固定振替価格と実際原価計算の概要

製造において生産し終えた品目は、受領転記が行われる在庫に転送されます。完成品を倉庫へ入庫する際に照合される価格を求めるには、次の原価計算方法を使用します。

  • 固定振替価格
  • 実際原価計算
固定振替価格

受領転記用に固定振替価格 (FTP) を使用したい場合、倉庫 - 品目 (whwmd2510m000) 詳細セッションで定義されている品目の在庫評価方法が、固定振替価格でなければなりません。受領転記用の固定振替価格の詳細については、製造における入庫転記の固定振替価格を参照してください。

実際原価計算

LN で受領転記用の価格算出に実際原価を使用したい場合、品目の在庫評価方法は後入れ先出し先入れ先出し移動平均単位原価、またはロット管理でなければなりません。その場合、完成品の価格算出には、資材、時間数、および外注費の実際額が使用されます。つまり、在庫単位で完成品の価格を計算する際には、選択された評価方法に従って、受領転記時の金額が使用されるということです。

製造において製造オーダに実際原価計算が用いられるのは、次の条件を満たした場合です。

  • 工程管理パラメータ (tisfc0500m000) セッションの入庫転記の実際原価を使用チェックボックスがオンである。
  • 倉庫 - 品目 (whwmd2510m000) 詳細セッションで、製造オーダの完成品を対象に定義される評価方法は、後入れ先出し、先入れ先出し、移動平均単位原価、またはロット管理です。

それ以外の場合は、固定振替価格を使用して、入庫価格が算出されます。

製造オーダに関して上記の 2 つの条件が満たされた場合、製造オーダに実際原価計算が適用されます。この場合、製造オーダ (tisfc0501m000) セッションの入庫転記の実際原価を使用チェックボックスがオンになります。品目は実際原価で在庫に入庫され、定義済の実際評価方法に従って価格設定されます。原則的には適用可能な差異は存在しません。使用されたのは実際原価であるためです。すなわち、次式のようになります。

差異 = 入庫価格 - 原価 = 0.00

ただし、たとえば完成品が倉庫に入庫された後に原価を記帳した場合などには、追加計算オフィス差異が発生します。これらの差異は倉庫管理にコピーされてから、在庫差異 (whina1516m000) セッションにコピーされます。これらの差異は、在庫差異の処理 (whina1200m000) セッションで、品目の価格を修正する際に使用できます。

実際原価計算を使用するうえでの大前提は、原価を正確かつ適時に記帳することです。したがって、一定の品目数量を倉庫に入庫したら、製造原価をすべて記帳する必要があります。ただし、実際には実際原価計算の方がやや複雑です。実際原価計算の詳細については、製造における入庫転記の実際原価計算を参照してください。