予測管理の概要

需要予測では、過去の品目利用や販売予想などに基づいて、将来の品目所要量を予測する必要があります。このトピックは、MRP および APS 計画でどのように個別の所要量を予測し、受注オーダなどの既存の需要がどのようにその予測を消費するかを説明します。

需要予測の作成

品目の需要予測は、 [需要予測] フォームで作成します。需要予測する所要量(「要求数量」)を指定するには、[元計画数]を入力します。需要予測の納期を示すには、[需要予測日]を入力します。特定の倉庫に対して予測するには、[倉庫] を入力します。受注オーダに基づいて独立した所要量を作成することにした場合(詳細は、 [受注オーダの使用] または [予測] のヘルプトピックを参照)また、予測の作成時に顧客を指定することもできます。

[受注オーダまたは需要予測を使用] 計画パラメタについて

システムで需要予測や受注オーダを需要/所要量として計画するかどうかは、[計画パラメタ] フォームの 受注オーダまたは [需要予測を使用] パラメタにより決まります。たとえば、このパラメタが「需要予測」に設定された場合、受注オーダは計画されず、需要予測の[元計画数]が要求数量として使用され、残所要量は利用されません。このヘルプトピックに使用する全ての例では [受注オーダまたは需要予測を使用] フィールドが [両方] に設定されていると仮定しています。

注意: 
[「受注または予測を使用」]パラメタを[「両方」]に設定し、[「需要予測期間将来」]または[「需要予測期間過去」]パラメタ値を変更した場合、全品目の需要予測消費が再評価されるため、この処理にはかなりの時間がかかる場合があります。

需要予測の計画方法

初めて需要予測を作成する場合、[残所要量] フィールドの値は [元計画数] フィールドの値に等しくなります。既存の需要(MRP 計画 または APS 計画 処理の実行前に入力された受注オーダなど)により、[元計画数]から需要予測数量が消費されます。[残所要量]値には、計画の独立要件を押し通す需要予測残数が反映されます。需要予測数量を消費する需要の詳細については、下記の「既存の需要で需要予測を消費する方法」を参照してください。

予測所要量の計画に使用される処理は、MRP を実行しているのか、または APS を実行しているのかによって異なります。

MRP では、次の処理に従って需要予測を計画します。

  1. 特定の終了品目について需要予測から[残所要量]を(および受注オーダなどの他の独立要件から数量を)計画します。
  2. 要件を満たす既存の手持や受入を検索します。
  3. 手持在庫や計画供給について評価した後に、正味所要量の計画オーダを作成します。
  4. 品目の部品表を介して計画オーダからこの正味所要量を「展開」し、構成資材の従属所要量を作成します。

    詳細については、「MRP の概要」を参照してください。

注: SyteLine (PROGRESS)MRP では、需要予測または受注オーダを追加、変更、または削除するたびに、需要予測消費情報が計画パラメタ「受注オーダと需要予測オンライン」によって自動更新されました。SyteLine(SQL)では、この機能はデフォルトで設定されます(SQL データベースのテーブル構造によって)。たとえば、新しい需要予測を追加した場合、MRP を再実行しなくても、その需要予測はレポートや出力フォームに直ちに示されます。

APS では、次の処理に従って需要予測を計画します。

  1. 予測需要の計画は、APS オーダ優先度 に従って、他の需要を計画する前後に行われます。
  2. 利用可能な手持在庫および計画供給([供給品前引当許容時間範囲] 内)が引き当てられた後、計画される需要予測数量が減少します。オーダ優先度の設定により異なりますが、おそらく受注オーダのような他の需要が需要予測より優先され、手持在庫および計画供給を使用すると考えてください。
  3. 必要に応じて、この品目の要求数量に対して部品表を介して計画オーダから正味所要量を展開します。
  4. 需要予測残数を満たすのに必要な全てのレベルで計画オーダを生成します。予測品目の計画オーダの完了予定日は需要予測の供給が有効になる日付を示します。

新たに需要が入り、保存処理または ATP/CTP 取得処理時に 計画に追加挿入 する場合、計画実行の完了後にかぎり、この需要予測の供給が使用されます。

注:  需要により需要予測が消費された場合、後にこの需要について実行する ATP/CTP 取得処理では、完了予定日の計算で需要予測の供給が消費されたことを考慮します。

この例では、以下のことを仮定します。

  • 手持在庫: 150
  • 需要予測 - XYZ 元計画数: 200
  • APS オーダ優先度フォームの受注オーダの優先度は、需要予測の計画前に受注オーダが計画されるように設定されています。

数量 120 の受注オーダを入力します。受注オーダにより需要予測が消費されます(受注オーダの納期が [需要予測期間過去/将来] の期間内であると想定します)。需要予測の [残所要量] は 80 に減少します。

次に APS 計画を実行します。まず受注オーダ需要が計画されます。手持在庫が受注オーダに引き当てられ、オーダを満たし、手持在庫の残りは 30 になります。需要予測の需要が計画されます。システムは在庫から残りの 30 を引き当て、50 の計画オーダを生成し、残りの需要予測の需要を満たします。

既存の需要で需要予測を消費する方法

[製品コード]フォームや [計画パラメタ]フォームに指定された [需要予測期間過去] および [需要予測期間将来] パラメタは、既存の受注オーダやその他の需要が需要予測を消費できる期間を設定します。システムでは受注オーダを実行する需要予測先を検索するときに、この期間が使用されます。需要予測の検索は以下のように実行されます。

  1. システムが需要の納期と同じ日付の需要予測を探します。[需要予測日]が現在日 + 需要予測期間過去より前の作業日の場合、古い需要予測は無視されます。
  2. 需要の納期に適した需要予測が存在しない場合や、需要予測が既に消費されている場合(残所要量が 0 である場合)、システムは、需要の納期から需要予測期間過去を引いた時点から検索を開始し、需要の納期に需要予測期間将来を足した時点まで需要予測を探します。
  3. 適当な需要予測が見つかると、システムは、その需要予測が既に消費されているかどうかを確認します。需要予測が消費されている場合は、次の有効な需要予測が指定されます。
  4. 要求数量が[残所要量]よりも大きい場合、システムは[残所要量]を 0 に設定し、需要残数を次の有効な需要予測に適用します。有効な需要予測がない場合、需要は需要予測を消費しません。
  5. [需要予測] フォームで、[顧客] および [倉庫] はオプションの予測フィールドであり、需要を所定の予測と一致させるプロセスにも影響を与えます。検索は次の順序で実行されます。
    1. [顧客] が Null である場合にのみ [倉庫]
    2. [顧客] および [倉庫]
    3. [倉庫] が Null である場合にのみ [顧客]
    4. [顧客] と [倉庫] が両方 Null である場合は予測レコード

この例では、以下のことを仮定します。

需要予測期間将来: 7

需要予測期間過去: 4

需要予測:

50, 納期 10/1

60, 納期 10/5

50, 納期 10/9

50, 納期 10/13

受注オーダ(CO):

20, 納期 9/20

20, 納期 9/25

10, 納期 10/2

15, 納期 10/5

30, 納期 10/15

25, 納期 10/17

  1. 9 月 20 日の受注オーダの場合: 9 月 20 日には需要予測がありません。したがって、検索は 9 月 16 日から 9 月 27 日までとなります。需要予測がないため、この受注オーダは需要予測を消費しません。
  2. 9 月 25 日の受注オーダの場合: 9 月 25 日には需要予測がありません。したがって、検索は 9 月 21 日から 10 月 2 日までとなります。10/1 に対する需要予測があります。[残所要量]から 20 が差し引かれ、30 が残ります。
  3. 10 月 5 日の受注オーダの場合: 10 月 5 日に対する需要予測があります。[残所要量]から 15 が差し引かれ、45 が残ります。
  4. 10 月 15 日の受注オーダの場合: 10 月 15 日には需要予測がありません。したがって、検索は 10 月 11 日から 10 月 22 日までとなります。10/13 に対する需要予測があります。[残所要量]から 30 が差し引かれ、20 が残ります。
  5. 10 月 17 日の受注オーダの場合: 10 月 17 日には需要予測がありません。したがって、検索は 10 月 13 日から 10 月 24 日までとなります。10/13 に対する需要予測があります。残りが 20 だけのため、[残所要量]から 20 のみ差し引かれます。残数 5 は、次に利用可能な需要予測から差し引かれます。