インバウンドトランザクションについて
インバウンドデータが顧客または購入先から SyteLine に途切れなく流れるように、EDI ではいくつかの処理が発生します。これらの処理には以下が含まれます。
- フラットファイルから変換されたデータの EDI データベーステーブルへのロード
- EDI データの検証
- EDI テーブルから標準 SyteLine テーブルにインバウンドデータを転記
- エラーの処理
- エラーレポートの作成
- インバウンドトランザクションのパージ
EDI メールボックスへアクセスすると、インバウンドデータのフローが開始されます。この処理により、データはトランスレータを通って、SyteLine の EDI テーブルへと流れます。
以下の図に、EDI のインバウンド機能を示します。
需要サイドインバウンドトランザクション
EDI インタフェースは、顧客から以下のインバウンドトランザクションをサポートしています。
- 購買オーダ(850/ORDERS)これらのトランザクションが SyteLine に転記されると、個別または一括受注オーダが作成または更新されます。
- 計画オーダ(830/DELFOR)これらのトランザクションが SyteLine に転記されると、一括受注オーダ明細(顧客のオーダの需要予測)または一括発行が作成または更新されます。
- 出荷オーダ(862/DELJIT)これらのトランザクションが SyteLine に転記されると、一括受注オーダ明細(顧客のオーダの確認)または一括発行が作成または更新されます。
トランサクションは、ASCII ファイル書式でトランスレータからロードされます。
供給サイドインバウンドトランザクション
EDI インタフェースは、購入先から以下のインバウンドトランザクションをサポートしています。
- 購買オーダ承認(855/ORDRSP)このトランザクションは EDI 購買オーダ承認として SyteLine に転記されます。[自動記録] 機能を使用できます。
- 事前出荷通知(856/DESADV)このトランザクションは、EDI 購入先出荷通知として SyteLine に転記され、購買オーダ受入機能への入力として使用される場合があります。
- 請求(810/INVOIC)このトランザクションは EDI 購入先請求書として SyteLine に転記され、買掛支払証書生成処理のための入力として使用される場合があります。[自動記録] 機能を使用できます。
インバウンドトランザクションのロード
EDI インバウンドトランザクションは [EDI トランザクションロードルーチン] ユーティリティを使用してインポートできますが、定義したバックグラウンドタスクの一部として自動的にインバウンドトランザクションをロードすることもできます。
SyteLine では、トランスレータによって出力されたフラット ASCII ファイルが EDI データベーステーブルにロードされます。ASCII ファイルの複数の明細と、EDI テーブルの複数のレコードは、1 つのトランザクションを表します。インバウンド処理のこのフェーズで発生するデータ確認は最低限のものです。
ファイルは、下に示したように命名されます。以下では、データファイルの XXX 接尾辞は、 [EDI パラメタ] フォーム(供給と需要の両方)の [取引先] コードに対応し、HHMM.JJJ はアーカイブファイルの時刻とユリウス日付を示します。
この表では、各インバウンドトランザクション区分のファイル名について説明しています。
トラン区分 | データ DIR ファイル名 | アーカイブ DIR ファイル名 |
---|---|---|
810 | 810_DTL.XXX | INV(HHMM.JJJ) |
830(ヘッダ) | RSEQ_HDR.XXX | RH(HHMM.JJJ) |
830(詳細) | RSEQ_DTL.XXX | RD(HHMM.JJJ) |
850 | 850_EXP.XXX | PO(HHMM.JJJ) |
855 | 855_DTL.XXX | ACK(HHMM.JJJ) |
856 | 856_DTL.XXX | VSN(HHMM.JJJ) |
862(ヘッダ) | RSEQ_HDR.XXX | SH(HHMM.JJJ) |
862 (Detail) | RSEQ_DTL.XXX | SD(HHMM.JJJ) |
トランザクションの確認
EDI では、各トランザクション区分に対してあらかじめ定義されたルールのセットに従って、インバウンドトランザクションが確認されます。確認の 2 つの種類は、インタフェースエラーとデータエラーです。
インタフェースエラーは、トランスレータと SyteLine の設定の不一致から発生します。データエラーは、データの内容におけるエラーです。
各着信トランザクションは、インバウンド転記処理によって確認されます。トランザクションが確認に合格すると、転記処理に進みます。システムでは、この確認処理で不合格になったトランザクションを識別します。需要サイドトランザクションの場合、 [アクション > エラーログ一覧] を選択することにより、[ ]フォームでエラーを表示できます。供給サイドトランザクションの場合は、トランザクションごとに対応するレポートがあるので、それを実行してエラーを表示できます。
トランザクションを ERP に転記
インバウンドトランザクションを SyteLine へ自動的に転記するには、取引先に対して [自動記録] フラグを [インバウンド] または [両方] に設定します。トランザクションを EDI テーブルにロードするときに、システムではこのオプションをチェックして、トランザクションを自動的に転記するかどうかを判断します。転記によって、EDI テーブルから標準 SyteLine データベーステーブルへインバウンドデータが移動されます。
システムでは、全ての着信トランザクションを確認し、エラーのない全てのトランザクションを転記します。プログラムは、エラーのために転記されなかったトランザクションを識別し、適切なフォームを使用して処理するために EDI テーブルにそれらを保存します。
[自動記録]フラグを[なし]に設定した場合、システムは、そのトランザクションをそれ以上処理せずに EDI テーブルに保存します。トランザクションを SyteLine 標準データベースへ転記しようとする前に、データを見直すためにレポートを実行できます。
エラーの処理
需要サイドトランザクションでは、インバウンドデータフィールドにエラーが含まれる場合、画面上のそのフィールドを更新できます。これにより、トランザクションの SyteLine への転記が可能になりますが、取引先にこの変更を知らせる必要があります。元のトランザクションを削除して、修正したデータで再送信するよう選択する取引先もあります。また、オーダに加えた変更を示す購買オーダ承認(855/ORDRSP)を必要とする取引先もあります。
インバウンドデータで検出されたエラーには、その取引先の確認機能の一部をオフにすることにより、上書きできるものもあります。そのようなエラーの例には、「与信限度を超過」や「正しくない価格」などがあります。
供給サイドトランザクション(購入先から情報が来るもの)では、転記前にデータを変更することはできません。エラーが発生したら、SyteLine システム自体でそれを上書きするか、データを再送信するよう要求することができます。
「需要 EDI 受注オーダトランザクションの転記を停止するエラー」および「供給 EDI トランザクションの転記を停止するエラー」を参照してください。
オンラインエラーログとエラーレポート
エラーレポートは、各着信トランザクションに対して使用できます。これらのレポートは、トランザクションで確認処理を開始し、そのトランザクションで検出された全てのエラーをレポートします。
レポートには、トランザクション(エラーあり、エラーなし)のサマリ情報が含まれます。一定範囲の取引先の全てのエラーレポートを印刷できます。各トランザクション区分に対して、その他の選択条件を適用できます。