マルチサイト移動オーダ原価設定について
資材の移動と原価設定を実行するための情報を取得するには、移動オーダヘッダおよび明細品目を使用します。資材が移動されると、対応する必要な会計トランザクションと資材トランザクションが移動オーダによって作成されます。
概要
移動オーダの原価は、 [サイト間パラメタ] フォームの [転記方法] パラメタの設定に従って 2 とおりの方法で行われます。転記方法の選択肢は次のとおりです。
- 会計グループ内: 移動は実費で行われます。
- 会計グループ間: 移動は売上を伴い、元サイトが利益を得ます。
移動オーダ処理では、まずこの[転記方法]パラメタを確認し、作成する財務会計グループの区分を決定します。作成するトランザクションの実際の対象範囲は、各サイトでのビジネス処理(たとえば、各サイトの品目原価や価格設定に関する決定など)にも影響されます。
原価と FOB(本船渡し)サイト
FOB(本船渡し)ポイントを指定することで、対応する原価機能の大部分を管理できます。移動オーダシステムでは、FOB ポイントを出荷サイトまたは受入サイトのいずれかとして識別できます。FOB ポイントは、全ての企業間移動に対して指定する必要があります。
FOB ポイントが出荷サイトの場合は、出荷時に所有権が移動します。資材は出荷サイトの保管場所から受入サイトの移動中場所に移動され、財務上の所有権は出荷サイトから受入サイトに移ります。受け入れ時に、受入サイトの移動中場所から標準保管場所に資材を移動するトランザクションが作成されます。
FOB ポイントが受入サイトの場合は、資材の受け入れ時に所有権が移動します。資材は、出荷サイトの保管場所から出荷サイトの移動中場所に移動されます。受け入れ時に、出荷サイトの移動中場所から受入サイトの標準保管場所に資材を移動するトランザクションが作成されます。財務上の所有権は、受け入れ時に変更されます。
あるサイトから別のサイトに在庫を 移動 する場合、5 つの原価カテゴリ(材料費、労務費、固定間接費、変動間接費、外注費)について、出荷サイトの在庫原価が調整されます。
あるサイトから同じ会社の別の会計グループに属するサイトに在庫を 販売 する場合、出荷側会計グループの会計グループ間商品販売原価が 5 つの原価カテゴリの借方に記入され、5 つのカテゴリ全てに対して在庫が調整されます。
サイトが別のサイトから移動された在庫を 受け入れる 場合、在庫は購買品目のように保管場所で受け入れされます。受入サイトが標準原価を採用している場合、移動された品目は 5 つの原価要素(材料費、労務費、固定間接費、変動間接費、外注費)を使用して在庫に入れられます。受入サイトがほかの原価区分を使用している場合、原価は材料費としてのみ処理されます。
サポートされる財務トランザクション
マルチサイト移動オーダ原価設定は、次のサイト間財務トランザクションをサポートします。
- 会計グループ間:
- 会計グループ間売掛: 品目価格 × 移動する品目数量に相当します。会計グループ間売掛は、全ての会計グループ間の移動に使用され、それ以外には使用されません。会計グループ間売掛は、元サイトでのみ作成されます。
- 会計グループ間売上: 移動する商品の原価に相当します。会計グループ間売上は、全ての会計グループ間の移動に使用され、それ以外には使用されません。会計グループ間売上は、元サイトでのみ作成されます。
- 会計グループ間売上原価: 移動する商品の原価に相当します。会計グループ間売上原価は、全ての会計グループ間の移動に使用され、それ以外には使用されません。会計グループ間売上は、元サイトでのみ作成されます。
- 会計グループ間利益: 会計グループ間移動で、品目価格が移動する品目の品目原価より小さい、または大きい場合に使用されます。これは、会計グループ間の移動にのみ使用され、元サイトでのみ作成されます。
- 在庫(分割仕掛): 品目の原価に相当し、使用する原価法により異なります。在庫(分割仕掛)は、元サイトおよび先サイトでの全ての移動に使用されます。
- 会計グループ間原価: 品目価格が移動する品目の品目原価より小さい、または大きい場合に使用されます。これは、会計グループ間の移動にのみ使用され、先サイトでのみ使用されます。先サイトの会計グループ間原価は、元サイトの会計グループ間利益と等しくなければなりません。
- 会計グループ間買掛: 品目価格 × 移動する品目数量に相当します。会計グループ間買掛は、全ての会計グループ間の移動に使用され、それ以外には使用されません。これは、先サイトでのみ使用されます。会計グループ間買掛金額は、元サイトの会計グループ間売掛金額と等しくなければなりません。
- 会計グループ間評価差異: 異なる会計グループのサイト間における原価差異を把握するために使用されます。先サイトのみで使用されます。
注: 会計グループ間移動では、先サイトで使用される原価法に関係なく、先サイトの原価より元サイトの原価が小さい、または大きい場合、その差異が会計グループ間価格差異になります。 - 在庫調整:
- 在庫調整: 先サイトが個別原価設定を使用しており、元サイトの品目原価が先サイトの品目原価より小さい、または大きい場合に使用されます。これはどの移動にも使用でき、先サイトでのみ使用されます。再計算は、在庫調整に挿入される金額を使用して行われます。
- 会計グループ内:
- 会計グループ内精算: 移動する資材の品目原価に相当します。概念上は、会計グループ間で使用される売上原価勘定に似ています。会計グループ内正味は、全ての会計グループ内移動に使用でき、それ以外の移動には使用しません。これは、元サイトと先サイトの両方で使用されます。
移動乗率
システムは、以下の 2 種類の移動乗率をサポートします。
- 利益乗率: 会計グループ内のサイトは、異なる会計グループに属する別のサイトに対し、利益を上乗せして製品を販売します。利益は、販売側の会計グループによって追加される、出荷在庫の原価金額を超えた金額であると定義されています。利益乗率は、財務の連結によって消去する必要があります。全社的な観点からすると、会計グループ同士の販売で利益を得ることはできません。元サイトの利益は、先サイトの原価と等しくなければなりません。(乗率は、 [サイト間パラメタ] フォームの価格コードに入力すると、設定できます。これは、標準価格設定論理を使用します)
- 原価乗率: 1 つの会計グループまたはサイトが、別の会計グループまたはサイトに製品を移動または販売すると、在庫の移動によって荷役費用が発生します。販売側は、これらの費用を賄うための原価の値上げは行いません。これらの費用を正しく在庫に含めるのは、受入側の責任です。費用を購入側サイトの在庫に組み込むには、荷役費用機能を使用します。これらの費用は受入サイトの真の原価であり、財務の連結によって消去してはいけません。
移動オーダ/マルチサイト在庫移動および原価設定
在庫の移動方法によって、在庫が移動中勘定を経由して移動されるか、購入側の在庫勘定に直接移動されるかが決まります。
[マルチサイト在庫移動] フォームを使用する場合、仕訳記帳の移動中先勘定および移動中元勘定は使用されません。ただし、移動オーダを使用すると、移動中エントリが発生します。在庫の出荷および受入処理により、移動中勘定の在庫が出し入れされます。
例
システムにおけるマルチサイト移動オーダの原価設定法の具体例は、以下のとおりです。
例: 会計グループから会計グループ、価格が原価より大きい場合
サイトからサイト、原価が同じ場合、FOB がサイトと同じ場合
会計グループから会計グループ、原価が同じ場合、FOB がサイトと同じ場合
サイトからサイト、原価が異なる場合、FOB がサイトと同じ場合
会計グループから会計グループ、原価が異なる場合、FOB がサイトと同じ場合
会計グループから会計グループ、価格が原価より大きい場合、FOB がサイトと同じ場合
例: サイト A の実際原価からサイト B の標準原価、輸送費、原価乗率
例: サイト A の標準原価からサイト B の標準原価、輸送費、原価乗率
例: サイト A の標準原価からサイト B の実際原価、輸送費、原価乗率
会計グループ 1 のサイト A から会計グループ 2 のサイト C、原価乗率と利益乗率