システムによる複数通貨トランザクションの処理

通常、受注金額はトランザクション通貨でシステムに保存されます。このため、受注オーダ、見積、および売掛に影響が生じます。

購入先金額は、トランザクション通貨でも保存されます。このため、購買オーダと買掛に影響が生じます。

銀行勘定調整の現金勘定は、外国通貨で記述されることがあります。顧客の支払を受け取る場合、または購入先に支払を行う場合、この支払には任意の通貨を指定できます。

仕訳帳、元帳、在庫 (価格と原価)、および工程における全ての金額は、必ず自国通貨で記述されます。

注:  金額は、仕訳帳に転記するときに変換されます。

購買オーダと買掛

  • 利益/損失 - 為替レート (自国通貨 1 単位あたりの外国通貨) が時間とともに増大した場合、利益が記録されます。反対に為替レートが減少した場合、損失が計上されます。
  • エントリ - 購買オーダヘッダと明細/発行原価は、購入先のトランザクション通貨で入力され、保存されます。これらの金額は、品目ファイルからデフォルト設定されるときに、購買オーダの為替レートを使用して変換されます。
  • 受入 - 受入時に、受け取った金額、原価および為替レートが記録されます。国内金額は、この為替レートを使用して、仕訳帳に転記されます。

転記済勘定科目 (購買オーダ配賦)

  • 借方 - 在庫勘定
  • 貸方 - 支払証書支払

支払証書の生成 (購買オーダ) と支払証書の転記 (買掛) - 支払証書レコードを作成するときに、受取から支払証書生成までに生じた為替レートの変化が配賦として保存されます。支払証書は、トランザクション通貨で保存されます。支払証書を転記すると、仕訳帳に国内金額が転記され、購入先金額は、転記時に使用した為替レートと合わせて、転記済トランザクションレコードに挿入されます。

転記済勘定科目 (買掛配賦)

  • 貸方 - 買掛
  • 借方 - 支払証書支払

支払 - 支払は任意の通貨で入力できます。支払通貨は銀行通貨と同じです。買掛支払の転記から作成された仕訳記帳は、銀行通貨から自国通貨になり、一般会計銀行レコードは銀行通貨になります。支払を転記すると、国内金額が仕訳帳に転記され、トランザクション金額は、転記済トランザクションレコードに挿入されます。支払の転記時に、支払証書や、支払証書の支払または調整に簡単な利益/損失の計算が実行されます。支払証書に関連付けられた全ての転記済トランザクションは、新しい為替レートに「更新」されます。

  • 貸方 - 現金勘定 (新レートでの支払金額)
  • 借方 - 買掛 (旧レートでの支払証書金額)

支払証書の利益/損失は、損失 (借方) または利益 (貸方) に転記されます。

受注オーダと売掛

  • 利益/損失 - 為替レート (自国通貨 1 単位あたりの外国通貨) が時間とともに減少した場合、利益が記録されます。反対に為替レートが増大した場合、損失が計上されます。
  • エントリ - 受注オーダヘッダと明細/発行原価は、顧客のトランザクション通貨で入力され、保存されます。これらの金額は、品目ファイルからデフォルト設定されるときに、現在の為替レートを使用して変換されます。
  • 出荷 - 出荷時に、出荷金額、価格、および為替レートが記録されます。国内金額は、この為替レートを使用して、仕訳帳に転記されます。

転記済勘定科目 (受注オーダ配賦)

  • 借方 - 商品販売原価
  • 貸方 - 在庫

請求書の印刷 (受注オーダ) と転記 (売掛) - 請求レコードを作成するときに、出荷から請求書印刷までに生じた為替レートの変化が配賦として保存されます。請求書は、トランザクション通貨で保存されます。請求書を転記すると、仕訳帳に国内金額が転記され、トランザクション金額は、転記時に使用した為替レートと合わせて、転記済トランザクションレコードに挿入されます。

転記済勘定科目 (売掛配賦)

  • 貸方 - 売上 (旧レートでの請求)
  • 借方 - 売掛 (新レートでの請求)

支払 - 支払通貨が選択され、異なる銀行通貨を支払の受取に使用できます。次に銀行通貨は、自国通貨を判別するために使用されます。作成された仕訳記帳は、銀行通貨から自国通貨になり、一般会計銀行レコードは銀行通貨になります。支払を転記すると、国内金額が仕訳帳に転記され、トランザクション金額は、転記済トランザクションレコードに挿入されます。支払の転記時に、請求書や、請求書の支払、借方または貸方に簡単な利益/損失の計算が実行されます。請求書に関連付けられた全ての転記済トランザクションは、新しい為替レートに更新されます。

転記済勘定科目 (売掛配賦)

  • 借方 - 現金 (新レートでの支払金額)
  • 貸方 - 売掛 (旧レートでの請求金額)

通貨損失 (借方) または利得勘定 (貸方) の差異

利益/損失ユーティリティ

場合によっては、未処理の利益や損失を確認しておきたいことがあります。このような場合、利益/損失ユーティリティを実行し、売掛、買掛またはその両方を指定します。

売掛 - 全ての転記済売掛トランザクションを処理し、それを現在の為替レートに更新します。利益または損失を含む各請求書で、該当する金額を売掛および利益または損失勘定に転記します。

買掛 - 全ての購買オーダ残受入 (受け取ったが、まだ支払証書が発行されていない) を処理し、それを現在の為替レートに更新します。利益または損失を含む各レコードで、該当する金額を支払証書支払および利益または損失勘定に転記します。

未転記の支払証書を全て処理し、それを現在の為替レートに更新します。利益または損失を含む各支払証書で、該当する金額を支払証書支払および利益または損失勘定に転記します。

利益/損失勘定の場合:

  • ユーザが、利益および損失の勘定レコードを作成します。
  • 利益勘定は必ず、為替レートの変動による利益を記録するときに使用します。
  • 損失勘定は必ず、為替レートの変動による損失を記録するときに使用します。

通貨マスタ

システムには、全ての通貨を保守する通貨マスタファイルが付属しています。ユーザは、日付および時刻が記録された通貨為替レートを無制限に入力できます。また、過去の日付を入力すると、為替レートの日付を遡ることもできます。為替レートには 2 つの種類があります。買いレートは、購買オーダと買掛にのみ使用します。売りレートは、受注オーダ、見積および売掛に使用します。

財務諸表

ユーザは、財務諸表を異なる通貨で印刷できます。レポートを印刷するときに使用する為替レートは、処理している元帳レコードを含むデータベースに格納されています。換算結果は、表示のみとなります。いかなる転記処理も行えず、利益や損失は計算されません。

換算は、財務諸表の各明細行に定義します。ユーザは、買いまたは売り為替レートを選択します。また、以下の換算方法のいずれかを選択します。

  • なし (換算なし)
  • スポット (各トランザクションの為替レート履歴)
  • 最新 (現在の為替レート)
  • 平均期間 (各トランザクションの会計期間に対する加重平均為替レート)
  • 期末 (各トランザクションの会計期間末における為替レート)