価計算とバックフラッシュを参照してください。