置換および発行論理

受け取った出荷計画は、顧客が予期している新しい数量から、トランスレータにインポートされた事前出荷通知の数量を差し引いたものを反映します。(顧客はいつでもオーダ数量を増減することができます。)全ての SyteLine 受注オーダ発行が削除され、新しい発行と数量で置換される必要があります。830/862 EDI トランザクションの発行処理では、「置換論理」を使用します。

置換論理では、出荷済数量 0 の SyteLine 発行が削除され、全数済みでない発行は出荷済数量を「全数済」として更新されます。新しくインポートされた発行から、トランスレータにエクスポートされていない ASN の出荷済数量を差し引いたものが SyteLine 受注オーダに追加されます。

[EDI 顧客プロファイル] フォームには、置換論理処理を定義する以下の 3 つのフィールドが含まれます。

  • [発行処理]: [置換] を選択すると、現行の 830 発注計画(インポートされた場合)および 862 出荷計画の未処理の明細発行は、新しい受注オーダ明細発行によって置換されます。
  • [出荷通知生成]: この顧客の積荷表を印刷することにより、事前出荷通知(ASN)が自動的に生成されるようにするには、このチェックボックスを選択します。このチェックボックスが選択されている場合、 [出荷確認] フォーム上で出荷した時に ASN も生成されます。ASN は、830/862 を SyteLine に転記する際、インポートされた発行の正味所要量を決定するために使用されます。830/862 が処理され、このオプションをオフにした場合、SyteLine オーダからの全ての出荷は、トランスレータからデータをエクスポートする前に、手動でトランスレータに記録する必要があります。
  • [発注計画の取り替え]: 830(発注計画)または 862(出荷計画)トランザクションで作成され、この取引先に関連する、受け取った各 EDI 受注オーダに対して、以下のようになります。
    • このチェックボックスをオンにした場合、オーダを転記すると、オーダに関連する未出荷の全ての SyteLine 受注オーダ発注計画と出荷計画はパージされます。次に、新しい発注計画/出荷計画が、関連するオーダに新規リリースとして転記されます。
    • このチェックボックスをオフにした場合、オーダを転記すると、関連するオーダの受け取った「EDI 受注オーダ発注/出荷計画」の最終納期以降を納期とする SyteLine の「受注オーダ発注/出荷計画」が維持されます。その他の全ての未出荷の SyteLine 受注オーダ発注/出荷計画はパージされます。

以下の例は、これらのフィールドに異なる設定を入力した場合にどのようになるかを示します。

  • 状況例 1 - ASN を生成しない。
  • 状況例 2 - ASN を生成するが、エクスポートされない。
  • 状況例 3 - ASN を生成する。ASN をエクスポートする。
  • 状況例 4 - ASN を生成する。ASN はエクスポートされない。830/862 発行データ変更。
  • 状況例 5 - ASN を生成する。ASN がエクスポートされる。830/862 発行データ変更。
  • 状況例 6 - 発注計画の置換フラグの影響の例。

状況例 1: ASN を生成しない

  • 発行処理 = 置換
  • [出荷通知生成]が選択されていない
  • [発注計画の置換]が選択されている

システムでは、受け取ったフラットファイルが新しい所要量を正確に反映していると想定し、受け取った所要量を受注オーダにそのまま転記します。

受け取った 830/862 は、1 つの品目に以下の発行所要量を含みます。

発行 納期 要求数
1 8/7 336
2 8/9 336
3 8/10 336
4 8/13 504
5 8/14 336
6 8/15 336

シナリオ 1:

上記の所要量をインポートします。受注オーダには、この明細の発行 1 ~ 6 が反映されます。発行 1 および 2 を出荷し、続いて、上記と同じ所要量を再びインポートします。受注オーダには、以下の表に示した 8 つの発行が反映されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 336 F
3 8/7 336   O
4 8/9 336   O
5 8/10 336   O
6 8/13 504   O
7 8/14 336   O
8 8/15 336   O

シナリオ 2:

元の 6 つの発行が受注オーダにインポートされ、転記されているものとします。発行 1 では合計数量 (336) を出荷し、発行 2 では「100」のみを出荷します。続いて、同じ 6 つの発行を再びインポートし、転記します。受注オーダには、以下のように 8 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 100 F
3 8/7 336   O
4 8/9 336   O
5 8/10 336   O
6 8/13 504   O
7 8/14 336   O
8 8/15 336   O

シナリオ 3:

受注オーダに対して元の 6 つの発行がインポートされ、転記されているものと想定します。発行 1 に「400」の数量を出荷します。元の 6 つの発行を再びインポートし、転記します。受注オーダには、以下のように 7 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 400 F
2 8/7 336   O
3 8/9 336   O
4 8/10 336   O
5 8/13 504   O
6 8/14 336   O
7 8/15 336   O

サマリ: [EDI 顧客プロファイル]で [出荷通知生成] オプションを有効にしない場合、受け取るフラットファイルに現在の顧客所要量が反映されている必要があり、受け取った発行を転記するときに、以前の所要量や変更が考慮されません。

状況例 2: ASN を生成するが、エクスポートされない

  • 発行処理 = 置換
  • [出荷通知生成]が選択されている
  • [発注計画の置換]が選択されている
  • 出荷時に ASN がエクスポートされない

システムでは、現在の明細発行を受け取った所要量と置換しますが、既に実行した出荷を考慮します。

受け取った 830/862 フラットファイルは、1 つの品目に以下の発行所要量を含みます。

発行 納期 要求数
1 8/7 336
2 8/9 336
3 8/10 336
4 8/13 504
5 8/14 336
6 8/15 336

シナリオ 1:

上記の所要量をインポートします。受注オーダには、この明細の発行 1 ~ 6 が反映されます。発行 1 を出荷し、続いて、上記と同じ所要量を再びインポートします。受注オーダには、以下のように 6 つの発行が反映されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336   O
3 8/10 336   O
4 8/13 504   O
5 8/14 336   O
6 8/15 336   O

シナリオ 2:

元のフラットファイルを新しいオーダにインポートします。発行 2 に「336」を出荷します。元のフラットファイルを再びインポートし、受注オーダには以下のように 6 つの発行が反映されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
2 8/9 336 336 F
3 8/7 336   O
4 8/10 336   O
5 8/13 504   O
6 8/14 336   O
7 8/15 336   O

シナリオ 3:

元の 6 つの発行が新しい受注オーダにインポートされ、転記されているものとします。発行 1 に「336」を、発行 2 に「100」を出荷します。元の 6 つの発行を再びインポートし、転記します。受注オーダには、以下のように 7 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 100 F
3 8/9 236   O
4 8/10 336   O
5 8/13 504   O
6 8/14 336   O
7 8/15 336   O

シナリオ 4:

元の 6 つの発行がインポートおよび転記され、新しい受注オーダが作成されています。発行 1 に「500」を出荷します。受注オーダに元の 6 つの発行を再びインポートし、転記します。受注オーダには、以下のように 6 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 500 F
2 8/9 172   O
3 8/10 336   O
4 8/13 504   O
5 8/14 336   O
6 8/15 336   O

シナリオ 5:

[EDI 顧客プロファイル] の [出荷通知生成] チェックボックスがオンになっていなかったとき、所要量を受け取っていた EDI オーダがあり、その後、ASN 生成をオンにした場合、システムは、現在までの明細に対する出荷を調べ、受け取った所要量から出荷された数量を差し引きます。シナリオ 1 と同じ条件で、[出荷通知生成] チェックボックスをオフにして、元のファイルをインポートします。続いて、発行 1 および 2 を出荷し、同じファイルを再びインポートします。受注オーダには、8 つの発行が表示されます。 [EDI 顧客プロファイル] で ASN を有効にし、元の 6 つの発行を再びインポートします。転記された受注オーダには、以下の発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 336 F
3 8/10 336   O
4 8/13 504   O
5 8/14 336   O
6 8/15 336   O

このケースでは、受注オーダには 8 つの発行が含まれており、ASN 生成をオンにし、同じ所要量を再びインポートした後、システムでは、8 つの発行が、出荷数量を差し引いた受け取り所要量と置換され、最後のインポートに基づいて合計所要量が表示されます。発行 1 および 2 が新しいインポートに含まれていない場合、このオーダに対して既に実行された出荷で、発行 3 および 4 が調整されます。

注: Radley の CARaS」 など、CUM 機能付きのトランスレーターを使用している場合、CARaS が受け取った所要量を正しく調整できるように、830/862 をインポートする前に、ASN をエクスポートする必要があります。

状況例 3: ASN を生成する。ASN をエクスポートする。

  • 発行処理 = 置換
  • [出荷通知生成]が選択されている
  • [発注計画の置換]が選択されている
  • 出荷時に ASN をエクスポートする

これまでの例では、ASN 文書を生成およびエクスポートせずに、2 回目のインポートで同じ 830/862 を毎回インポートしました。以下の例では、実行した出荷に ASN 文書がエクスポートされている場合について示します。

受け取った 830/862 は、1 つの品目に以下の発行所要量を含みます。

発行 納期 要求数
1 8/7 336
2 8/9 336
3 8/10 336
4 8/13 504
5 8/14 336
6 8/15 336

シナリオ 1:

上記の所要量をインポートします。受注オーダには、この明細の発行 1 ~ 6 が反映されます。発行 1 を出荷します。出荷時に ASN を生成し、エクスポートします。続いて、上記と同じ所要量を再びインポートします。受注オーダには、以下のように 7 つの発行が反映されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/7 336   O
3 8/9 336   O
4 8/10 336   O
5 8/13 504   O
6 8/14 336   O
7 8/15 336   O

シナリオ 2:

元の 6 つの発行が新しい受注オーダにインポートされ、転記されているものとします。発行 1 に「336」を、発行 2 に「100」を出荷します。ASN を生成し、エクスポートします。元の 6 つの発行を再びインポートし、転記します。受注オーダには、以下のように 8 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 100 F
3 8/7 336   O
4 8/9 336   O
5 8/10 336   O
6 8/13 504   O
7 8/14 336   O
8 8/15 336   O

シナリオ 3:

元の 6 つの発行が新しい受注オーダにインポートされ、転記されているものとします。発行 1 に「336」を出荷し、ASN を生成およびエクスポートします。続いて、発行 2 に「100」を出荷しますが、ASN を生成およびエクスポートしません。元の 6 つの発行を再びインポートし、転記します。受注オーダには、以下のように 8 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 100 F
3 8/7 236   O
4 8/9 336   O
5 8/10 336   O
6 8/13 504   O
7 8/14 336   O
8 8/15 336   O

発行 2 で出荷された 100 個は、取引先にエクスポートされないため、2 回目のインポートで受け取った発行から差し引かれます。

状況例 4: ASN を生成する。ASN はエクスポートされない。830/862 発行データ変更。

  • 発行処理 = 置換
  • [出荷通知生成]が選択されている
  • [発注計画の置換]が選択されている
  • 出荷時に ASN がエクスポートされない

これまでの例では、2 回目のインポートで同じ 830/862 を毎回インポートしました。以下の例では、830/862 ファイルの異なる発行を 2 回目にインポートした場合に、置換論理がどうなるかを示します。

最初は、これまでどおり同じ 830/862 発行をインポートするものとします。

発行 納期 要求数
1 8/7 336
2 8/9 336
3 8/10 336
4 8/13 504
5 8/14 336
6 8/15 336

続いて、8/7 および 8/9 発行に 336 個を出荷します。ASN は、生成およびエクスポートしません。

続いて、以下の発行で新しい 830/862 をインポートします。

発行 納期 要求数
1 8/10 336
2 8/11 336
3 8/12 336
4 8/13 504
5 8/14 336
6 8/15 336

受注オーダには、以下のように 6 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 336 F
3 8/12 336   O
4 8/13 504   O
5 8/14 336   O
6 8/15 336   O

この例では、8/10 および 8/11 の所要量が削除されているようですが、ASN がエクスポートされていないため、これが正しい処理となります。取引先が出荷を認識していないため、新しく受け取った 830/862 発行からそれぞれ 336 の出荷 2 回分が差し引かれます。

状況例 5: ASN を生成する。ASN がエクスポートされる。830/862 発行データ変更。

  • 発行処理 = 置換
  • [出荷通知生成]が選択されている
  • [発注計画の置換]がチェックされている
  • 出荷時に ASN をエクスポートする

上記の例では、変更された所要量を 2 回目のインポートとして、830/862 文書をインポートしました。以下の例では、830/862 ファイルの異なる発行を 2 回目にインポートし、ASN を生成およびエクスポートした場合に、置換論理がどうなるかを示します。

最初は、これまでどおり同じ 830/862 発行をインポートするものとします。

発行 納期 要求数
1 8/7 336
2 8/9 336
3 8/10 336
4 8/13 504
5 8/14 336
6 8/15 336

続いて、8/7 および 8/9 発行に 336 個を出荷します。この場合、ASN を生成し、エクスポートします。続いて、以下の発行で新しい 830/862 をインポートします。

発行 納期 要求数
1 8/10 336
2 8/11 336
3 8/12 336
4 8/13 504
5 8/14 336
6 8/15 336

受注オーダには、以下のように 8 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 336 F
3 8/10 336   O
4 8/11 336   O
5 8/12 336   O
6 8/13 504   O
7 8/14 336   O
8 8/15 336   O

状況例 6: 発注計画の置換の影響の例

以下の例では、発注計画の置換設定による発行への影響を示します。

  • 発行処理 = 置換
  • [出荷通知生成]が選択されている
  • [発注計画の置換]がチェックされていない
  • 出荷時に ASN をエクスポートする

以下のように、830/862 発行をインポートするものとします。

発行 納期 要求数 状況
1 8/7 336 O
2 8/9 336 O
3 8/10 336 O
4 8/13 504 O
5 8/14 336 O
6 8/15 336 O
7 9/30 336 P
8 10/30 336 P
9 11/30 336 P
10 12/30 336 P

続いて、8/7 および 8/9 発行に 336 個を出荷します。この場合、ASN を生成し、エクスポートします。

続いて、以下の発行で新しい 830/862 をインポートします。

発行 納期 要求数 状況
1 8/7 336 O
2 8/9 336 O
3 8/10 336 O
4 8/13 504 O
5 8/14 336 O
6 8/15 336 O
7 9/30 336 P
8 10/30 336 P
9 11/30 336 P

受注オーダには、以下のように 10 の発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 336 F
3 8/10 336   O
4 8/13 336   O
5 8/14 336   O
6 8/15 504   O
7 9/30 336   P
8 10/30 336   P
9 11/30 336   P
10 12/30 336   P

これは、発注計画の置換フラグがチェックされていないため、受け取った 830/862 発注計画より後の日付の発行が保持されるためです。

  • 発行処理 = 置換
  • [出荷通知生成]が選択されている
  • [発注計画の置換]が選択されている
  • 出荷時に ASN をエクスポートする

以下のように、830/862 発行をインポートするものとします。

発行 納期 要求数 状況
1 8/7 336 O
2 8/9 336 O
3 8/10 336 O
4 8/13 504 O
5 8/14 336 O
6 8/15 336 O
7 9/30 336 P
8 10/30 336 P
9 11/30 336 P
10 12/30 336 P

続いて、8/7 および 8/9 発行に 336 個を出荷します。この場合、ASN を生成し、エクスポートします。

続いて、以下の発行で新しい 830/862 をインポートします。

発行 納期 要求数 状況
1 8/7 336 O
2 8/9 336 O
3 8/10 336 O
4 8/13 504 O
5 8/14 336 O
6 8/15 336 O
7 9/30 336 P
8 10/30 336 P
9 11/30 336 P

受注オーダには、以下のように 9 つの発行が表示されます。

発行 納期 発行済 出荷済 状況
1 8/7 336 336 F
2 8/9 336 336 F
3 8/10 336   O
4 8/13 336   O
5 8/14 336   O
6 8/15 504   O
7 9/30 336   P
8 10/30 336   P
9 11/30 336   P

これは、発注計画の置換フラグがチェックされているためです。受け取った 830/862 発注計画より後の日付の発行は、オーダから削除されます。