実現および未実現損益について
このトピックでは、実現および未実現為替損益について説明します。
実現為替損益
実現為替損益は、支払証書または請求額に対して、全額または一部の支払が適用されたときに発生します。
残高の全額支払
以下の例で、トランザクションは現金支払の受領によって完了しました。したがって、現金受取日または現金支払日に、為替損益が実現され、会計処理の意味では確認されました。
例: たとえば、英国ポンドでの支払を要求する英国企業から品目を購入する米国企業は、トランザクションを処理するためにドル ($) をポンド (£) に換算する必要があります。このように、ある通貨から別の通貨に換算する場合、為替レート を使用することになります。米国企業が英国企業から 6 月 1 日に 1,000 ポンドの品目を購入した場合、そのときの為替レートが 1.40 ドル/英国ポンドだと、この購入を行うには 1,000 ポンドに対して 1,400 ドルを両替する必要があります。
米国企業はその勘定をドル建てで保持するため、トランザクションは以下のとおり記録されることになります。
説明 | 金額 |
---|---|
6 月 1 日購買勘定 | 1,400 |
現金 | 1,400 |
Sterling Co. からの請求書番号 1725 の支払
1,000 ポンド、為替レート :1.40 ドル/英国ポンド
たとえば、7 月 10 日 (このときの為替レートが 0.004 ドル/円) に、日本企業から対価 100,000 円の購買が行われたと想定します。米国企業はその勘定をドル建てで保持します。そのため、エントリは以下のように 400 ドル (100,000 円 X 0.004 ドル) で記録されることになります。
説明 | 金額 |
---|---|
7 月 10 日購買勘定 | 400 |
買掛 - M. Suzuki | 400 |
請求書番号 823
100,000 円、為替レート: 0.004 ドル/円
支払期日 (8 月 9 日) に為替レートが 0.005 ドル/円に上昇した場合、未払金 100,000 円は、100,000 円に対して 500 ドル (100,000 円 x 0.005 ドル) を換算して処理する必要があります。この場合、債務 400 ドル (債務勘定) の決済に 500 ドルが必要となったため、米国企業は、為替差損 100 ドルを被ることになります。現金支払は、以下のように記録されます。
説明 | 金額 |
---|---|
8 月 9 日買掛 - M. Suzuki | 400 |
為替差損 | 100 |
現金 | 500 |
請求書番号 823 での現金支払
100,000 円または 400 ドル、最新為替レート: 0.05 ドル/円
外国企業とのトランザクションは全て、上記の例のように分析することができます。たとえば、5 月 1 日 (このときの為替レートは 0.25 ドル/ユーロ) に、米国企業からフランス企業に対する掛売り 1,000 ドルがユーロで (4,000 ユーロ) で請求されたと想定します。トランザクションは以下のように記録されます。
説明 | 金額 |
---|---|
5 月 1 日売掛 - Crusoe Co. | 1,000 |
売上 | 1,000 |
請求書番号 7782
4,000 ユーロ、為替レート: 0.25 ドル/ユーロ
現金受領日の 5 月 31 日に為替レートが 0.30 ドル/ユーロに上昇した場合、米国企業には、為替差益 200 ドルが実現されます。この利益が実現されたのは、販売日に 1,000 ドルの対価であった 4,000 ユーロが支払受領日の 5 月 31 日に 1,200 ドル (4,000 ユーロ * 0.30 ドル) に上昇したためです。現金の受領は以下のように記録されます。
説明 | 金額 |
---|---|
5 月 31 日現金 | 1,200 |
売掛 - Crusoe Co. | 1,000 |
為替差益 | 200 |
請求書番号 7782 での現金受取
4,000 ユーロまたは 1,000 ドル、為替レート: 0.30 ドル/ユーロ
一部支払
残高が一部支払の場合には、システムでは、未払の支払証書または請求書の金額に対してではなく、それぞれの支払額に対して損益が計算されます。支払を転記済み請求書に適用する際、通貨の換算損益だけが記録されます。システムでは、損益計算を行うときに以下の公式が使用されます。
損益金額 = (支払/適用請求為替レート) - (支払/支払為替レート)
意味は以下のとおりです。
平均請求為替レート =外貨金額未払残高/自国通貨未払残高
たとえば、米国企業から品目を購入するドイツ企業はユーロで支払います。その米国企業は、トランザクションを決済するために、ユーロを米ドルに両替する必要があります。この場合、ドイツ企業は、残高を全額支払ではなく、一部支払で支払います。トランザクションは以下のように行われます。
外貨金額 (ユーロ) | 為替レート | 国内金額 (米ドル) | 注記 | |
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請求書番号 101 | 1100.00 | 2.000 | 550.00 | |
返品伝票 201 | 200.00 | 4.000 | 50.00 | |
通貨損益 | 50.00 | = (200.00/2.00) - (200.00/4.00) = 50.00 差損 | ||
支払 301 | 600.00 | 3.000 | 200.00 | |
通貨損益 | 100.00 | = (600.00/2.00) - (600.00/3.00) = 100.00 差損 | ||
支払 302 | 300.00 | 3.000 | 100.00 | |
通貨損益 | 50.00 | = (300.00/2.00) - (300.00/3.00) = 50.00 差損 |
未実現為替損益
ところが、当初のトランザクション (たとえば、掛売りまたは買掛い) 日と現金受取日または現金支払日との間に財務諸表が作成された場合、さらに、為替レートが当初のトランザクション以降に変更された場合、未実現損益は以下のような会計報告で確認される必要があります。
たとえば、為替レートが 0.50 ドル/ユーロのときに、対価 1,000 ドルの掛売りが 12 月 20 日にドイツ企業に対して行われたと想定します。
説明 | 金額 |
---|---|
12 月 20 日売掛 - Mueller Co. | 1,000 |
売上 | 1,000 |
請求書番号 22
2,000 ユーロ、為替レート: 0.50 ドル/ユーロ
貸借対照表の日付である 12 月 31 日に為替レートが 0.45 ドル/ユーロに下がった場合、1,000 ドルの売掛金は 900 ドル (2,000 ユーロ x 0.45 ドル) のみの対価となります。この「未実現」為替差損は、以下のように記録されます。
説明 | 金額 |
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12 月 31 日為替差損 | 100 |
売掛 - Mueller Co | 100 |
請求書番号 22
為替レートは 2,000 ユーロ X 0.05 ドル減少
2,000 ユーロ が次年度の 1 月 19 日に受領されたと想定した場合、為替レートが 0.42 ドルであるとき、為替レートが 0.45 ドル/ユーロから 0.42 ドル/ユーロにさらに下がったことを確認する必要があります。現金の受領は以下のように記録されます。
説明 | 金額 |
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1 月 19 日現金 | 840 |
為替差損 ($.03X‚€2,000) | 60 |
売掛 - Mueller Co | 900 |
請求書番号 22 での現金受取
2,000 ユーロまたは 840 ドル、為替レート: 0.42 ドル/ユーロ
12 月 31 日と 1 月 19 日の間に為替レートが上昇した場合、為替差益が 1 月 19 日に記録されます。たとえば、この期間中に為替レートが 0.45 ドル/ユーロから 0.47 ドル/ユーロに上昇した場合、為替差益 40 ドル (0.02 ドル x 2,000 ユーロ) は貸方に記入されることになります。
海外子会社の連結財務諸表
国内企業と国外企業の財務諸表を連結する前に、国外企業の会計報告に示されている金額を自国通貨に換算する必要があります。資産および債務金額は通常、貸借対照表日現在の為替レートを使用して自国通貨に換算されます。収入および支出は通常、当該トランザクションの履行日に有効であった為替レートを用いて換算されます。(実際には、当該期間の加重平均レートが使用されます。)換算の結果として生じる調整(損益)は、国外企業の貸借対照表の「株主持分」セクションに別々の品目として記録されます。
国外企業の会計報告を自国通貨に換算した後、国内および国外の子会社の財務諸表は通常の方法で連結されます。詳細については、「連結の概要」を参照してください。