実際原価計算:在庫配賦仕訳帳へのトランザクションの転記
標準原価法、または 4 種類の実際原価フロー法から 1 つを使用する場合、仕訳帳転記に使用される原価と勘定科目がかなり異なるため、標準原価および実際原価の両方について、生成されるトランザクションを説明します。システムでトランザクションが自動的に生成されないようにする場合、 [一般パラメタ] フォームの [仕訳帳への転記] チェックボックスをオフにします。
詳細については、 「総勘定元帳への転記 - 実際原価法」 を参照してください。
購買管理トランザクション
以下のようなトランザクションが、[購買オーダ配賦] という名称の在庫配賦仕訳帳に転記されます。
- 購買オーダ受入結果:
トランザクション 借方 貸方 在庫材料 xxxx 支払証書支払 xxxx この品目は購入されたため、転記 (在庫材料費) が 1 件のみ適用されます。各原価詳細構成に対する全ての勘定は、同一の勘定科目を持ちます。その結果、1 件だけの転記エントリが行われます。
使用される原価は、受入済数量に購買オーダ明細品目単価を乗算したものです。(これはデフォルトの原価です。受入時に受入原価を自由に更新できます。)
CU = (RQ * POUC)
意味は以下のとおりです。
- CU = 使用される原価
- RQ = 受入数量
- POUC = 購買オーダ単価
- 購買オーダ返品:
トランザクション 借方 貸方 支払証書支払 xxxx 在庫 xxxx 在庫調整 xxxx または xxxx 使用される原価は、返品数に品目の出庫原価を乗算したものです。
CU = (QR * IIC)
意味は以下のとおりです。
- CU = 使用される原価
- QR = 返品数
- IIC = 品目の出庫原価
- 支払証書生成:
トランザクション
a.支払済原価 > 受入原価の場合:
支払証書支払
買掛
b.支払済原価 < 受入原価の場合:
支払証書支払
在庫調整
買掛
任意の明細品目が在庫受入時の原価と異なる原価で支払われた場合に限り、上記のトランザクションが生成されます。(品目が在庫に受け入れられた時点の原価は、受入時の明細品目単価フィールドになります。)
xxxx = (受入済数量 * (支払済原価 - 受入原価))
xxxx = (受入の原価 - 支払の原価) - 調整
POVC = QR * (VC - RC)
意味は以下のとおりです。
- POVC = 購買オーダ差異原価
- QR = 受入済数量
- VC = 支払証書原価
- RC = 受入原価
生産トランザクション
以下のようなトランザクションが、SF 配賦という名称の在庫配賦仕訳帳に転記されます。
- ジョブ資材出庫
トランザクション 借方 貸方 仕掛材料費 xxxx 仕掛労務費 xxxx 仕掛固定間接費 xxxx 仕掛変動間接費 xxxx 仕掛外注費 xxxx 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 固定間接材料費適用 xxxx 変動間接材料費適用 xxxx 使用される在庫勘定は、ジョブに出庫される品目の勘定です。製造中の品目ではありません。在庫の貸方金額は、在庫から出庫した数量に品目の出庫原価を乗算して求めます。
ICA = QIFI * IC
データの意味は以下のとおりです。
- ICA = 在庫の貸方金額
- QIFI = 在庫から出庫した数量
- IC = 出庫原価
間接費勘定の貸方は、 [製品コード] フォームに記載した固定および変動の間接費率を実際材料費に乗算して計算します。
COA = MC * (FO + VOR)
意味は以下のとおりです。
- COA = 間接費勘定の貸方
- MC = 材料費
- FO = 固定間接費
- VOR = 変動間接費率
仕掛の借方は、直接材料、固定間接費、および変動間接費の金額の合計です。
DTWIP = DM + FO + VOA
意味は以下のとおりです。
- DTWIP = 仕掛の借方
- DM = 直接材料
- FO = 固定間接費
- VOA = 変動間接費金額
- ジョブ資材回収
トランザクション 借方 貸方 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 仕掛材料費 xxxx 仕掛労務費 xxxx 仕掛固定間接費 xxxx 仕掛変動間接費 xxxx 仕掛外注費 xxxx 固定間接材料費適用 xxxx 変動間接材料費適用 xxxx 在庫の借方は、ジョブから回収される品目の数量に利用する原価法によって変動する単価額を乗算して求めます。
DTI = QIWJ * VUCF
意味は以下のとおりです。
- DTI = 在庫の借方
- QIWJ = ジョブから回収される品目の数量
- UCF = 単価額
間接費勘定の借方は、全出庫済品目の平均原価を乗算して計算します。つまり、ジョブ資材合計実際原価/ジョブ資材出庫済数量になります。
DOA = MT / JI
意味は以下のとおりです。
- DOA = 間接費勘定の借方
- MT = ジョブ資材合計実際原価
- JI = ジョブ資材出庫済数量
仕掛の貸方は、直接材料、固定間接費、および変動間接費の金額の合計です。
CTWIP = DM + FO + VOA
意味は以下のとおりです。
- CTWIP = 仕掛の貸方
- DM = 直接材料
- FO = 固定間接費
- VOA = 変動間接費金額
- 作業実績更新労務:
トランザクション 借方 貸方 仕掛労務費 xxxx 仕掛固定間接費 xxxx 仕掛変動間接費 xxxx 直接労務費適用 xxxx 固定間接労務費適用 xxxx 変動間接労務費適用 xxxx 労務の貸方は、トランザクションに要した実際時間にトランザクションを報告した従業員の指定製造賃率を乗算して求めます。
CTL = AH * SMR
意味は以下のとおりです。
- CTLP = 労務の貸方
- AH = 実際時間
- SMR = 指定製造賃率
間接費勘定の貸方は、 [部門] フォームに記載した固定および変動の間接費率を実際作業時間に乗算して計算します。
COA = LH * (FO + VOR)
意味は以下のとおりです。
- COA = 間接費勘定の貸方
- LH = 作業時間
- FO = 固定間接費
- VOR = 変動間接費率
仕掛の借方金額は、直接、固定間接費、および変動間接費の金額を合計します。
- 仕掛金額 = (実際時間 * 従業員製造賃率) + (実際時間 * 部門の固定間接費率) + (実際時間 * 部門の変動間接費率)
- 直接 = (実際時間 * 従業員製造賃率)
- 固定間接労務費 = (実際時間 * 部門の固定間接費率)
- 変動間接労務費 = (実際時間 * 部門の変動間接費率)
- 作業実績更新機械トランザクション
機械原価には、完了品目、不良品目、および次の作業に移動された品目の数量とともに、間接機械費を機械作業時間分のジョブ作業に当てます。作業のワークセンタが、機械でスケジュールされている場合、作業の残りのスケジューリング時間は、転記された時間合計だけ差し引かれます。
下記の「移動」トランザクションに追加される転記は、全ての「作業」トランザクションにも実行されます。
- ジョブ完了 (在庫に入庫):
トランザクション 借方 貸方 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 仕掛材料費 xxxx 仕掛労務費 xxxx 仕掛固定間接費 xxxx 仕掛変動間接費 xxxx 仕掛外注費 xxxx ジョブから在庫が受け入れられる場合、使用される受入原価が以下によって決まります。
- [工程管理パラメタ] フォームの [完了基準原価]フィールド
- ジョブの状況
- ジョブの作業に付けられた [完了] フラグ
最後の作業で作業トランザクションを使用して、受入を行っている場合は、ジョブオーダを終了することができます。トランザクションが入力されたときにジョブを終了した場合は、使用される受入原価は、常にジョブの実際単価になります。ジョブを終了せず、[完了基準原価パラメタ]を [ジョブ] に設定しいる場合、使用される受入原価はジョブの計画単価になります
計画単価は、 [ジョブ作業] フォームに記載される段取、実行時間、作業率、および間接労務費率、ならびに [ジョブ資材] フォームに記載される単価および間接材料費率から求められます。
ジョブを終了せず、[完了基準原価パラメタ]を [作業] に設定している場合、使用される受入原価は、ジョブの作業の [完了] フラグによって決まります。完了した作業から実際原価が累計され、未完了の作業から計画原価が累計されて、最終受入原価が決定します。
- 手動完了ジョブ:
トランザクション 借方 貸方 a.実際原価 > 計画原価の場合: 在庫調整 xxxx 仕掛材料費 xxxx 仕掛労務費 xxxx 仕掛固定間接費 xxxx 仕掛変動間接費 xxxx 仕掛外注費 xxxx b.実際原価 < 計画原価の場合: 仕掛材料費 xxxx 仕掛労務費 xxxx 仕掛固定間接費 xxxx 仕掛変動間接費 xxxx 仕掛外注費 xxxx 在庫調整 xxxx 状況を [発行] から [完了] に変更してジョブを手動で終了する場合、品目を在庫に入れるトランザクションにジョブの計画原価が使用されることになっているため、調整が必要です。
使用される金額は、ジョブの計画原価合計と実際原価の差です。
AU = TPC - AC
意味は以下のとおりです。
- AU = 使用される金額
- TPC = 計画原価合計
- AC = 実際原価
受注オーダトランザクション
以下のようなトランザクションが、[受注オーダ配賦]という名称の在庫配賦仕訳帳に転記されます。
- 受注オーダ出荷:
トランザクション 借方 貸方 COGS 資材 xxxx COGS 労務費 xxxx COGS 固定間接費 xxxx COGS 変動間接費 xxxx COGS 外注費 xxxx 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 使用される金額は、出荷数に品目の出庫原価を乗算したものです。
AU = QS * ICI
意味は以下のとおりです。
- AU = 使用される金額
- QS = 出荷数量
- ICI = 品目の出庫原価
- 受注オーダ返品:
トランザクション 借方 貸方 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx COGS 資材 xxxx COGS 労務費 xxxx COGS 固定間接費 xxxx COGS 変動間接費 xxxx COGS 外注費 xxxx 使用される金額は、出荷全体の平均値になります。
AU = CST / IQS
意味は以下のとおりです。
AU = 使用される金額
CST = 品目の商品販売原価合計
IQS = 品目の出荷数量
在庫管理トランザクション
以下のようなトランザクションが (他に指定がなければ)、仕訳帳 [IC 配賦] という名称の在庫配賦仕訳帳に転記されます。
- 在庫調整
トランザクション 借方 貸方 a.数量の増加: 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 在庫調整 xxxx b.数量の減少: 在庫調整 xxxx 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 在庫調整トランザクションに使用される金額は、使用する原価フロー法により変動します。このため、以下のようになります。
- 平均原価を使用している場合、品目 フォームの単価が使用されます。
- 個別原価法を使用している場合、調整される保管場所に関連付けされた原価が使用されます。
- LIFO または FIFO を使用しており、数量が増加する場合、使用される原価は、その品目について記載された最新品目 LIFO レコードに関連する原価になります。
- LIFO または FIFO を使用しており、数量が減少する場合、調整数量が満たされるまで品目 LIFO スタックに記載されたレコードが使用されます。
循環棚卸および実棚卸の転記でも上記と同様のトランザクションが生成されます。棚卸数が元の数量より多いか少ないかにより、トランザクション a または b が生成されます。
- 在庫移動:
トランザクション 借方 貸方 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 在庫調整 元保管場所と先保管場所に関連付けられた在庫勘定が異なる場合、または個別原価法が使用されており元保管場所と先保管場所に関連付けられた単価が異なる場合に限り、このトランザクションが転記されます。
借方に記帳される在庫勘定は、先保管場所に関連する勘定科目です。貸方に記帳される在庫勘定は、元保管場所に関連する勘定科目です。元保管場所と先保管場所に割り当てられた原価が異なる場合は、個別原価法に限り、在庫調整勘定が使用されます。
- 保管場所の更新:
保管場所に関連付けられた在庫勘定を変更する場合、トランザクションが生成されます。
トランザクション 借方 貸方 在庫 (新規勘定科目) 在庫材料費 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 在庫 (旧勘定科目) 在庫材料費 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 個別原価法が使用され、保管場所に関連付けられた単価を変更する場合も、トランザクションが生成されます。
(この例では、原価詳細の全ての値が変更されると想定しています。)
トランザクション 借方 貸方 a.原価の増加: 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 在庫調整 xxxx b.原価の減少: 在庫調整 xxxx 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx - 保管場所追加:
トランザクション 借方 貸方 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 在庫調整 xxxx 保管場所の追加と同時に数量が記入される場合に限り、このトランザクションが転記されます。
- 計画外入庫
トランザクション 借方 貸方 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 在庫調整 xxxx 使用される借方金額は、受入済数量に入力した単価を乗算したものです。
DAU = QR * UCEBU
意味は以下のとおりです。
- DAU = 使用される借方金額
- QR = 受入済数量
- UCEBU = 記入した単価
単価のデフォルト値は、トランザクションが記入された時点における [品目] フォームの [単価] フィールドに記載された値になります。
貸方勘定は、入力済の一般会計勘定科目です。勘定科目のデフォルトは、品目の在庫調整勘定になります。
- 計画外出庫
トランザクション 借方 貸方 入力済の勘定科目 xxxx 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 借方勘定は、入力済の一般会計勘定科目です。勘定科目のデフォルトは、品目の在庫調整勘定になります。
使用される貸方金額は、出庫数量に品目の出庫原価を乗算したものです。
CA = QI * IC
意味は以下のとおりです。
- CA = 貸方金額
- QI = 出庫済数量
- IC = 出庫原価
- ジョブ資材出庫
以下のようなトランザクションが、SF 配賦という名称の在庫配賦仕訳帳に転記されます。
トランザクション 借方 貸方 仕掛材料費 xxxx 仕掛労務費 xxxx 仕掛固定間接費 xxxx 仕掛変動間接費 xxxx 仕掛外注費 xxxx 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 固定間接材料費適用 xxxx 変動間接材料費適用 xxxx - ジョブ受入:
以下のようなトランザクションが、 [SF 配賦] という名称の在庫配賦仕訳帳に転記されます。
トランザクション 借方 貸方 在庫材料 xxxx 在庫労務費 xxxx 在庫固定間接費 xxxx 在庫変動間接費 xxxx 在庫外注費 xxxx 固定間接材料費適用 xxxx 変動間接材料費適用 xxxx 仕掛材料費 xxxx 仕掛労務費 xxxx 仕掛固定間接費 xxxx 仕掛変動間接費 xxxx 仕掛外注費 xxxx