不良によるジョブ原価への影響の仕組み

ジョブトランザクションを入力するときに、[不良] フィールドに不良数量を指定すると、ジョブの親品目の商品を破棄することができます。不良の破棄がジョブの原価に及ぼす影響は、品目が実際原価であるか、標準原価であるかによって異なります。

実際原価計算

実際原価品目の場合、不良の破棄は、良品が在庫に移動される原価に影響を及ぼします。

  • 商品を在庫に移動するときにジョブをクローズする場合、ジョブの実際原価合計は、移動される数量全体に分散されるため、良品が、破棄される不良品の材料費や労務費を吸収することができます。たとえば、数量 10 のジョブがあり、このジョブに $1000 を転記し、8 個を完了し、在庫に移動したが、残りの 2 個は不良だったとします。これらの 8 個は、1 単位あたり $125 (1000 ÷ 8) で在庫に移動されたことになります。
  • 移動の一部としてジョブをクローズしないと、完成した商品は、ジョブの計画単価を使って移動されます。ジョブを手動でクローズする場合、仕掛に残った原価は在庫調整で償却され、不良品の原価が含まれることになります。

標準原価計算

標準原価品目の場合、不良の破棄は、(必ず品目の標準原価で行われる)在庫移動原価に影響を及ぼしませんが、誤差が生じます。不良品の破棄に関する作業で転記した実際労務費は、作業費差異となります。不良品に出庫した全ての材料は、材料費差異となります。

作業率が $15 で、1 つの標準作業が 1 個あたり 1 時間である品目について考えてみましょう。このとき、BOM には標準原価が $10 の材料が 1 つがあり、、品目の標準原価が $25 だとします。ジョブを 10 個に対して発行し、材料 10 個を出庫します。仕掛は借方記入され、材料の在庫勘定には $100 が貸方記入されます。

10 時間の実行トランザクションを転記したところ、8 個の完成品と、2 個の不良品ができたため、従業員の作業率は $15 となります。仕掛作業は 8 個($120)を製造するこの作業が借方記入され、実際作業費($150)を含む適用された直接労務勘定が貸方記入され、差額($30)を含む作業費差異は借方記入されます。

8 個の良品は在庫へ移動され、標準原価 $25 で仕掛から回収されます(合計 $200)。仕掛の残数 $20 は、親品目の不良品 2 個に使用された材料の価格です。このジョブをクローズすると、該当する不良は、材料費差異で償却されます。