作業段取時間の概要

段取時間は、作業の実行のための資源の準備(工具の準備や、検査など、生産するユニットに比例しない作業)に費やす作業の一部分です。システムは、段取時間を作業時間の計算に入れます。

業種により、資源は常に段取を必要とするものである場合もあります。また、1 つの区分の品目での作業から別の品目での作業に変わるときにのみ段取が必要なものもあります。同様に品目の区分によって、段取時間が固定値の場合も、変動する場合もあります。

転記済の段取時間について

APS およびスケジューラでは、ジョブトランザクションを使用してジョブに対する 段取時間を転記 すると、APS およびスケジューラでは、転記時間を考慮し、調整済段取時間を使用して作業を計画します。たとえば、作業の通常の段取時間が 10 時間で、ジョブ/作業に対して 3 時間の段取時間を転記すると、作業は 7 時間を使用して計画されます。

APS の段取時間について

APS では、作業フォームの [標準] タブで指定された [段取] 時間の値を効率(同じく作業フォームで指定)によって割った値のみが使用されます。この値は、平均段取時間に使用されます。スケジューラで使用されるより詳細な段取時間は、このヘルプトピックでこれから説明します。

段取資源グループの定義

作業フォームの[段取資源グループ] フィールドで、設定する資源の割付元である資源グループを定義します。スケジューラは、このグループから割り付けられた資源を使用し、ユーザが定義した基準(このヘルプトピックで後ほど説明)に基づき、段取時間を決定します。[段取資源グループ] フィールドを空白にしておくと、作業には段取時間が発生しません。

注:  スケジューラは、計算した段取時間を、作業に割り付けられた全ての資源にロードします。たとえば、作業で 3 つの資源が割り付けられ、その 1 つが段取資源であり、算出した段取時間が 1 時間である場合、3 つ全ての資源は 1 時間の段取時間付きでロードされます。

段取時間を適用する状況の定義

作業に資源を設定する必要がある状況を指定するには、作業レコードで適切な [段取ルール] を選択します。

  • [毎回]: 資源が作業していた前の品目にはかかわらず、この作業は資源の設定を毎回必要とします。
  • [基準]: この作業は、この資源を使用していた前の作業が別の品目または段取グループ(関連品目のグループ)を対象としていた場合に限り、資源の設定を必要とします。
  • (ユーザ定義ルール 3~39): カスタムの段取ルールを作成して、資源を設定する状況を定義できます。

[段取ルール] フィールドが [基準] に設定されている場合は、作業レコードで適切な [段取基準] を選択します。

  • [品目]: 資源を使用していた前の作業の対象が異なる品目であった場合に、段取時間を適用します。
  • [設定グループ]: 前の作業の対象が、この作業の対象品目とは異なる段取グループのメンバである品目であった場合に、段取時間を適用します。段取グループは段取グループフォームで定義します。たとえば、赤い自転車フレーム全てを「赤」段取グループにまとめ、青い自転車フレームを「青」グループにまとめることができます。段取時間は、赤いフレームをペイントしてから青いフレームのペイントまでの資源の段取に必要な時間に基づくことができます。
注:  各作業で使用できる段取基準は 1 つのみですが、多数の段取基準コンフィグレーションを定義することができます。たとえば、自転車組立作業には、「ハンドルバーの区分」という段取基準を、自転車のフレーム作業には「色」という基準を使用できます。

段取時間の定義

固定段取時間を定義できますが、計算値を使用することもできます。作業レコードで、これらのどちらかの場合を表す [段取時間ルール] を選択します。

  • [固定]: 作業の [段取時間] フィールドの値を効率で割った値を適用します。
  • [設定マトリックス]: 1 つの区分の品目から別の区分の品目の作業へ資源の段取を変更することを前提に、段取時間を定義する表で値を調べます。この段取マトリックスから適用される値は、効率で割りません。